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共謀罪を含む改悪組織犯罪処罰法は
【「共謀罪」法 衆参両院議員の投票行動(東京新聞 2017/6/16)】

退院支援施設の具体的な問題点

『3月30日 対厚生労働省 抗議行動 補足』(暴走する「心神喪失者等医療観察法」の廃止へ向けて+α)を読んで
http://blogs.yahoo.co.jp/taronanase/45924839.html

 厚労省の想定している退院支援施設の問題点がよく分かる。引用させてもらう。いつものように勝手に一部を強調表示させていただく。

1.「地域移行推進協議会」の構成や人選について
・厚生労働省の説明は、「地域移行推進協議会」を設置し、「退院支援施設」の評価や地域移行の調整を図る(だから、「閉じ込めにはならない」?というわけです)。
 「地域移行推進協議会」のメンバーについては、「事業者(退院支援施設の設置者)、利用者、家族、受け入れ先の市町村の立場に立つ者、相談支援事業者、地域住民の代表等で構成する」と説明しました。

 しかし、このメンバーの内、誰が必須メンバーか尋ねても、「誰が必須かという形では決まっていない」と答えました。
 さらに、この「地域移行推進協議会」のメンバーの人選・任命、運営に当たる事務局は誰かと尋ねたところ、当該の「退院支援施設」を設置する事業者であると驚くべき答えが返ってきました

 必須メンバーも決まっておらず、人選・任命、運営を当該の「退院支援施設」を運営する事業者に任せてしまえば、事業者にとって都合のよい者で構成して運営していくことができる仕組みです。これでは、何一つ歯止めになるどころか、むしろ、それに「お墨付き」を与えてしまうことも可能となります。

 まずは一つめ。
 「地域移行推進協議会」は『「退院支援施設」の評価や地域移行の調整を図る』らしいが、退院支援施設の事業者が選んだ人たちがその退院支援施設の評価をするらしい。このようなAが選んだ人たちがAの評価をするという構図はよくあると思うが、それはAに向上心があって厳しい批評を求めているときには有効だが、Aに向上心がなく評価されることが義務だから仕方なく評価してもらうような場合は自分に有利な人たちを選び勝ちだろう。では、「退院支援施設」を運営する事業者に向上心があるか。これまで社会的入院を減らしてこなかった病院の事業者であるから、そしてそのような事業者こそ「入院の継続が許されないのなら退院支援施設を」と求めているだろうから…。

2.ハード(設備)面での対応
・厚労省は、原則として病棟単位(フロアー単位)で転換する等、病院との一定の独立性を確保するとの説明がありました。

 「フロアー単位で転換」ということは、例えば、4階建ての病棟があった場合、1〜3階は病院、4階は「退院支援施設」という構造が認められるわけです。これのどこが、病院との一定の独立性を確保することになるのか全く不可解といわなければなりません。むしろ、こんなことを書かなければならない程、看板をかけ替えるだけで「退院支援施設」に「移行」できるということを意味しています。

 3月23日の交渉では、さらに、「病院との一定の独立性を確保」とは何をもってなされるのか、例えばお風呂は別々でないといけないのか?と尋ねたところ、「ケースバイケース、お風呂は水回りの問題があるから別々にするのが難しい場合がある」との回答がありました。食堂や浴室等が同一でも認められるというわけです。これのどこが「一定の独立性」なのでしょうか?
 この点も、他にも玄関やトイレ、給食設備等々具体的に示してほしいと質問しても、答えられず、話し合いを継続することになっていました。

 『病院との一定の独立性を確保することになるのか全く不可解』と書いてあるが、全くその通りである。私は「病院の敷地内」と聞いて同じ敷地内に別の施設を建てるのかと思っていたが、『1〜3階は病院、4階は「退院支援施設」という構造が認められる』ようでは、退院支援施設は病院の一部と考えるのが自然だろう。

3.「病院−退院支援施設」間を往復することでの隔離の継続の問題
・私たちが、昨年から指摘してきたことの大きな問題点の一つに、病院と「退院支援施設」間の往復の問題があります。この両者の間をグルグル回すことで、一生、実質的には病棟に閉じ込められてしまう状態がつくられてしまいかねません。
 しかし、その点については、昨年9月の説明から何一つ付け加わるものはありませんでした。つまり、「標準利用期間は2年ないし3年で、更新申請に当たっては審査会で審査をすることでチェックする」ということでした。

