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共謀罪を含む改悪組織犯罪処罰法は
【「共謀罪」法 衆参両院議員の投票行動(東京新聞 2017/6/16)】

日精協提言に反論(yadokariさん)

 私のブログ記事『医療観察法の是非以前の疑問』にyadokariさんから次のようなコメントを頂いた。言葉の選び方には賛成しかねるが、反論の内容は納得できる。コメント欄ではもったいないので、ここにコピーして紹介させていただく。(追記:yadokariさんのコメントは全て「転載可」とのことです。この記事のコメント欄にもyadokariさんのコメントがあります)

古いもので恐縮ですが、本法を強く推進した(社)日本精神病院協会の提言がありましたので、法的に反論してみましょう。番号は私が振りました。原文にはありません。

                    平成13年3月23日
重大犯罪を犯した精神障害者の処遇のあり方についての提言

  社団法人日本精神病院協会
会 長 仙 波 恒 雄

1 精神障害者のノ−マライゼ−ションを進めるために

1−1  ○精神障害者に対する誤解・偏見をなくすことが必要
1−2  ○そのためには国民の精神障害者に対する不安除去が必要
1−3  ○重大犯罪を犯した精神障害者がどのような処遇や治療がされているかの情報がない
1−4 ○殺人を犯しても刑にも問われず、入院治療もしない例があることに国民のコンセンサスは得られない
1−5 ○被害者・その家族にも不十分な情報とやりきれない不全感を残している
1−6 ○精神障害者にも裁判を受ける権利

ここまでの提言についてのコメント(yadokari)

1−1、1−2について。
    ごもっともである。
1−3について。
重大犯罪を犯した健常者の処遇も明らかにされていない。また、知る必要が無い。それがプライバシーの権利の考え方である。何ゆえに精神障害者についてのみそのような情報が必要か?また、「重大な犯罪を犯した精神障害者」という言い方をされているが、精神障害者であっても無くても、責任阻却すべきときにはそもそも「犯罪不成立」である。刑法について無知なのではないか?
1−4について。
その例の発生を認めている刑法に、国民の過半数が異を唱えていないではないか?どうやって「国民のコンセンサス」を知ったのか?
1−5について。
被害者・その家族に「十分な情報」を与えたら、その結果二次犯罪が発生する可能性があるではないか?「やりきれない不全感」は「精神障害者の触法」に特有のものなのか?
1−6について。
ここに提言者の法的無知が端的に現れている。「裁判を受ける権利」は「権利」でしかない。決して「義務」ではないのである。

2 現行司法制度の問題点

2−1 ○検察で不起訴処分とされる精神障害者は89.4%殺人の場合83.8%、強盗85.2%は不起訴
2−2 ○不起訴の根拠とされる鑑定は簡易鑑定が多いが、簡易鑑定さえないことも多い
2−3 ○簡易鑑定は各都道府県により異なるが、ごく短時間の診察によって診断される傾向
2−4 ○不起訴とされた犯罪を犯した精神障害者は、措置診察へ。
2−5 ○措置診察によって入院不要とされることもある。
2−6 ○その場合に再び司法の手に戻せない。

ここまでの提言についてのコメント(yadokari)

2−1について。
ただの統計データである。どういう問題があるのか述べられていない。
2−2について。
まずはじめに、被疑者が明らかな「心神喪失状態」である場合にわざわざ精神鑑定が必要なわけではない。「心神喪失状態」=「精神障害」ではない。「心神喪失」というのは法学的概念である。何も「精神障害」という医学的概念と一致する必要が無い。提言者の法的無知はここにも現れている。それに「明らかに心神喪失」である場合に、起訴して公判廷で実名と触法事実を明らかにすることにプライバシー侵害以上の意味など無い。提言者は勘違いしてはならない。医学鑑定は法的判断の証拠に過ぎない。「心神喪失」が明らかな場合にまでそんなものが必要なわけではない。
2−3について。
被疑者段階では「心神喪失」であるか否かが分かれば十分である。鑑定が長かろうが短かろうが、精神病院協会がつべこべ言う問題ではないのである。繰り返すが「明らかな心神喪失」ならこの段階では医療鑑定など不要なのである。
2−4について。
不起訴なら「犯罪」にならないのだ。ばか者!
2−5について。
「措置診察」とは不起訴後の診察である。被疑者として拘留されている間に「寛解」する場合もあるし、そもそも精神病ではない場合だってあるのだ。病気ではなく心神喪失状態になることがありえることは一般に認められている。そのような場合、入院など不要ではないか!
2−6について。
この者たちはここまで法に無知であったか・・・。司法に戻すことは可能だ。そんなことも知らないのか。大ばか者!

