金持ちはより金持ちに、貧乏人はそれなりに
「経済が成長すれば貧困が減少する」という主張を時々耳にする。間違っていないと思うが、経済学を勉強したことがない、あるいは経済学を勉強したかどうかも忘れてしまった私には理由が分からない。漠然と「パイが大きくなれば分け前が増える」というイメージを持っている。私はパイよりもピザの方が好きでイメージしやすいので「ピザが大きくなれば分け前が増える」であるが、同じ人数で平等に分ければ確かに自分が食べる分は増える。それで経済成長が貧困を減少させる理由を説明できるのだろうか。
また、経済成長が貧困を減少させる理由として下の図1のようなイメージを思い浮かべることがある。
図1 |
経済が成長する(上に引っ張る)と金持ちの所得が上昇して、その下の貧乏人の所得も一緒に上昇するイメージである。
単純かもしれないが「経済が成長すれば貧困が減少する」という主張を信じている「素人」のイメージはそんな感じではないだろうか。
しかし、実際は経済が成長しても貧乏人は貧乏人のままのような気がして、貧困が減少しても少しだけのような気がする。「格差社会」という言葉を頻繁に耳にするようになった。金持ちと貧乏人の所得の差が広がっているのだろう。経済が成長することによって「金持ちはより金持ちに、貧乏人はそれなりに」ということなのかもしれない。
そのような状態になる理由を考えていたら、次の図2のようなイメージが浮かんだ。
図2 |
バネの直列接続である。
バネは伸ばすと縮もうと抵抗し、縮めると伸びようと抵抗する(参照)。その抵抗の強さの指標となるのが「ばね定数(k)」(参照)で、kが大きいほど抵抗が強い。
さて、図2のようにバネを直列接続した場合、金持ちの所得がxr上昇しても貧乏人の所得はxr上昇するとは限らない。貧乏人の所得上昇xpは図2の中の式のように求められ、下に繋いだバネのばね定数kpが大きければ大きいほどxpはxr(金持ちの所得上昇)と比べて小さくなる。金持ちと貧乏人の所得格差が大きくなる。kpがkrと比べて異常に大きければ、例えばバネではなく紐で地面(所得=0)に繋がれていたら、金持ちの所得が上昇しても(xrが大きくなっても)貧乏人の所得は上昇しない(xp=0)。
図2のように考えた場合、貧乏人の所得を上昇させるには、kpを小さくすれば良い。貧乏人を貧乏人のままにしようとする力を弱めれば良い。貧困の原因として挙げられている様々な事がkpを大きくしている原因だろうから、それらを取り除くことでkpが小さくなって所得が上昇しやすくなるだろう。ちなみに、「kp=0」にすると図1になる。図1は図2を作った後に作った図である。また、図2では地面と貧乏人を繋いであるバネが1本であるが、複数のバネを並列に接続すると、トータルでのばね定数は大きくなる(参照)。貧乏人を貧乏人のままにしようとする力が強くなる。貧困の原因として挙げられている一つ一つが貧乏人と地面を繋いでいるバネで、その一つ一つを外していくことでトータルでのバネ定数が小さくなって所得が上昇しやすくなると考えることもできる。
以上、経済成長で「金持ちはより金持ちに、貧乏人はそれなりに」となる状況を、経済成長で金持ちと貧乏人の所得格差が大きくなる状況をバネの直列接続のイメージで考察してみたのだが……、変かもしれないが面白いとは思う。バネの直列接続はバネを伸びやすくするので金持ちの所得が増えやすいのは貧乏人が存在するおかげとか、バネは伸ばせば伸ばすほど縮もうとする力が強くなって手を離すと大きく縮むので経済を成長させていた要因がなくなると思いっきり下落するとか、バネは伸ばした後に手を離すと伸びたり縮んだりを繰り返して振動するので経済を成長させていた要因がなくなって思いっきり下落しても再び上昇して上昇と下落を自然に繰り返すとか、他にもバネのイメージに当てはめて説明できる現象がありそうである。
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