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共謀罪を含む改悪組織犯罪処罰法は
【「共謀罪」法 衆参両院議員の投票行動(東京新聞 2017/6/16)】

三囚人問題の図解

『囚人のパズル @ Stardust Crown』を読んで
http://stardustcrown.com/reading/prisoners-puzzle.html

 「三つの扉、三枚の封筒」のコメント欄でitochanさんから上記のサイトを紹介してもらった。そこに「三囚人問題」を少し変えた問題があったので市川伸一さんの「考えることの科学」で紹介されている図に当てはめてみたい。

 まず、「三囚人問題」とは次のような問題である。

 三人の囚人A、B、Cがいる。三人とも処刑されることになっていたが、王子が結婚するというので、王様が一人だけを恩赦にしてやることになった。だれが恩赦になるか決定されたが、まだ囚人たちには知らされていない。結果を知っている看守に対し、囚人Aが「BとCのうち、どちらかは必ず処刑されるのだから、処刑される一人の名前を教えてくれても、私に情報を与えることにならないだろう。一人を教えてくれないか」と頼んだ。看守は、その言い分に納得して、「囚人Bは処刑されるよ」と教えてやった。これを聞いた囚人Aは、「はじめ、自分の助かる確率は1/3だった。今や助かるのは自分とCだけになったので、助かる確率は1/2に上がった」と喜んだという。さて、実際には、看守の返事を聞いたあとの、囚人Aが助かる確率はどれだけか。
(市川伸一著「考えることの科学」中公新書、102ページ)

 答は1/3。看守に尋ねる前と変わらない。囚人Cが恩赦になる確率は2/3である。囚人Cが恩赦になる確率は高くなった。囚人Cはその場にいなかったが、この事実を聞いたら喜ぶだろう。ただ、囚人Cがその場にいたら看守は「囚人Bは処刑されるよ」としか答えようがなく困ってしまっただろう。囚人Cがいるので「囚人Cは処刑されるよ」とは答えられない。囚人Cに自分の処分を知られてしまう。「囚人Bは恩赦になるよ」と答えたら、囚人Aと囚人Cは恩赦にならない、すなわち処刑されることが確実であることが二人に知られてしまう。

 さて、冒頭のサイトでの例題は、囚人Aが「囚人Bは処刑されるか?」と尋ねた場合への応用である。もちろん、看守は正直に答える。囚人Bが処刑されるなら「囚人Bは処刑されるよ」と答え、囚人Bが恩赦になるのなら「囚人Bは処刑されない」と答える。
 看守が「囚人Bは処刑されるよ」と答えたら囚人Aが恩赦になる確率は1/2に上がる。実は看守は「囚人Bは処刑されない」とは答えられない。答えたら囚人Aが恩赦になる確率は0で、処刑される確率が1になり、囚人Aは自分の処分を知ってしまう。この場合に限らず、確率が変化するようであれば情報を与えることになるので看守は答えられないのだが…。
 この『囚人Aが「囚人Bは処刑されるか?」と訪ねた場合』を「三囚人問題」の基本問題と並べて図示すると次のようになる。「答」は看守が「囚人Bは処刑されるよ」と答えた場合の「囚人Aが助かる(恩赦になる)確率」の計算方法である。

 

 市川伸一さんらが考案した「変形三囚人問題」とその図解は「三つの扉、三枚の封筒」に載せてあるので、そちらを見てほしい。

追記:
 「三囚人問題」の基本問題と『囚人Aが「囚人Bは処刑されるか?」と訪ねた場合』の違いを理解するために次の図が参考になるかもしれない。

 基本問題では、Aが恩赦になる場合に看守が「Bは処刑」と「Cは処刑」と答える確率は1/2で等しかった。例えば1枚のコインを投げて決めたりする。コインを投げた時点でAにばれるので実際には心の中で決めるだけだろう。もしもAが恩赦になる場合に「Bは処刑」「Cは処刑」と答える確率を変えたらどうなるか、というのが上の図である。左の図は1/4の確率で「Bは処刑」と答えて3/4の確率で「Cは処刑」と答える場合。右の図は3/4の確率で「Bは処刑」と答えて1/4の確率で「Cは処刑」と答える場合。「コインを2枚投げて両方とも表だったら…」という決め方でも良い。図を見て分かる通り、看守が「囚人Bは処刑されるよ」と答えた後の囚人Aが恩赦になる確率は、左のケースだと1/5で右のケースだと3/7である。『囚人Aが「囚人Bは処刑されるか?」と訪ねた場合』は『Aが恩赦になる場合に「Bは処刑」と答える確率が1の場合』と同じになることが推察できるだろう。
 さて、Aが恩赦になる場合に看守の「Cは処刑」と答える確率が1(「Bは処刑」と答える確率が0)のケースで、「囚人Bは処刑されるよ」という答が返ってきたら、Aが恩赦になる確率は0になる。Aは嘆くだろうか? たぶん嘆くのはAが『Aが恩赦になる場合に看守の「Cは処刑」と答える確率が1(「Bは処刑」と答える確率が0)』という事実を知っていた場合だろう。基本問題では、Aが恩赦になる場合に「Bは処刑」「Cは処刑」と答える確率が同じであることを、Aが知っていたわけではなくて推察していただけと考えた方が良い。そのAの推察は妥当である。

追記:
 一つのことにのめり込んで他の仕事が疎かになる癖がある私ですが、さらに追記です。
 看守が囚人Aの処分について言及しない仮定は維持して、10%の確率で嘘をつく(囚人Bは恩赦なのに「処刑される」と言うとか、囚人Cは恩赦なのに「処刑される」と言うとか…)と仮定したら?
 いろいろと応用問題が作れそうで、上のような図を使えば比較的簡単に解けるかもしれません。

追記(2006/9/3):
 続きを書きました。→『変形三択問題』


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