3 現行の精神医療における限界(司法制度の必要性)

3−1 ○重大犯罪を犯しても措置症状がなくなれば1週間でも退院可能
3−2 ○治療抵抗性で対応困難な例では他の入院者や看護者の安全が守られない場合がある
3−3 ○現在の医療制度上での人員配置では対応困難
3−4 ○そのために過剰な長期隔離や早すぎる退院もある
3−5 ○重大犯罪を犯した入院者に対する精神科医師及び病院の責務は過大である
3−6 ○退院後の再発・再犯を防ぐフォローシステムの欠如

ここまでについてのコメント(yadokari)
3−1について。
「措置症状」というのは「自傷・他害の恐れ」である。それさえなくなれば強制入院させる必要が無いではないか?医療を強制する必要さえも全く無いではないか?
3−2について。
不幸な例があることは存知あげている。でも、その原因は医療ミスではないか!どうして隔離しなかったのか?
3−3について。
それは医療制度の問題で、刑事司法の問題ではないではないか!
3−4について。
「過剰な長期隔離」も「早すぎる退院」も両者ともに医療ミスではないか・・・・。
あきれてものが言えない。自分たちのミスを刑事司法制度のせいにしているのである。
3−5について。
いかなる制度も一定の「あきらめ」のもとに成り立っているのである。「あきらめ」きれないのは一部の人だけではないか?
3−6について。
再発・再犯を防ぐフォローシステムは重大なプライバシーの公開を伴う。どうしてそのようなシステムが、「精神障害者」にのみ必要なのだ?

4 重大犯罪を犯した精神障害者処遇についての提言

4−1 ○司法制度と精神医療の相互補完が必要
4−2 ○重大犯罪を犯した精神障害者は裁判にかけられるべき、精神障害者も裁判を受ける権利がある
4−3 ○重大犯罪を犯した精神障害者の入退院には裁判所の判断を入れることが必要
4−4 ○退院後の司法による保護観察的なフォローシステムが必要
4−5 ○重大犯罪を犯した精神障害者の人権に配慮した治療施設の創設
4−6 ○司法精神医学教育の確立

ここまでについてのコメント
4−1について。
一定の連携はこれまでもとってきていて、それで十分である。相互補完とは「司法に欠けている点を医療が補う」ことであろう。そんなことは許されていないのである。
4−2について。
裁判にかけるべきかどうかは検察官の専権事項である。裁判に無知な医者には関係ないことである。必要が無い裁判を提起してはならないという「訴訟法の原則」をご存知無いのか?それに後半は「権利」であろう。それを「義務」と勘違いしているあたりに精神病院の「老害」を感じざるを得ない。
4−3について。
不起訴の段階で法的判断はもうすでに終わっているのである。そこから先は医学的判断しか残らないではないか?自分たちの責任を刑事司法に押しつけたいのだろう。余計なお世話である。老人特有の症状が精神病院協会を支配しているのではないか?
4−4について。
どうして「精神障害者」にのみ「保護観察」が必要なのだ?本物の「犯罪者」にもそんな制度は無いのだ。
4−5について。
今まで、「治療施設」で「触法精神障害者」の人権を軽視してきたのは医療機関側ではないか?そのような相談が私のところに多く寄せられている。
4−6について。
無いものねだりをするものではない。そんなものを確立したからといって、現状に変化がでるはずがない。もっとも精神病院協会はイメージが上がって儲かるようになるのだろうが・・・・。「精神障害者」の犯罪率・再犯率については変化しようが無いではないか?もともと健常者と変わらないからである。

精神病院協会の仙波氏はかつて志の高い医師であった。それも過去の話になってしまった。痴呆老人の愚痴のようにしか聞こえない。

以上である。
by yadokari (2005-10-08 21:17)
http://self.blog.so-net.ne.jp/2005-10-03#comments
(以上、「転載可」とのことです)
心神喪失者等医療観察法に反対!
「無罪」の人を強制的に監禁する法律はダメ!