 ですが、例えば、「4階の退院支援施設で訓練をしていたが調子を崩したので、再度、3階の病床に再入院。そして、急性期を過ぎたら、再度4階の退院支援施設に移って再チャレンジ」という場合は、この更新には当たらず新規となります。
そうした医者の「診断」に審査会が関与できるはずもありません。 この点の質問に対しては、「医療批判をしているのか?」と開き直りとも言える回答しかありませんでした。私たちからは、これまでの痛ましい歴史の経験に基づいて危惧しているということを言いましたが、この部分は資料に書いている説明の繰り返ししかありませんでした。

 この『4階の退院支援施設で訓練をしていたが調子を崩したので、再度、3階の病床に再入院。そして、急性期を過ぎたら、再度4階の退院支援施設に移って再チャレンジ』というケースは十分にあり得る。身体障害者や知的障害者と異なる精神障害者の特性として「疾患と障害の共存」ということが昔から言われている。「疾患と障害の共存」については「障害」の定義から深く考察する必要があるが、とにかく、精神医療・福祉に従事する多くの人に染み付いた考え方だろう。上記のような退院支援施設の運用は、その「疾患と障害の共存」を使ったトリックである。

4.「退院支援施設」に移った者のカウントと「社会的入院者」の数・同じく昨年から指摘した問題で答えがなかった問題として、「退院支援施設」に移った者のカウントの問題があります。
 「退院支援施設」に移ることで医療統計上は「医療から外れる」ことになります。そのことにより、(実態は変わらないのに)見かけだけの「精神科病床入院患者数」が減ることをもって、「社会的入院解消へ前進」したとされてしまうと批判してきたわけです。
 昨年9月には厚生労働省も、「地域移行の途上にある者」ということになるが、統計上処理するかは検討するといっていました。しかし、そのことすらも明らかにされませんでした。

 これは「退院支援施設に移ったら社会的入院患者でなくなる」と考えて良いだろう。すでにそのように報道されていると思う。『統計上処理するかは検討する』というのは「社会的入院患者でなくなる」と言うと攻められるので、誤魔化しているのである。『明らかにされませんでした』とあるが、施行するまで明らかにするはずがない。施行してから明らかにするのが官僚の手口である。

5.ソフト(運営)面での対応
・ここで示されている、外出訓練・グループホーム体験入居等の敷地外活動や、当事者活動(ピアサポート)の活用と言われるものは、「退院支援施設」とは本来関係なく、それ自体で充実させていくべきことです。
 ピアサポート等はこれまで何一つ制度的な支援がなく、手弁当で何とか続けてきたのが現状です。これまでも精神障害者の地域生活のあり方検討会等ではピアサポートの制度化が課題となっていました。しかし、その後、厚生労働省は何一つ具体化してきませんでした。にも関わらず、「退院支援施設」への批判に対して、あわてて「ピアサポートの活用」を持ち出しているに過ぎません。

 『「退院支援施設」への批判に対して、あわてて「ピアサポートの活用」を持ち出している』はその通りだろう。厚労省は「駄々をこねる子に飴玉を与えて従順にさせる」というイメージを持っているだろう。

 それにしても、本来、退院支援施設に対する批判を厚労省にぶつけるのは国会議員の役割だろう。本来は「国民→国会議員→行政(厚労省)」という流れだろう。七瀬さんらに負担させて、「国民→厚労省」とならざるを得なくなっている現状は何か違うような気がする。国会議員は他のことで忙しいから仕方ないのかもしれないが、何か違うような気がする。何とかならないのだろうか。


【障害者自立支援法案に関する私の以前のブログ記事】


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七瀬 タロウ

これから、都道府県別に「退院支援施設を認めるな」と言う要望書を送り、各自治体と交渉すると言う気の遠くなる作業をしなくてはなりません。

なお、ブログからの引用に関しまして、若干トラブルが生じましたので、激し目の規則を作りましたが、正己さんの場合は、一括時事承認制で、転載禁止と書いてある部分、及び「個人的なこと」以外はご自由に引用して下さってかまいません。ボクも山本真理さんのメールは一括事前承認で、掲載させていただいています。それでは、今後ともよろしくお願いします(特に「新企画」の宣伝等)。
by 七瀬 タロウ (2007-06-12 17:13)

正己

七瀬さん、コメントありがとうございました。m(_ _)m
一部の人にはバレバレですが、一応匿名でブログを書いていますので、(2007-06-12 16:25)のコメントの私の名前の部分を変更させていただきました。(^_^;)

『転載禁止と書いてある部分、及び「個人的なこと」以外はご自由に引用して下さってかまいません』とのこと、ありがとうございます。これまでは「転送歓迎」などと書いてある記事以外は「引用」の形にするための工夫が必要でしたが、簡単なコメントの後に転載できるなど少し楽になります。本当は七瀬さんのブログを見てもらった方が良いのですが…。(^_^;)
by 正己 (2007-06-12 17:24)

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