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共謀罪を含む改悪組織犯罪処罰法は
【「共謀罪」法 衆参両院議員の投票行動(東京新聞 2017/6/16)】

医療方針変更は市町村の承認後?

『「障害程度区分」及び「指定自立支援医療機関の指定基準等」に関するご意見募集(パブリックコメント)に対して寄せられた御意見について』を読んで
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&KID=495050075
http://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/iken/p0124-2.html

 厚生労働省による『「障害程度区分」及び「指定自立支援医療機関の指定基準等」に関するご意見募集(パブリックコメント)』の募集結果である。意見募集のURLは次の通り。

 募集結果は「御意見」に対する「答」という形で公表されている。パブリックコメントというのは市民の意見を聞いて問題点を見つけて改善するものだと思っていたが、厚労省の「答」を読むと、改善するつもりはなくて…(以下略、参考)…。

 以下に、気になった「答」に対する私の感想を書いてみた。

「障害程度区分」関係
(御意見1)
○ 障害程度区分は、3障害別に設けるべき。また、視覚障害者、知的障害者等の障害特性を把握できるようなものとするべき。
(答)
○ 障害者自立支援法においては、3障害共通に、支援の必要度に応じて公平にサービス利用が図られるよう、統一的なアセスメントや障害程度区分を導入することとしました。
○ 障害程度区分の認定調査項目の設定に当たっては、介護保険の要介護認定調査の79項目に加え、より障害特性を反映するよう、
[1] 交通手段の利用、買い物、掃除や調理などに日常生活に関する項目
[2] 多動やこだわりなど行動に関する項目
[3] 話がまとまらない、働きかけに応じず動かないでいるなど精神に関する項目
など27項目を追加し、試行事業を行いました。
試行事業では、約96%が要支援以上と判定され、おおむね障害の特性を把握できる内容とであったと判断されましたが、その後の分析や有識者の方々からのヒアリングを踏まえ、さらに基準の明確化を図ったところであり、より適切な障害程度区分に関する基準になっていると考えております。

 「御意見1」に対する答になっていないように思われる。厚労省は「3障害別に障害程度区分を設ける必要ない」という考えだと思うが、そのことをはっきりと「答」に書いていないので「御意見1」に対する答になっていない。厚労省の答え方は日常生活の場面では次のような感じである。

(御意見)
○ 今日の夕食はカレーライスにすべき。また、ジャガイモやタマネギを入れるべき。
(答)
○ 今日の夕食はシチューにしました。
○ シチューにはジャガイモやタマネギを入れました。

 なぜカレーライスにしなかったのだろうか。それが分からない。シチューで十分だから、ということであれば、「シチューで十分なのでカレーライスにしなかった」と答えないと分からないし、カレーライスにすることに問題があるのなら、「カレーライスにすると○○という問題があるのでシチューにしました」と答えないと分からない。

II 指定自立支援医療機関療養担当規程
(中略)
(御意見10)
「指定自立支援医療機関は、受給者証に記載された医療の具体的方針を変更しようとするときは、あらかじめ当該受給者証を交付した市町村等と協議し、その承認を受けなければならないこと。」とあるが、この規定は医療を受ける患者の決定権を奪うものであり、適切な医療が受けられなくなるのではないか。また、医療機関の変更を市町村との承認後でなければできないとなると、緊急の場合に医療を受けられなくなるのではないか。
(答)
当該規定は、現行の更生医療及び育成医療を対象としており、支給認定に当たっては、現行制度と同様、手術等の医療の具体的方針を受給者証に記載することとしていることから、その内容に変更が生じる場合には、医療機関に対して市町村に承認を受けることを求めるものであり、これらに係る医療機関が患者の治療方針を一方的に変更することを定めるものではありません。なお、現行制度においても、同様の取扱いをしており、自立支援医療制度においてもこれを引き継ぐものです。

 「御意見10」の方の心配はごもっともである。厚労省はそれに対してまともに答えているとは思えない。医療機関が医療方針を変更する際に市町村等の承認を受けなければいけない理由を答えていない。現行制度でそうなっているから、では答にならない。
 また『医療機関が患者の治療方針を一方的に変更することを定めるものではありません』とあるが、意味不明の答である。「御意見10」の方は「医療機関が患者の治療方針を一方的に変更することを定めるものではないか?」と質問しているわけではないように思われる。医療にインフォームド・コンセントが必要なことは当たり前である。問題は医師と患者が決めた医療方針を市町村等が認めないことができる規定になっていることである。市町村等が認めるような医療方針しか許されないような規定になっていることが問題なのである。それに対する答がない。
 「御意見10」で最も重要なのは『緊急の場合に医療を受けられなくなるのではないか』という心配である。医師が治療法を決めてすぐに実行できないように読める規定だから当然の心配である。それに対しては全く答えていない。

II 指定自立支援医療機関療養担当規程
(中略)
(御意見11)
「指定自立支援医療機関は受診者が正当な理由なくして、診療に関する指導に従わない場合には、速やかに、意見を付して受給者証を交付した市町村に通知しなければならないこと。」とあるが、この規定は患者の医療を受ける権利を一方的に奪うものであり、安心して医療を受けられなくなるのではないか。
(答)
医師による診療に関する指導は、これにより、受診者が適正な診療を受け、速やかに疾病等の治癒の目的を達成するために行われるものであり、ひいては、適正な自立支援医療費の支給にも資することとなります。したがって、診療に関する指示に従わないことにより、治癒を遅らせるようなことはこの趣旨に反することから、当該規定を置いています。なお、同様の趣旨の規定は一般の医療保険制度に関する健康保険法や国民健康保険法にも置かれており、これに倣うものです。

 これは「御意見11」の答になっているような、なっていないような…。「御意見11」の疑問に正面から答えていないのだが、気になるのは「答」の考え方の善し悪しである。何となくであるが、インフォームド・コンセントの考え方に反する古いパターナリズムに基づく規定のように思われる。患者は絶対に医師に従わなければいけないのだろうか。厚労省の「答」からは「患者は絶対に医師の指導に従え」という思いが伝わってくる。『同様の趣旨の規定は一般の医療保険制度に関する健康保険法や国民健康保険法にも置かれており』とあるので、障害者自立支援法だけの問題ではなく「医療」のあり方に関する問題かもしれない。また、医療費の負担の問題が絡んでいるので…。

 以上、気になったことを書いてみた。


【障害者自立支援法案に関する私の以前のブログ記事】


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