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共謀罪を含む改悪組織犯罪処罰法は
【「共謀罪」法 衆参両院議員の投票行動(東京新聞 2017/6/16)】

モンティ・ホール問題:補足3

 司会者がダンボール箱の中で普通のサイコロ(目は1~6の整数)を転がし、ダンボール箱の中を見ることのできない回答者が出た目を当てる。既にサイコロの目は確定している。回答者が「出た目は“1”である」と推測した場合、回答者の推測が正しい確率は 1/6 である。その後に司会者から「出た目は奇数である」というヒントをもらったら、回答者の推測が正しい確率は 1/3 に上昇する。司会者から「出た目は偶数である」というヒントをもらったら、回答者の推測が正しい確率は 0 になる。しかし、司会者から「出た目は奇数か偶数である」というヒントをもらっても、回答者の推測が正しい確率は 1/6 のまま変化しない。出た目が奇数か偶数かは推測する前に分かっていたことだからである。
 変形3囚人問題(参照)では、囚人Aの「自分が恩赦になる」という推測の確からしさ(囚人Aが恩赦になる確率)が、看守から「囚人Bは処刑されるよ」という新たな情報を得たことで、1/4 から 1/5 に減少した。「囚人Bか囚人Cのどちらかは処刑されるよ」という情報だったら、看守に聞く前に分かっていたことなので新たな情報とは言えず確率は1/4 のまま変化しない。
 では、モンティ・ホール問題(参照)ではどうだろうか。
 3つのドアA、B、Cがあり、プレイヤーが「Aのドアの後ろに景品がある」と推測して選択した後に、ホストがBのドアを開けて「Bのドアの後ろには景品がない」という新たな情報をもたらしたのなら、プレイヤーの推測が正しい確率は更新しなければならない。一般的なモンティ・ホール問題では更新前も更新後も 1/3 で一致したが、【モンティ・ホール問題を考察するための3封筒問題】のように、A、B、Cの後ろに景品がある事前確率(新たな情報が得られる前の確率)をそれぞれ 1/4、1/4、1/2に変えた場合には、プレイヤーの推測が正しい確率は1/4 から 1/5 に減少する。
 しかし、プレイヤーが「Aのドアの後ろに景品がある」と推測して選択した後に、ホストの開けたドアがBかCか判明しない場合は、「BかCのドアの後ろには景品がない」という初めから分かっていた情報が得られただけで新たな情報が得られたとは言えず、プレイヤーの推測が正しい確率は更新できない。

 さて、巷に溢れているモンティ・ホール問題の解法では、ホストの開けたドアが判明していないことを前提にしている。したがって、プレイヤーの選択したドアの後ろに景品がある確率(プレイヤーの「このドアの後ろに景品がある」という推測が正しい確率)は変化しない。それは正しい。では、プレイヤーが選択しなかったドアの後ろに景品がある確率(プレイヤーの選択しなかったドアの内の片方についての「このドアの後ろに景品がある」という推測が正しい確率)も変化しないのであろうか。
 例えば、3つのドアA、B、Cがあり、プレイヤーが「Aのドアの後ろに景品がある」と推測して選択した後に、ホストがBかCのドアを開けて「BかCのドアの後ろには景品がない」という初めから分かっていた情報を提供した場合に、観客などの「Bのドアの後ろに景品がある」という推測が正しい確率や「Cのドアの後ろに景品がある」という推測が正しい確率は変化しないのであろうか。
 「BかCのドアの後ろに景品がある」という推測が正しい確率は変化しない。「Aのドアの後ろに景品がある」か「BかCのドアの後ろに景品がある」かどちらかしかなく、「Aのドアの後ろに景品がある」という推測が正しい確率が変化しないのと同様に、「BかCのドアの後ろに景品がある」という推測が正しい確率も変化しない。問題は、B、Cそれぞれのドアについての「後ろに景品がある」という推測の正しさが変化するか否かである。

 【モンティ・ホール問題 - Wikipedia】を見ると、次のような図がある。

 この図を見ると、ホストがドア3を開けたことで「ドア2かドア3の後ろに景品がある確率」2/3 がドア2に集中して「ドア2の後ろに景品がある確率」が 2/3 になったように見える。それは結果としては正しいが、解釈としては間違っているだろう。【モンティ・ホール問題を考察するための3封筒問題】のように、ドア1、ドア2、ドア3の後ろに景品がある事前確率をそれぞれ 1/4、1/4、1/2に変えて同じように解くと、ドア3を開けたことで「ドア2かドア3の後ろに景品がある確率」3/4 がドア2に集中して「ドア2の後ろに景品がある確率」が 3/4 になってしまう。実際には、「ドア2の後ろに景品がある確率」は 2/3 である(【モンティ・ホール問題を考察するための3封筒問題】に載せた円グラフ表現の図では「シ/(ウ+シ)」を計算する)。「ドア1の後ろに景品がある確率」は 1/4 のままではなく 1/3 に上昇する(【モンティ・ホール問題を考察するための3封筒問題】に載せた円グラフ表現の図では「ウ/(ウ+シ)」を計算する)。
 しかし、ホストの開けたドアがドア2かドア3か判明していないなら、残されたドアもドア2かドア3か明らかではなく、「残されたドアの後ろに景品がある確率」は「ドア2かドア3の後ろに景品がある確率」と等しくなると考えて良い。ドア1、ドア2、ドア3の後ろに景品がある事前確率を 1/4、1/4、1/2に変えても、「ドア1の後ろに景品がある確率」は 1/4 のまま変化せず(【モンティ・ホール問題を考察するための3封筒問題】に載せた円グラフ表現の図では「(イ+ウ)/(イ+ウ+シ+ト)」を計算する)、「残されたドアの後ろに景品がある確率」は 3/4 である(【モンティ・ホール問題を考察するための3封筒問題】に載せた円グラフ表現の図では「(シ+ト)/(イ+ウ+シ+ト)」を計算する)。

