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共謀罪を含む改悪組織犯罪処罰法は
【「共謀罪」法 衆参両院議員の投票行動(東京新聞 2017/6/16)】

前後即因果の誤謬や回帰の誤謬に注意

 私には特殊な能力があるらしい。雨が降っている時に窓の外を見ながら「晴れてくれ!」と願うと晴れて、晴れている時に空を見上げて「雨よ降ってくれ!」と願うと雨が降る。どうやら私には天気を操る能力があるらしい。……。冗談である。しかし、「晴れてくれ!」と願った後に晴れて「雨よ降ってくれ!」と願った後に雨が降るのは本当である。「天気を操る能力があるらしい」と思っているのは嘘である。「晴れてくれ!」と願った後に晴れて「雨よ降ってくれ!」と願った後に雨が降っているのに「私には天気を操る能力があるらしい」と思わないのはなぜか。わざわざ書かなくても読んでいる人は分かっていると思うが、上の文章中に書かれていない情報があるからである。雨が降っている時に窓の外を見ながら「晴れてくれ!」と願うと一年以内に晴れて、晴れている時に空を見上げて「雨よ降ってくれ!」と願うと一年以内に雨が降るという、当たり前のことを言っているに過ぎないからである。この日本では一年間晴れないことはないし、一年間雨が降らないこともない。いつかは晴れるし、いつかは雨が降る。だから「私には天気を操る能力があるらしい」とは思わない。『前後即因果の誤謬』と呼ぶのだろうか。

前後即因果の誤謬は以下のような形式で表せる。

  • Aが発生し、その後 Bが発生した。
  • 従って、Aが原因となって Bが起きた。

Bが好ましくない事象である場合、この形式を逆転させることが多い。すなわち、「Bを防ぐためには Aを防げばよい」という形式である。

(前後即因果の誤謬 - Wikipedia)

 『前後即因果の誤謬』は前後に起こったことの時間差が短い場合に使うのかもしれない。天気の例は願った直後に変化するわけではないので『前後即因果の誤謬』とは呼ばないかもしれない。しかし似たようなものである。
 【前後即因果の誤謬 - Wikipedia】は『認知の回帰錯誤傾向』の解説をネット上で探していて見つけたのであるが、『認知の回帰錯誤傾向』は『心理学ビギナーズ・トピックス100』という本の「親はなぜ子供を叱るか」というトピックのページで知った。次のように書いてある。

 子どもたちは、良い事をしたり、悪い事をしたりして遊んでいる。そこで仮に単純に平均的考えで親の注意、褒賞などに関係なく、順番に回帰するとし、良い事をしたら次には悪い事をし、悪い事をしたら次には良い事をするとしよう。①良い事→②悪い事→③良い事→④悪い事→……と続くとする。
 さて、これを親の賞罰を加えて、親の立場から眺めてみよう。
 子どもが①良い事をした、そこで親はほめた、ところが子どもは次に②の行動をする、つまり悪い事をするのである。その時、ほめると悪い事をするということを知らされる。このように悪い事をしたので、今度は叱った。一方、子どもの方の次の順番は③なので良い事をした。すると親から見ると、叱ったので良い事をしたと見えることになる。ほめると悪い事をし、叱ると良い事をする。つまり、ほめるよりも叱るほうが効果的、と親は、実体験的に、感じとるのである。ただし、本当は単なる平均への回帰現象を誤認している、というのが、心理学者の見方である。
(齊藤勇編「心理学ビギナーズ・トピックス100」誠信書房、26ページ)

 引用内の強調表示は私の判断である。
 Wikipediaには【回帰の誤謬】もあるので、もしかしたらそちらかもしれない。Wikipediaの【誤謬】のページには他にも知っておいた方が良い誤謬があるが、今回は【前後即因果の誤謬】、あるいは【回帰の誤謬】を紹介した。【マネーゲームのマネーは増加し振幅は大きくなった】を書いた後だからである。政府の政策と株価の上下動の関係には因果関係があるように見えるかもしれないが、もしかしたら【前後即因果の誤謬】【回帰の誤謬】かもしれないから注意してほしいのである。「株価が上昇したのは政府の政策のおかげだ」という主張も「株価が下落したのは政府の政策のせいだ」という主張も「景気を好くするためには○○しろ!」という主張も「××すると景気が悪化する」という主張も、上に引用した「ほめると悪い事をし、叱ると良い事をする」と考える親と同じような勘違いをしているかもしれないのである。もちろん、強力なマネーゲームプレーヤーの売買と株価の上下動の関係も【前後即因果の誤謬】【回帰の誤謬】かもしれない。政府の政策発表に応じて売買するプレーヤーや何らかの目的を持って大量に売買して株価を動かそうとするプレーヤーもいるようなので、全く関係ないとは思わないが、結局は平均に回帰するのだろう。その平均も色々とあって、ある平均が変動していても、その変動も別の平均に回帰するものかもしれず、その平均も…。

 下の図はおまけである。青い線のように頻繁に上下していても結局は赤い線に沿っていて、赤い線も長い目で見れば結局は黒い線(y=0.5)に沿っているだけである。

平均への回帰?


タグ:誤謬 心理学
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