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共謀罪を含む改悪組織犯罪処罰法は
【「共謀罪」法 衆参両院議員の投票行動(東京新聞 2017/6/16)】

国民審査で最高裁の裁判官にプレッシャーを

 2009/8/30に衆院選があるが、その日は裁判所のトップ最高裁の裁判官の一部を国民が投票で罷免できる最高裁判所裁判官国民審査の日でもある。

日本国憲法第79条第2項及び第3項と最高裁判所裁判官国民審査法に基づいている制度である。最高裁の裁判官は、任命後初の衆議院議員総選挙の投票日に国民審査を受け、その後は審査から10年を経過した後に行われる総選挙時に再審査を受ける。

最高裁判所裁判官の運命がかかっている国民投票であるにもかかわらず、衆議院議員総選挙の陰に隠れて制度自体があまり浸透していない。

国民審査の実施方法などについては最高裁判所裁判官国民審査法で定められている。国民審査の投票用紙にはそのときに国民審査の対象となる裁判官の氏名が記されており、投票者は罷免すべきだと思った裁判官の氏名の上に×印を書き入れる。投票者の過半数が×印をつけ罷免を可とした裁判官が罷免される。×印以外の記号を投票用紙に書いた場合は無効となる。

 「一票の格差」に対する判断(事件番号平成17(行ツ)247平成18(行ツ)176)を審査の判断材料にするよう呼びかけている【一人一票実現国民会議】のようなサイトもあるが、判断材料はそれだけではない。
 裁判所のサイトの判例検索システムで「全文」の所に裁判官名を記入して検索すると、その裁判官が参加した裁判を抽出できる。今回の国民審査の対象となる裁判官名を入力して抽出した結果を一覧表(最高裁判所裁判官国民審査用判例一覧)にしたので参考にして欲しい。
 見ると、「一票の格差」に対する裁判(事件番号平成17(行ツ)247平成18(行ツ)176)以外にも重要な裁判がいくつかある。私が独り言に記録した判決を古い順に見てみると、次のような裁判がある。

 これらの裁判で頷ける判決を出した裁判官を罷免したら今後は逆の判決になるかもしれないので罷免できない、と考える必要はないだろう。補足意見や反対意見のない判決では他の裁判官でも同じ判決になる確率が高いと思うので、罷免しても問題ないだろう。反対意見のある判決では、賛成意見の裁判官を罷免することで反対意見に同意する裁判官が就任して今後の裁判で判例が変わる可能性がある。国民審査の対象となる裁判官が関わった全ての裁判を判断材料にすると迷う場合は、反対意見のある判決を重視すると良いだろう。

 さて、今回の国民審査の対象となっている裁判官に竹﨑博允さん(最高裁判所長官)が含まれている。平成20年11月25日に東京高裁長官から最高裁判事を経験せずに最高裁長官に就任した裁判官で、私が作った判例リストの中には2例しかない。竹﨑博允さんが長官になったのは裁判員制度の定着が目的と見られているらしい(共同通信、2008/10/28)。朝日新聞では『最高裁長官に竹崎氏 裁判員制度を推進 14人抜き』(2008/10/29)、『最高裁新長官 なぜ竹崎氏 裁判員制度見据え抜擢』(2008/11/26)、『死刑判断枠組み「検討必要」最高裁長官、裁判員運営に自信』(2009/5/3)という見出しだった。だから私は彼のことを裁判員制度に賛成で裁判員制度を擁護する立場だと思っていた。しかし、このエントリーを書くときに調べてみたら、「陪審制度に徹底して反対するリポートを書いた」「私は反対していた。しかし、制度ができた以上は良いものにしなければならない」ということらしい(【脱官僚か、プロの誇りか。裁判員制度の陰に、2人の最高裁長官の「思想的対立」があった】)。反対していたが、今は賛成らしい。「04年に法律が成立してしまうと、消極的な現場の説得にあたった」らしい。裁判員制度を利用して既存の司法の問題を改善しようとしているようにも見える。問題を解決したら「裁判員は要らない」と再び反対するのかもしれない。本音が見えない。
 しかし、竹﨑博允さんが消極的な現場の説得に努力しなければ裁判員制度は施行延期になったかもしれない。裁判員制度をめぐる裁判ではどのように判断するだろうか。裁判員制度を擁護する判断に傾かないだろうか。

 もしも竹﨑博允さんが裁判員制度を推進する立場だとしたら、あるいは裁判員制度を推進する立場だと国民や国会議員に思われているのなら、今度の国民審査で彼の名前の上に「×」が付けられた票が過半数を超えて彼が罷免されれば、国民が裁判員制度に反対していることを示す強力なメッセージになる。国会で裁判員制度の廃止が検討されるかもしれない。裁判員制度に反対している私にとっては、裁判員制度廃止に向かって動き出せば嬉しい。
 竹﨑博允さんが心の底で裁判員制度が壊れることを願っているとしても、裁判員制度をめぐる裁判で竹﨑博允さんが意見を述べるのは大法廷だけのような気がする。大法廷まで進むことはほとんどなさそうなので、結局は今後も裁判員制度に「消極的な現場の説得」を続けて裁判員制度を維持し続けようとするだけだろう。裁判員制度の問題点を自分から指摘して改善を促すようなことはしないだろう。それならば、やはり国民審査で竹﨑博允さんに不信任票を投ずることで裁判員制度に反対する意思表示をした方が良いような気がする。

 今度の国民審査はどのような結果になるだろうか。これまでは全く機能してなかったように見える最高裁判所裁判官国民審査。罷免される裁判官がいなくても良いから、多数の不信任票が投じられることを願いたい。罷免される可能性を意識するようになれば最高裁の裁判官も国民の声を無視しにくくなるだろう。最高裁の判例は高裁や地裁の判決にも影響する。国民の声が司法に反映される最善の手段だと思われる。

追記(2009/8/31):
 「最高裁裁判官国民審査:9人全員が信任」(毎日新聞、2009/8/31)によると、全員が信任されたようです。
 罷免要求票数(率%)は次の通りらしいです。

 ◆最高裁裁判官国民審査の結果◆
氏名(出身)     罷免要求票数(率%)
桜井龍子(行政官)  4656462(6.96)
竹内行夫(行政官)  4495571(6.72)
涌井紀夫(裁判官)  5176090(7.73)
田原睦夫(弁護士)  4364116(6.52)
金築誠志(裁判官)  4311693(6.44)
那須弘平(弁護士)  4988562(7.45)
竹崎博允◎(裁判官) 4184902(6.25)
近藤崇晴(裁判官)  4103537(6.13)
宮川光治(弁護士)  4014158(6.00)
 ※告示順、敬称略。◎は長官
「最高裁裁判官国民審査:9人全員が信任」(毎日新聞、2009/8/31)

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