【心神喪失者等医療観察法に関する私の以前のブログ記事】


タグ:医療観察法
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yadokari

わが国は国際人権規約といわれる条約を批准しています。
以下の和訳は外務省のホームページで入手可能です。

*日本国外務省
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/index.html

【和訳】

市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)

第七条
何人も、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けない。特に、何人も、その自由な同意なしに医学的又は科学的実験を受けない。

第九条
4 逮捕又は抑留によって自由を奪われた者は、裁判所がその抑留が合法的であるかどうかを遅滞なく決定すること及びその抑留が合法的でない場合にはその釈放を命ずることができるように、裁判所において手続をとる権利を有する。

第十七条
1 何人も、その私生活、家族、住居若しくは通信に対して恣意的に若しくは不法に干渉され又は名誉及び信用を不法に攻撃されない。
2 すべての者は、1の干渉又は攻撃に対する法律の保護を受ける権利を有する。

第二十条
2 差別、敵意又は暴力の扇動となる国民的、人種的又は宗教的憎悪の唱道は、法律で禁止する。

第二十六条
 すべての者は、法律の前に平等であり、いかなる差別もなしに法律による平等の保護を受ける権利を有する。このため、法律は、あらゆる差別を禁止し及び人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位等のいかなる理由による差別に対しても平等のかつ効果的な保護をすべての者に保障する。

*私は医療監察法は国際人権規約上記各条に違反するとの疑いを持っています。

第五十三条
1 この規約は、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とし、国際連合に寄託される。

*正文は以下のホームページで入手可能です。
ご検討ください。

国連人権高等弁務官事務所
http://www.unhchr.ch/html/menu3/b/a_ccpr.htm
by yadokari (2005-10-09 14:31)

正己

yadokariさん、どうもありがとうございます。
「国際人権規約」と聞いて、「精神病者の保護および精神保健ケア改善に関する国連総会決議」の「精神病者の保護および精神保健ケア改善のための諸原則」(日本語訳を入手できるURLを示そうと思ったのですが、見つけられませんでした。m(_ _)m)を連想しました。この「国連原則」は条件付きですがインフォームド・コンセントなしに治療を行うことを認めていて、実はあまり好きではないのです。条件が厳しいようですが、抽象的表現のようにも思え、条件を満たしているかどうかを判断する人しだいになりそうで…。「国連原則」は国際規約の「自由権規約」と「社会権規約」、それから「障害者権利宣言」など関連人権文書に留意して作られているらしいので、国際規約には違反していないのだと思います。「国連原則」に法的な拘束力はないと思いますが、日本はこの「国連原則」さえ守れていないらしいです。
「国連原則」で「もしかしたら役立つかもしれない」と思うのは原則11の第7項で、インフォームド・コンセントなしに治療を行う条件を定めた第6項について「第6項は法律により、患者の治療について同意するため権限を付与された法定代理人をもつ患者には適用されない」と書いてある部分です。しかし、残念ながら日本には「患者の治療について同意するため権限を付与された法定代理人」を決めるための法律は無さそうで…。
yadokariさんのコメントを読んで、そんなことを連想しました。
整理されていない文章で申し訳ありません。
by 正己 (2005-10-09 17:28)

yadokari

国際人権規約などの条約と「国連原則」・「国連決議」などの大きな違いを一言で表すと、国際人権規約などの条約は(憲法よりも下位ですが)、法律よりも上位の法的拘束力を持っているのです。「原則」・「決議」などは法的拘束力を持ちません。国際人権規約違反事実があれば日本の裁判所に訴訟を提起することもできます。例えば、医療観察法が国際人権規定違反なら国連が勧告するばかりではなく、具体的に国際人権規定違反事実があれば日本の司法権の権限内で裁判を起こすこともできます。国際人権規定は「法」なのです。

簡単ですが・・。
by yadokari (2005-10-09 18:45)

正己

yadokariさん、ありがとうございます。
なるほど、「国際人権規定」は裁判に役立ちそうですね。日本国憲法で不十分なときに活躍しそうです。憲法だけに頼って違憲か否かばかり頭にあったので、勉強する必要があるなぁ、と思いました。
by 正己 (2005-10-09 19:46)