 さて、通常のモンティ・ホール問題で、ホストの開けたドアがドア2かドア3か判明していない場合、「ドア2の後ろに景品がある確率」は 1/3 のままだろうか。「ドア3の後ろに景品がある確率」は 1/3 のままだろうか。ドア1、ドア2、ドア3の後ろに景品がある事前確率を 1/4、1/4、1/2に変えた場合、、ホストの開けたドアがドア2かドア3か判明していなければ、「ドア2の後ろに景品がある確率」は 1/4 のままで、「ドア3の後ろに景品がある確率」は 1/2 のままだろうか。
 【モンティ・ホール問題を考察するための3封筒問題】に載せた円グラフ表現の図を使って計算すると、「ドア2の後ろに景品がある確率」は「シ/(イ+ウ+シ+ト)」に相当し、「ドア3の後ろに景品がある確率」は「ト/(イ+ウ+シ+ト)」に相当する。「ドア2の後ろに景品がある確率」も「ドア3の後ろに景品がある確率」も事前確率のまま変化しないことが容易に分かる。

 では、【モンティ・ホール問題:補足】【モンティ・ホール問題:補足2】の時のように数式を使って確認してみる。
 その前に、「ドア1」「ドア2」「ドア3」という表現は面倒なので、それぞれのドアをA、B、Cとする。
 ホストが景品のないドアの一つを開ける前の各ドアの後ろに景品のある確率はそれぞれP(A)P(B)P(C)である。
 プレイヤーが「Aのドアの後ろに景品がある」と推測して選択した後に、ホストがBかCのどちらかのドアを開けて「BかCのドアの後ろには景品がない」という情報を提供した場合に、観客などの「Bのドアの後ろに景品がある」という推測が正しい確率はP(B|"-B"∪"-C")で、「Cのドアの後ろに景品がある」という推測が正しい確率はP(C|"-B"∪"-C")である。「P(B|"-B"∪"-C")=P(B)」と「P(C|"-B"∪"-C")=P(C)」を確認する。

  P(B|"-B"∪"-C")
= P("-B"|"-B"∪"-C")P(B|"-B") + P("-C"|"-B"∪"-C")P(B|"-C") - P("-B"∩"-C"|"-B"∪"-C")P(B|"-B"∩"-C")
= P("-B"|"-B"∪"-C")P(B|"-B") + P("-C"|"-B"∪"-C")P(B|"-C") (∵P("-B"∩"-C"|"-B"∪"-C")=0:開けるドアは1つ)
= P("-B")P(B|"-B") + P("-C")P(B|"-C") (∵P("-B"|"-B"∪"-C")=P("-B")、P("-C"|"-B"∪"-C")=P("-C"):Aは開けない)
= P(B)P("-B"|B) + P(B)P("-C"|B) (∵ベイズの定理や条件付き確率の定義の式による変形)
= P(B) (∵P("-B"|B)=0、P("-C"|B)=1:ハズレのドアしか開けない)
  P(C|"-B"∪"-C")
= P("-B"|"-B"∪"-C")P(C|"-B") + P("-C"|"-B"∪"-C")P(C|"-C") - P("-B"∩"-C"|"-B"∪"-C")P(C|"-B"∩"-C")
= P("-B"|"-B"∪"-C")P(C|"-B") + P("-C"|"-B"∪"-C")P(C|"-C")
= P("-B")P(C|"-B") + P("-C")P(C|"-C")
= P(C)P("-B"|C) + P(C)P("-C"|C)
= P(C) (∵P("-B"|C)=1、P("-C"|C)=0)

 少しごちゃごちゃしたが「P(B|"-B"∪"-C")=P(B)」と「P(C|"-B"∪"-C")=P(C)」を確認できた。
 すなわち、3つのドアA、B、Cがあり、プレイヤーが「Aのドアの後ろに景品がある」と推測して選択した後に、ホストがBかCのドアを開けて「BかCのドアの後ろには景品がない」という初めから分かっていた情報を提供しても、観客などの「Bのドアの後ろに景品がある」という推測が正しい確率や「Cのドアの後ろに景品がある」という推測が正しい確率は変化しない。「推測が正しい」など「推測」に絡む表現を省いて書くと、3つのドアA、B、Cがあり、プレイヤーがAのドアを選択した後に、ホストがBかCのドアを開けても、どちらのドアを開けたか判明していない場合は、Aのドアの後ろに景品がある確率が変化しないだけでなく、Bのドアの後ろに景品がある確率やCのドアの後ろに景品がある確率も変化しない。例えば、3つのドアA、B、Cの後ろに景品がある確率がそれぞれ 1/3、1/3、1/3 だった場合、ホストが開けたドアが判明しなければ、A、B、Cの後ろに景品がある確率はそれぞれ 1/3、1/3、1/3 のまま変化せず、3つのドアA、B、Cの後ろに景品がある確率がそれぞれ 1/4、1/4、1/2 だった場合、ホストが開けたドアが判明しなければ、A、B、Cの後ろに景品がある確率はそれぞれ 1/4、1/4、1/2 のまま変化しない。

 巷に溢れているモンティ・ホール問題の解法では、ホストがドアの1つを開けた後に、プレイヤーの選択したドアが当たりである確率は変化しないのに選択しなかったドアが当たりである確率は変化することになっている。その理由についての考察が不十分だと思われたので、「ホストの開けたドアが判明していなければ各ドアが当たりである確率は変化しない」ということをこのエントリーで確認してみた。以上、分かりやすく書けてないと思うがご容赦願いたい。


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