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共謀罪を含む改悪組織犯罪処罰法は
【「共謀罪」法 衆参両院議員の投票行動(東京新聞 2017/6/16)】

心神喪失者等医療観察法はダメ7

『触法精神障害者 入退院、難しい判断』(読売新聞、2005/7/21)
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/kyousei_news/20050719ik15.htm
次の部分

 新制度では、裁判官と医師が2人一組で審判を行い、別の医師の鑑定意見書を基に入院期間などを判断する。その際の指針が、厚生労働省の研究班が作成した「鑑定ガイドライン」だが、施行された今も、完成版はできていない。

 すでに示されている試案では、「再犯防止のため、長期的なリスクアセスメント(危険性の事前評価)を重視する」として、過去の捜査記録や生活歴を判断材料に挙げている。

 しかし、同委員会の富田三樹生委員長(多摩あおば病院長)は「誤って再犯の恐れがあると判断され、長期入院となるケースが必ず出る」と危惧(きぐ)する。日本弁護士連合会も、同様の意見書を厚労省に提出した。「社会復帰のための医療」を掲げる新制度が、「治安のための長期拘禁」につながるのではないかという根強い疑念が、こうした反発につながっている。

 これに対し、ガイドラインの研究班長の松下正明・東京都立松沢病院長は「多額の公費を投じる専門病棟を導入したことが、新制度の最大の意義。手厚い治療でむしろ早期に退院できる」と反論する。だが、試案の表現は、反発に配慮して改められる見通しだ。
(『触法精神障害者 入退院、難しい判断』)

 松下正明・東京都立松沢病院長の反論は日弁連の意見に対する反論ではないだろう。日弁連に対する反論だとしたら、まともな反論になっていない。

 鑑定ガイドラインの問題を指摘している日本弁護士連合会の意見は次のサイトにある。

 ・【日弁連】「心神喪失者等医療観察法鑑定ガイドライン」策定に対する意見書
  http://www.nichibenren.or.jp/jp/katsudo/sytyou/iken/05/2005_15.html
  http://www.nichibenren.or.jp/jp/katsudo/sytyou/iken/data/2005_15.pdf
  (全文:PDF形式・36KB)

 意見の趣旨は次の通りである。

 厚生労働省の関与に基づき策定が進められている「心神喪失者等医療観察法鑑定ガイドライン」は、その方法や確度などにおいて科学的に確立しているとはいい得ない「将来の危険(再犯)予測」の鑑定を誘導するもので、医療を強制する処遇要件として当初の法案にあった「いわゆる『再犯のおそれ』」の要件を削除して修正成立した医療観察法の規定に反するものである。
 したがって、当連合会は、鑑定ガイドラインの策定を中止することを求める。
(「心神喪失者等医療観察法鑑定ガイドライン」策定に対する意見書)

 この日弁連の意見書はぜひ読んでほしい。鑑定ガイドラインに一部の精神科医や研究者の「本音」が表れていることが分かる。心神喪失者等医療観察法を再犯防止(司法精神医学の研究目的も兼ねていそう)に役立てようとしている。しかし、日弁連の意見書にも書いてある通り『対象者に対する医療の必要性は, 再犯のおそれを理由として判断されてはならない』のである。
 日弁連の意見書には心神喪失者等医療観察法の目的に関して次のように書いてある。

[修正成立した医療観察法は医療と福祉を目的とした法律である]
 その意味では修正前の原案と修正後に成立した医療観察法はその根幹部分である処遇要件が修正されたことによって,「再犯のおそれ」を要件として医療を強制することを正当化するという立場をとらず,重大な他害行為を行った対象者に医学的に医療の必要が認められ,かつ治療適合性を有する場合に限って,社会復帰を目的として対象者を保護する観点から強制処遇するという医療及び福祉を目的とする法律として修正されて成立したものであると解すべきである。
(「心神喪失者等医療観察法鑑定ガイドライン」策定に対する意見書)

 建て前はそうだろう。しかし、心神喪失者等医療観察法第1条の「同様の行為の再発の防止を図り」の部分や第37条や第42条の「同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するため」の部分は、やはり再犯防止目的と解釈されてもおかしくない。少なくとも私のような法律の素人はそのように解釈する。読売新聞の記事でも『再犯の恐れに対する社会の不安の高まりを背景に、裁判官が加わる審判で障害者の処遇を決めるのが特徴』と書いてあり、再犯防止が目的であるとは書いてないが、記者も再犯防止目的の法律であると解釈しているのだろう。
 再犯防止を目的としてはいけないのなら、再犯防止と解釈されうる心神喪失者等医療観察法は存在してはいけないのである。廃止しなければいけないのである。

 ちなみに私は、心神喪失者等医療観察法が再犯防止目的でないとしても、インフォームド・コンセントの観点から、廃止すべきだと思っている(参照)

心神喪失者等医療観察法に反対!
↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑

「無罪」の人を強制的に監禁する法律はダメ!

 ところで、次のニュースがあった。

 ・医療観察法初申し立て 福島地検、傷害事件で(共同通信、2005/7/19)
  http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050719-00000265-kyodo-soci

 鑑定ガイドラインが完成していない状態で鑑定するようである。どのように鑑定するだろうか。また、『地検は「心神喪失ではないが責任能力は低い」と判断』とあるので、心神耗弱者(刑法第39条第2項に規定する者)だろう。心神喪失者等医療観察法第2条第3項で「対象者」とされている。『起訴猶予とし釈放』とあるので、裁判を受けずに隔離され続けるのだろう。「釈放」が実質的には「釈放」になっていない。

 以前の関連ブログ記事:
  【心神喪失者等医療観察法はダメ】
  【心神喪失者等医療観察法はダメ2】
  【心神喪失者等医療観察法はダメ3】
  【心神喪失者等医療観察法はダメ4】
  【心神喪失者等医療観察法はダメ5】
  【心神喪失者等医療観察法はダメ6】


タグ:医療観察法
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