yadokari

医療観察法を読んで思う

まず本法施行以前は、自由を強制的に奪うためには刑法によることが必要だった。刑法はその条文に該当する行為を行った者に対し、「責任能力」がある場合に刑罰を科して、その者の自由などを剥奪する。その場合、国家が刑罰を課すことを正当化できる理由は、刑罰による責任非難により犯罪者の再犯を予防するとともに、一般人の同様の犯罪を予防することができるからである。このように刑法にはその強制的な自由権剥奪にきちんと正当化根拠がある。ところで、「責任能力」が無い場合「刑法」で処罰することができない。責任非難できないからである。責任非難できない状態を心神喪失状態と呼ぶ。
心神喪失状態とされるものは別に精神障害だけではない。知的障害も含まれるし、障害・病気ではないものも含まれる。
そして医療観察法は精神障害者のみを強制医療の対象とする。医療観察法では「治療」を目的として自由を強制的に奪う。では同様に触法行為を行ったもので、知的障害者、病気ではない者はどのように扱われるかというと、これまでどおりである。当然のように思うかもしれない。知的障害者は「治療」できないし、障害・病気ではない者も「治療」できないからである。しかし精神障害者でも「治療」できない者もいる。理論上この者も医療観察法の対象とすることはできないはずである。だがこのものにも、医療観察法は、「同様の行為の再発の防止」のために強制医療ができるように読める。しかし、「同様の行為の再発の防止」“のみ”が自由を奪うことの「正当化根拠」になりうるか?
もし治療不能な触法精神障害者の「同様の行為の再発の防止」“のみ”を理由に自由を奪うのなら、心神喪失と判断された、触法「知的障害者」、触法「障害・病気では無い者」の自由も奪わないと平等を失する。治療目的ではなくとも自由を剥奪できるわけだから・・・。
また、刑法犯罪を犯した受刑者は、いかに反省せずとも、反社会的性格を有していても、また「同様の行為の再発」の可能性がいかに高くとも刑期満了すれば釈放される。「そのときまさに危険」でも釈放される。
これに対して触法精神障害者は治療不能であっても「同様の行為の再発の防止」“のみ”を理由として、無期限に自由を奪うことができるのが医療観察法だが、いかようにしてその強制的な自由剥奪を正当化するのか? こちらは「将来の危険」なのである。
このように「同様の行為の再発の防止」“のみ”で自由を剥奪することは論理破綻をきたし、結局「医療」目的がどうしても必要ということになろう。その結果、治療不能な精神障害者は本法の対象外とならざるを得ないのではないか。治療不能な精神障害者を本法の対象とするなら、触法心神喪失者は知的障害者、障害・病気で無い者を含めて、「同様の行為の再発の防止」“のみ” のために自由を剥奪されなければ、やはり平等を欠くといわざるを得ない。このように現時点でも平等原則違反である可能性が高い。
また、刑期を終えた受刑者も「同様の行為の再発の防止」“のみ”を正当化根拠として自由を剥奪する法律ができればそれに服さなければならないことは当然である。そして、その論理は結局ほんの微罪(例えば交通違反)でも「同様の行為の再発の防止」“のみ”を目的に法律で自由を奪うことを可能にする。かくして医療観察法は保安処分への扉を開くことになる。
by yadokari (2005-10-10 16:19)

正己

yadokariさん、コメントありがとうございます。
「転載可」と付記しておいていただければ「http://blogs.yahoo.co.jp/taronanase」など他のブログにも転載してもらえるかもしれません。
さて、医療観察法の対象者ですが、第2条第3項を見ると精神障害者に限らないような気がしますが、第37条の「対象者の鑑定」を読むと『裁判所は、対象者に関し、精神障害者であるか否か及び対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するためにこの法律による医療を受けさせる必要があるか否かについて、精神保健判定医又はこれと同等以上の学識経験を有すると認める医師に鑑定を命じなければならない。ただし、当該必要が明らかにないと認める場合は、この限りでない。』と書いてあって、他の部分にも『精神障害を改善し』と書いてあって、精神障害者だけが対象のようですね。「知的障害者」は精神保健福祉法では「精神障害者」とされているようですが、医療観察法における「精神障害」に「知的障害」が含まれているかどうかは忘れてしまいました。どこかに書いてあるかもしれませんが…。
それから、医療観察法を読むと該当するのは「医療観察法による医療を受けされる必要がある場合」であって、「医療観察法による医療で治療が可能な場合」ではないですね。だから「治療が不可能でも医療の必要がある」とされれば入院を強制される(治療が不可能だから永遠に監禁される)かも…。yadokariさんのコメントを読んでそのことに気付きました。
by 正己 (2005-10-10 17:25)

yadokari

強制医療の目的は「治療という本人の利益」以外には合法的でありえません。
本人の不利益になる強制医療はそれこそ犯罪です。
隔離目的の強制医療は国家と医師による違法な人権侵害でありえます。
私のコメントはすべて転載可です。
by yadokari (2005-10-10 18:03)

