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共謀罪を含む改悪組織犯罪処罰法は
【「共謀罪」法 衆参両院議員の投票行動(東京新聞 2017/6/16)】

応益負担と所得保障

『政党への障害者政策アンケート 回答』(日本障害者協議会)を見て
http://www.jdnet.gr.jp/JDWebLetter/2005/20050827.htm

 廃案になった障害者自立支援法案に賛成していた自民党と公明党が「応益(定率)負担」に賛成であることは分かっていたが、民主党も「応益(定率)負担」に賛成のようである。介護保険との統合を考えているかららしい。ただし、民主党は応益負担と合わせて『その負担に耐えうる所得保障制度の確立が不可欠』と考えているようである。障害者団体も応益負担にするなら所得保障とセットにするよう求めていたような気がする。民主党が考えている所得保障制度がどのようなものか分からない。障害者団体が求めている所得保障制度も次のサイトを見たがよく分からなかった。

・所得保障制度に関する特別委員会「提言」案(日本障害者協議会)
http://www.jdnet.gr.jp/Proposal/Syotoku-teigen-an.htm

 ここでは、障害者団体が求めている所得保障制度を踏まえずに、私が考えている所得保障制度について述べたい。

 以前に述べたように(参考)、支援に対する負担を障害者に求める際には次の図の様になっていなければならない。

利用者負担の理想図
図1 利用者負担の理想図

 P1、P2、P3は障害者が所謂健常者と同じような生活をするために絶対に必要な支援である。そのP1、P2、P3の支援を受けるための費用を障害者本人が負担する制度ではいけない。それが私の意見である。ちなみに、Q1、Q2、Q3は厚労省案(参考)における利用者負担の上限であるが、私の対案では上限を設けていない。

 しかし、所得保障とセットで応益(定率)負担を導入する場合は図1とは違う仕組みを考えなければいけない。

定率負担と保障額
図2 定率負担と保障額

 図2のように定率負担ではP1、P2、P3の支援のために障害者はR1、R2、R3の負担が必要になる。しかし、これらの負担を障害者に求めてはいけなかった。したがって、このR1、R2、R3に相当する額は政府が保障しなければならない。政府がR1、R2、R3を障害者に支給すれば、P1、P2、P3の支援を受けるための障害者の負担が実質的にゼロになり、図1と同じ負担になる。図1が支援そのものを政府が保障する仕組みであるのに対して、図2では障害者が支援を受けるために必要な費用を政府が保障する仕組みである。
 さて、必要な支援は障害者によって異なる。したがって政府が保障すべき額も障害者によって異なる。過不足なく保障するにはどうしたら良いだろうか。
 例えば、必要な支援を全て受けるために10万円必要なのに9万円しか保障されなかったら必要な1万円分の支援を受けられない。逆に11万円保障したら1万円が余分で、予算不足に繋がる。したがって、障害者一人ひとりに合った額を保障できる仕組みが必要である。しかし、一般的な所得保障の考え方は障害者をいくつかの段階に分け、段階に応じた一律の額を保障しているのではないだろうか。それでは、必要な支援を受けられない障害者がいたり、必要以上の支援を政府保障で受けられる障害者がいたりする。全ての障害者が必要な支援を確実に受けられるようにすると、必要以上の支援を受けられる障害者が増え、できるだけ必要以上の支援を受けられないようにすると、必要な支援を受けられない障害者が増えてしまう。障害者を段階に分ける仕組みでは過不足なく保障することは不可能である。
 では、どうしたら良いか。障害者一人ひとりに合った保障費をどのように決めたら良いのだろうか。各障害者が必要としている支援が分かれば良い。各自に必要な支援が分かれば各自に必要な保障費も分かる。必要な支援はその時々によって変わる。その変化にも対応できなければいけない。そのためには必要な支援を一番良く分かっている障害者本人が支援内容を決めて、必要な時に必要な支援を受ければ良い。その仕組みを考える際に支援費制度が参考になる。

・図表2-21 支援費制度の基本的な仕組み(障害者白書 平成17年版)
http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h17hakusho/zenbun/html/zenbun/honpen/fig02_02_21.html
(1)障害者福祉サービスの支援費制度への移行
(中略)
 支援費制度の基本的な仕組みは、以下のとおりである。
[1] 障害者福祉サービスの利用について支援費の支給を希望する者は、必要に応じて適切なサービスの選択のための相談支援を市町村等から受け、市町村に対し支援費の支給申請を行う。
[2] 市町村は、支給を行うことが適切であると認めるときは、申請者に対して支援費の支給決定を行う。
[3] 支援費の支給決定を受けた者は、都道府県知事等の指定を受けた指定事業者又は施設との契約により、サービスを利用する。
[4] サービスを利用したときは、本人及び扶養義務者は、指定事業者又は施設に対し、サービスの利用に要する費用のうち、本人及び扶養義務者の負担能力に応じて定められた利用者負担額を支払うとともに、市町村は、サービスの利用に要する費用の全体額から利用者負担額を控除した額を支援費として支給する(ただし、当該支援費を指定事業者又は施設が代理受領する方式をとる)。
(障害者白書 平成17年版 第2編 第4章 第1節 1.利用者本位の生活支援体制の整備)
http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h17hakusho/zenbun/html/zenbun/honpen/chap02_04_01_01.html

 介護保険制度のように予め支援量の上限を決めずに、必要な支援が確実に受けられるようにすることが重要である。

 ここまでは、外出時の介助など所謂健常者は必要としないような特殊な支援に関する話で、所謂健常者にも必要な食費などの生活費の保障に関しては述べていない。図2のR1、R2、R3に加えて衣食住のための一般的な生活費の保障も必要である。その生活費は自分で働いて稼ぐことが基本であるが、障害者の場合は所謂健常者のように働けない場合が多い。その場合の所得保障も必要である。現在の制度の中では障害年金がその中心で、その他の制度を活用しても足りない場合に最後の手段として生活保護制度が利用されているものと思われる。しかし、現状では保障が必要なのに保障されていない障害者がいるだろう。その改善が必要である。

 以下は障害者自立支援法案に関するこれまでの私のブログ内の記事

  【社会保障問題を選挙の争点に】
  【障害者が望む「自立」とは】
  【「限られた財源」強調の厚労相】
  【働いたらお金が減る人たち】
  【応益負担で前向き?】
  【財務省様の仰せの通りに?】
  【やっと与党とのパイプができた?】
  【障害者自立支援法案:可決】
  【障害者自立支援法案:委員名簿】
  【障害者自立支援法案:八代議員】
  【応益負担の理念図】
  【障害者自立支援法案:脅し?】
  【障害者自立支援法案:強行採決?】
  【障害者自立支援法案:与党修正案】
  【厚生労働委員会の様子】
  【32条は大切2】
  【応益負担に賛成なのね?】
  【朝日新聞と厚労省】
  【32条は大切】
  【その公平は本当に公平?】
  【「自立」とは自分で決めること】


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