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共謀罪を含む改悪組織犯罪処罰法は
【「共謀罪」法 衆参両院議員の投票行動(東京新聞 2017/6/16)】

生活保護:勤労収入と総収入

『特定非営利活動法人 自立生活サポートセンター もやい - Moyai』を見て
http://www.moyai.net/

 「エクセルによる生活保護費の自動計算ソフト」が提供されている。使ってみた。このようなソフトが欲しかった。生活保護費の算出方法については勉強したことがあるが、ごちゃごちゃしていて実際に応用したことがなく、実感が湧かなかった。とても使いやすく、確定申告の際に配られる「所得税の確定申告の手引」を連想した。

 「東京都千代田区」に「41歳〜59歳」の人が1人で住んでいるとして試してみた。

 「級地」は「1−1」になる。
 この「級地」は「I類」「II類」の「基準額」や「住宅扶助」の額の算定で使う。「基準額」は各級地のシートに載っている。「冬季加算額」は考慮しない。「住宅扶助」の基準額は「住宅扶助(1)」のシートに載っている。家賃が「基準額」以下の場合は家賃の全額が支給されて「基準額」を超えると「基準額」までしか支給されない。
 「母子加算」「児童養育加算」「障害者加算」「教育扶助」は「¥0」にしたので、「最低生活費」は「I類(基準額)」と「II類(基準額)」と「住宅扶助」の合計になる。
 「最低生活費」から「収入認定額」を引くと「保護費」になる。この「保護費」が支給される。
 「収入認定額」は「収入の種別」が「年金」や「仕送り・贈与」の場合はそのままの額になるが、「勤労(被用)収入」の場合は「基礎控除」を引いた額になる。
 その「基礎控除」は「基礎控除額表(2)」のシートに一覧表がある。ただし「1人目」を参照しているらしい。
 でも、こんなことは知る必要がなく、エクセルの各欄に記入していくと自動的に「保護費」が算出される。

 さて、「東京都千代田区」に「41歳〜59歳」の人が1人で住んでいる場合、「住宅扶助」は53,700円までは全額支給されて「最低生活費」は最大で135,310円になったが、家賃が低い場合は「住宅扶助」も家賃分しか出ず、家賃を節約したからといって生活のために実際に使える額は増えないので、「住宅扶助」を「¥0」(「最低生活費」は81,610円になる)として「勤労収入」と「総収入」の関係を計算してグラフにしてみた。

勤労収入と生活保護費

 勤労収入が増えるに連れて保護費が減らされる。これは生活保護制度が「生活するために足りない費用を支給する」という仕組みになっているからである。しかし、それだけでは勤労収入が増えても総収入が増えず勤労意欲が削がれて自立の妨げになるのではないかということで、勤労意欲の助長を目的として勤労控除(基礎控除)が設けられている。勤労収入から勤労控除を引いた額を収入認定額として、その収入認定額が最低生活費に達するまでは保護費(生活扶助)が支給される仕組みにしてある。この基礎控除額は勤労収入が増えるに連れて増加するので、勤労収入と保護費を加えた総収入も増加する。すなわち働けば働くほど総収入は増えるようになっている。
 しかし、グラフを見て分かる通り、傾きが緩やかである。一般的には1万円分多く働いたら収入は1万円増える。しかし、生活保護を受給している時は違う。例えば一月に1万円の勤労収入があった人が一月に10万円の収入が得られるまで働いたとする。9万円分も多く働いている。しかし、総収入は89,950円から104,830円まで、14,880円しか増えないのである。9万円分も多く働いて1万5千円弱しか収入が増えない。これで勤労意欲を助長できるのだろうか。いつも疑問に思っていることである。生活保護を受給していない場合は1万円分働いたら収入は1万円だけだし、10万円分働いたら収入は10万円だけだから、それに比べたら多い。しかし、9万円分も多く働いて1万5千円弱しか収入が増えない仕組みで勤労意欲を助長するのは無理があるように思われる。勤労意欲を助長するためには「お金」以外の目的が必要だろう。

 ところで、グラフでは勤労収入が105,200円で保護費が支給されなくなっているが、実際には住宅扶助などが支給される。ただし、全額支給されるわけではない。例えば家賃が40,000円の場合、住宅扶助を含めた保護費は39,920円しか支給されない。家賃が40,000円の場合、住宅扶助を含めた保護費が「0円」になるのは勤労収入が148,300円からである。
 また、グラフでは省略したが、「年金」や「仕送り・贈与」がある場合は、その額がそのまま「保護費」から減らされる。

 最後に…。上のグラフは「東京都千代田区」「41歳〜59歳」「1人」のケースである。住所や年齢や人数が異なると傾向は同じだが数値が異なるグラフになる。注意していただきたい。実際にソフトを自分のパソコンにダウンロードして各項目に記入して確かめると良いだろう。

追記:
 書き忘れたが、これまでよりも多く働いても総収入が増えない場合がある。例えば勤労収入が40,000円では総収入は95,460円(住宅扶助などを除く)だが、勤労収入が43,900円でも総収入は95,460円で同じである。すなわち、3900円分多く働いても総収入は全く増えない。これは「基礎控除額表(1)」のシートを見れば原因が分かる。グラフでは隠れてしまって見えないが…。


タグ:生活保護
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