yadokari

上記コメントは本法の場合という意味です。
伝染病予防法など隔離目的でも正当化できる場合もありますが、それにしても「明白で差し迫った感染予防」など限定しないと憲法に触れる恐れがあります。法律を廃止しなかったことに対する違憲判決としては「ハンセン氏病国賠訴訟」が有名です。ずいぶん昔から合理性が無い法律でしたが、最近1審で違憲判決が出ましたね。
失われた人権は取り戻しようがないというのが真実です。
また、「精神障害者の人権」が“発見”されたのも、昭和40年代ごろだったと思います。
精神障害者の人権は、言ってみれば「つい最近」“発見”されたばかりなのです。
そして、心神喪失者ではないものの犯罪を契機にして、精神障害者に対する差別を疑いたくなるようなこの法律ができました。
差別が禁じられているのは原則として国家です。
私人による差別は合法的でありえ、法の埒外になっているものと思われます。
国家までもが、差別規定を設けると私人は当然精神障害者を差別することになりますね。

転載可
by yadokari (2005-10-10 19:23)

正己

yadokariさん、「転載可」とのこと、ありがとうございます。
ハンセン病に関しては、判決についてかその後の政府の判断についてか忘れましたが、厚労相が例外であることを強調していたのが印象的でした。精神医療の問題に波及するのを嫌がっているのだろうなぁ、と思いました。
国民の心から精神障害者に対する差別意識を無くすのは難問ですが、国が差別していたら国民の差別意識は強まる一方だと思います。ハンセン病問題がそのことを証明しているように思います。
by 正己 (2005-10-11 00:27)

yadokari

医療観察法の議論に大きな影響を与えた「大阪児童殺傷事件」についての全精連の見解がありました。これも相当古いものです。これについても一部引用し私の意見を述べます。ただ、この“全精連見解”については障害者団体の全くの自主的な見解だとは思われません。精神病院協会の“意思”が強く介入したものであろうと思っております。それをお断りした上で・・・。

「大阪児童殺傷事件」に関する全精連役員会の見解
2001年7月7日
全国精神障害者団体連合会
代表 山口弘美

・・・・
第3に、精神障害者の犯罪を検察官決定により不起訴処分にする率があまりにも高すぎる点であります。(79%前後あります)裁判を受ける権利として裁判の中からすべて犯罪の因果関係をきちんとし、かんたんに措置入院に持っていってはいけないと考えます。安易な精神鑑定をすべきではなく、重大事件に関してはきちんとした判断の中で判決を出し、病気との因果関係がなければきちんと刑事処分にすべきであります。

この部分についてのコメント(yadokari)
憲法など何も知らない精神科医療機関が障害者団体に“でたらめ”を吹き込んだと思われる部分がこの部分です。
【裁判を受ける権利】
*日本国憲法第32条
*「何人も裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない」
この条文から、「裁判を受ける権利として裁判の中からすべて犯罪の因果関係をきちんとし」という解釈を引き出すのは不可能です。
「裁判を受ける権利」というのは「民事・行政紛争については司法サービスを受けることができ、また刑事事件においては裁判外で刑罰を科されることは無い」という権利です。要するに、民事・行政事件では裁判を利用でき、刑事事件では判決以外で刑罰を科されない権利です。この権利のどこから「裁判所で裁判の因果関係を決定」“しなければならない”という誤った解釈を導きだすのか、手品の種が分かりかねます。検察段階で因果関係がはっきりして、無罪判決が明らかな場合にまで「裁判を義務付けられる」わけではありません。“全精連見解”は論理が破綻しています。しかしその論理破綻が「医療機関による似非憲法解釈」の論理破綻と奇妙な「全くの一致」を見せていて偶然とは思えないという感想を持ちました。
また「簡単に措置入院」にしていたわけでもありませんでした。公訴提起率がはっきりそれを示しています。
さらに「安易な精神鑑定」などありえません。「鑑定留置」するにはそもそも「裁判官の令状」が必要なのです。
また、医療機関の主張とやはり同じなのですが、「無罪判決も裁判で」という見解のようですが、「明らかに無罪」の場合に公訴提起したら、それこそ甚だしい人権侵害です。
このあたりの見解は「日常的に人権侵害を平気でしている医療機関」の論理と全く同一の論理で、とてもじゃ無いけど“患者団体の自主的な見解”の体裁には見えません。
「病気との因果関係がなければきちんと刑事処分にすべき」・・・
冗談じゃありません。「知的障害者の触法」は病気と因果関係がありませんね。刑事処分にしますか?

