SSブログ
RSS [RSS1.0] [RSS2.0]
共謀罪を含む改悪組織犯罪処罰法は
【「共謀罪」法 衆参両院議員の投票行動(東京新聞 2017/6/16)】

記事一覧

記事一覧:正己の異論・反論

続きを読む



共通テーマ:blog

ベーシックインカム:段階的導入案

 ベーシックインカムについてはこれまでに何度か書いた(参照)。ツイッターでは度々コメントしていたような気がするが、ブログに書くのは久しぶりである。支給額については月額8万円とか10万円とか色々な案があると思うが、一度に導入するのは難しいと思う。そこで、今回はベーシックインカムの段階的導入案について書こうと思う。

 最初は毎月1万円(一年で12万円)を支給して、翌年は毎月2万円(一年で24万円)、その翌年は毎月3万円(一年で36万円)と、毎年、月額で1万円ずつ増やしていく。最終的な支給額は、その年になったら国民が判断すれば良い。どのくらいの額が適当かは今は分からない。
 財源は所得税にすると簡単である。ただし、これまでの所得税とは別に支払ってもらうため「基本所得保障税」と呼ぶ。税率の決め方は次の図のようにする。

 まず、課税所得の計算方法はこれまでと同じである。その課税所得に所得税率を掛けて所得税が決まる。住民税の所得割も課税所得で決まる。住民税には他に均等割りもある。税額控除で税金の一部が免除されて納税額が決まる。ここまではこれまでと同じで変更しない。
 課税所得からこれまでの納税額(所得税+住民税-税額控除)を引いた額(所得保障分課税所得)からベーシックインカム(基本所得)を支給するための税金(基本所得保障税)を支払ってもらう。ベーシックインカムの税率(所得保障税率)も所得保障分課税所得を基に決定する
 支給対象は徴税や支給の事務を簡略化するためにマイナンバー制度を利用することにしてマイナンバー(個人番号)のある人(日本に住民票を有する全ての人。外国籍の人も含む)にする。
 支給金額の総額(支給金額×個人番号のある人の人数)を所得保障分課税所得の総額で割れば所得保障税率が決まる。
 具体的には、例えば次のようになる。

 国税庁のサイトの統計情報のページによると、平成27年分の源泉徴収税額(参照)は約17兆8千億円らしい。利子所得等(2,683,577百万円)、配当所得等(25,764,214百万円)、特定口座内保管上場株式等の譲渡所得等(3,802,351百万円)、報酬・料金等所得(56,222,850百万円)、非居住者等所得(6,372,328百万円)に対する税金も含まれるが、給与所得(271,389,818百万円)と退職所得(8,618,023百万円)だけ記載して、所得保障税率を決める計算も給与所得と退職所得だけを用いた。したがって、実際の総所得はもっと多くなり、所得保障税率も低くなる。
 また、平成27年分の申告納税額(参照)は約3兆円らしい。ただし還付税額が約1兆1千億円ある。これは確定申告した分の総所得金額等(76,584,875百万円)に対する税金である。
 これらを基に総所得を推定すると約356兆円になり、所得税は約19兆7千億円、住民税は約37兆円で納税額は約56兆円になる。これらの推定額については自信がないので、これを読んだ人が自分で正しい数値を確認して、その数値を基にして計算してほしい。
 ベーシックインカムを支給する基になる所得保障分課税所得は総所得(約356兆円)から納税額(約56兆円)を引いた約300兆円である。

 さて、総務省統計局の人口推計(参照)によれば、平成29年(2017年)5月1日現在(確定値)の総人口は,1億2672万4千人らしい。この総人口には外国人も含む。先に述べたように、支給対象はマイナンバーのある人にするのだが、その人数が記載されたサイトを見つけられなかったので、総務省統計局の人口推計を利用することにする。

 マイナンバーのある全ての人(約127百万人)に毎月1万円を支給することにすると、一年に約15兆2400億円が必要になる。これは所得保障分課税所得(約300兆円)の約5%である。これが毎月1万円の基本所得を支給する場合のベーシックインカムの税率(所得保障税率)である。毎月2万円を支給するなら2倍の10%、毎月8万円を支給するなら8倍の40%になる。
 年収400万円の人が必要経費や所得控除などを引いて課税所得が300万円になった場合、取得税率は10%で97,500円を控除して所得税は202,500円である。住民税は約30万円で、所得保障分課税所得は約250万円である。ベーシックインカム(基本所得)が毎月1万円(一年で12万円)なら基本所得保障税は5%の約12万5千円で、実質的に一年に約5千円の増税になる。基本所得が毎月8万円(一年で96万円)ならば、実質的に一年に約4万円の増税になる。ただし、収入のない扶養家族がいる場合、その扶養家族にも基本所得が支給されることになるので、例えば扶養家族が一人で基本所得が毎月1万円ならば世帯に支給される基本所得は一年で24万円になる。11万5千円の減税?になる。基本所得が毎月8万円ならば世帯に支給される基本所得は一年で192万円になり、一年で100万円の基本所得保障税を支払っても、92万円の増収になる。

 さて、上記の図を見れば分かる通り、毎月1万円の基本所得を支給するのは難しくないように思える。支給額を1年ごとに増額していくのがベーシックインカムの段階的導入案である。この案には続きがある。
 毎月1万円の基本所得が支給されたら、生活保護額を決める際の収入と認定して、生活扶助の支給額を毎月1万円減らす。二人世帯なら2万円を減らす。毎年、基本所得による収入に応じて支給額を減らし、支給される基本所得が生活扶助の額を超えたら生活扶助は支給しない。基本所得で他の扶助も必要なくなったら、生活保護の対象外になる。単身世帯が多いので生活保護の受給者がゼロになるとは思わないが、大幅に減ることになる。
 毎月1万円の基本所得が支給されたら、国民年金の老齢基礎年金の支給額も一年で12万円減らす。現在の老齢基礎年金の額は満額で779,300円(参照)で今後も減らす方向らしいが、毎月7万円の基本所得が支給される頃には国民年金は廃止されることになる。ただし、こちらには少し工夫が必要である。これまでに年金保険料を支払っていたのに年金が全く支給されないとなると、不公平感に包まれる。そこで、一律に減らすのではなく、年金を支給するのに必要な総額から対象者に支給された基本所得の総額を引いて、その差額を納めた保険料に応じて分配した方が良いだろう。これはそんなに難しいことではないと思われる。基本所得の支給が始まったら、国民年金に関しては年金保険料も廃止して良いだろう。厚生年金など国民年金以外も国民年金に合わせて支給額や保険料を変更する。
 その他、所得保障が目的の各種手当も、基本所得の支給額に応じて見直して行ったら良いだろう。もちろん、必要なものは残しておかなければならない。ちなみに、基本所得は世帯人数分支給される。例えば、子がいれば、子の人数分だけ支給され、高齢者がいれば、その分も支給される。そのことも考慮して各種手当を決める必要がある。

 どうだろう。この段階的導入案は、合意が得られれば実現可能ではないだろうか。ベーシックインカムの税率(所得保障税率)が高いように感じられても、基本所得が支給されたら実質的にはそんなに高くならない人もいる。また、高収入の人が増えれば増えるほど所得保障税率は下がる。自分の収入が増えなくても全体で収入が増えれば自分の負担も減ることになる。所得格差容認ではないが、ベーシックインカムによる所得再分配後の、基本所得支給後の所得格差は、支給前よりは減る。ぜひ、実現してほしい。


nice!(0)  コメント(0) 
カテゴリー:サイトを見て
共通テーマ:日記・雑感