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共謀罪を含む改悪組織犯罪処罰法は
【「共謀罪」法 衆参両院議員の投票行動(東京新聞 2017/6/16)】

職権保護義務違反だと思う

『衰弱知りながら給水停止・保護申請断る 障害者が孤独死』(朝日新聞、2006/7/17)を読んで
http://www.asahi.com/national/update/0716/SEB200607160041.html
次の部分

 団地の町内会役員は「男性のやせ衰えた姿を見れば、誰もが生活保護が必要だと思った。しゃくし定規な考えが、男性を死に追いやった」と話している。

 このニュースが注目されているような気がするので私も少し触れておく。
 引用した部分であるが、私が読んだ朝日新聞では次のようになっていた。

 市保健福祉局は「水道や電気、ガスの停止だけで(職権保護が必要な)『急迫状態』とは判断できない。区役所の説明に男性は納得して帰った。亡くなったのは残念だが対応は適切だった」、市水道局は「もし区役所の依頼があれば給水回復を検討していた」と説明している。
(2006年7月17日朝日新聞13版31面)

 この上の部分は同じ文章だったように思う。この部分だけがネットと紙面で異なっていた。紙面でしか見られなかった「市保健福祉局」と「市水道局」のコメントとネットでしか見られなかった「団地の町内会役員」の両方を載せれば良いのにと思った。

 文中に出てくる「職権保護」とは生活保護法第25条のことだろう。

(職権による保護の開始及び変更)
第二十五条  保護の実施機関は、要保護者が急迫した状況にあるときは、すみやかに、職権をもつて保護の種類、程度及び方法を決定し、保護を開始しなければならない。
2  保護の実施機関は、常に、被保護者の生活状態を調査し、保護の変更を必要とすると認めるときは、すみやかに、職権をもつてその決定を行い、書面をもつて、これを被保護者に通知しなければならない。前条第二項の規定は、この場合に準用する。
3  町村長は、要保護者が特に急迫した事由により放置することができない状況にあるときは、すみやかに、職権をもつて第十九条第六項に規定する保護を行わなければならない。
(生活保護法第25条)

 条文中の「保護の実施機関」は第19条に述べられている。この「実施機関」が「要保護者が急迫した状況にある」にもかかわらず「職権による保護」を行わなかった場合、「実施機関」はどのように罰せられるのだろうか? 要保護者が「急迫した状況」にあったかどうかが争点になるだろうが、記事を読むと「急迫した状況」にあったと考えるのが自然であるように思える。「団地の町内会役員」のコメントに全く以て同感である。裁判員制度が適用される事例じゃないので市民の意見なんて反映されないだろうが。

 生活保護に関しては少し前に別の記事があった。

・生活保護 不服申し立て急増 自治体の水際作戦進む(朝日新聞、2006/7/16)
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200607150154.html
・生活保護の不服申し立て、2年で倍増 05年度835件(朝日新聞、2006/7/17)
http://www.asahi.com/life/update/0717/007.html

 上の方は関西の新聞だけのようで紙の新聞では読んでいないが、下の方は7/16の新聞に載っていた。

追記:
 続き→「生活保護の申請を拒否できる?」

追記:
 「申請が無かったので職権保護する必要は無いのでは?」と誤解されそうなので追記。
 生活保護法第7条に次のように書いてある。

(申請保護の原則)
第七条  保護は、要保護者、その扶養義務者又はその他の同居の親族の申請に基いて開始するものとする。但し、要保護者が急迫した状況にあるときは、保護の申請がなくても、必要な保護を行うことができる。
(生活保護法第7条)

 「要保護者が急迫した状況にあるとき」は申請は不要なのである。この条文の最後が「できる」となっているので「義務ではなくて保護しなくても良いのだ」と反論されそうだけど、原則があって例外を示す時に「できる」と表現するのであって「しなくても良い」という意味ではないと教わったような気がする。第25条と合わせて読むと「義務」と解釈しなければならないように思われる。私は法律の専門家ではないので専門家に確認しないと分からないが。


タグ:生活保護
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