第5に司法介入についてですが、私たちは簡単に司法の介入を認めるべきではないと思います。裁判所も公平であると言い切れるでしょうか。彼らの前に現れる精神障害者は事件を起こした人達です。作業所やグループホーム、地域で必死に生きている精神障害者はそれより遥かに多くいるのです。裁判所も地域も精神医療を深く勉強すべきです。彼らにも偏見があります。現に私の友人で裁判官をしていて分裂病にかかり判事補から判事に任官できなかった人がいます。彼はいま弁護士をしていますが、いまも持っているのが精神障害者への偏見です。司法介入は、精神の病いと地域で必至に生きている精神障害者を正しく理解するのが前提条件です。その上で、はじめて司法介入を考えるべきです。

この部分についてのコメント(yadokari)
先に挙げた「第3に」という部分と“見解”が矛盾しています。「公平と言い切れるか怪しい」裁判所に介入を求めたのではなかったのですか?
「裁判所も地域も精神医療を深く勉強すべきです」・・・
これまた冗談じゃないです。その「精神医療の知識」は裁判する際の先見になりかねません。裁判官は先見を持たず、事件の前は白紙状態であるべきなのです。
そして、「都合失調症医療」の前提は「ドーパミン仮説」ですね?それ自体が誤りだったらどうするのですか?
この部分の“見解”は裁判官に偏向裁判を要求しているようなものです。

以上、「第3に」「第5に」という部分についてのみコメントしました。
そして、この事件の犯人は医療観察法の対象外であることも知っておいてください。この事件は精神障害者による事件ではありません。現在、「人格障害」は「精神障害」ではないとされています。
またこの事件の犯人は「心神喪失者ではなかった」のですから、刑事司法制度を議論する必要も無かったのです。

この事件のとき「精神障害者」に被害をもたらした真犯人は「マスコミ」なのです。

以上です。
転載可
by yadokari (2005-10-13 00:41)

yadokari

追伸

「ドーパミン仮説」はあくまでも「仮説」です。正しい保証はどこにも無いのです。
そして、全精連の憤りごもっともと思います。
ただ、憤りの矛先をよくお考えにならないと、それこそ「危険な法律」ができるもとなのです。
私は、医療観察法は憲法に抵触すると考えます。
まず、もっとも基本的な平等原則に反します。
そして、障害者自立支援法も不平等をわずかに埋める法律の廃止が前提なら、こちらも平等原則に触れるものと思われます。

転載可
by yadokari (2005-10-13 01:21)

正己

yadokari さん、どうもありがとうございます。
『もっとも基本的な平等原則に反します』に全く以て同感です。
なんで精神障害者だけは不当に隔離されなければいけないのか、変だと思ってます。
さて、その上のコメントですが、
精神障害者が「裁判を受ける権利」と言うときには2種類あって、一つはyadokariさんが上のコメントで憲法の誤解釈だと指摘していること、もう一つは「自分のやったことには責任をとりたい」という思いで「裁判を受ける権利」という言葉を使っている人もいるかと思います。それも間違いなのですが、要するに精神障害者もそうでない人も刑法第39条に納得していない人が多いことが原因ではないかと思います。刑法第39条に納得してもらう作業が大切なのではないかと思っています。
『「病気との因果関係がなければきちんと刑事処分にすべき」』は精神病と加害行為の因果関係について言っているのだと思います。精神障害者だから加害行為は精神病のせいだろう、とされることが嫌なのだと思います。精神障害者もそうでない人と同じように責任能力がある状態で犯罪者になることがある。その場合はちゃんと処罰すべき、という意見なのだと思います。
『「知的障害者の触法」は病気と因果関係がありませんね。刑事処分にしますか?』は少し分かりにくいです。「因果関係」と言うときの「因」は加害行為へのアクセルのことを指すのが一般的だと思いますが、ブレーキが利かないことを「因」とするべきか否か。
『現在、「人格障害」は「精神障害」ではないとされています』ですが、精神保健福祉法では「人格障害(精神病質)」は「精神障害」に含まれているようです。ただ、刑法第39条は適用されにくいと思います。彼をきっかけに『刑事司法制度を議論する必要も無かった』と思いますし、医療観察法の建前では彼は対象者にならないと思います。ただ、医療観察法を成立させたかった精神科医は彼のような人を対象にしたいのだと思います。
by 正己 (2005-10-13 12:59)

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