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共謀罪を含む改悪組織犯罪処罰法は
【「共謀罪」法 衆参両院議員の投票行動(東京新聞 2017/6/16)】

障害者も納税者

『[障害者支援法]「保護から自立への大きな転換だ」』(読売新聞社説、2005/10/13)を読んで
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20051012ig90.htm
次の部分

 新法が成立すると、国はサービスの利用の伸びに応じて、支出を増やす義務を負う。障害者が一定の自己負担を引き受けることは、この点について広く理解を得ることにもつながるだろう。
(2005年10月13日1時29分 読売新聞)

 「誰の理解か?」と国会で誰かが質問していたような気がする。社説執筆者の答は「国民の理解」だろう。「国民」の中に障害者が含まれていることを忘れているような感じである。「健常者の理解」と訂正するかもしれない。自分も障害者になる可能性があることを忘れている。自分が収入や貯蓄がない状態で障害者になったら、と考えてみる必要があるだろう。ちなみに、厚労省の主張では「納税者の理解」だと思う。納税者の中に障害者が含まれてるいことを忘れている。結局は障害者を自分達とは別世界の人間として見ているのである。別世界の人間なのに自分達の世界に混ぜてやって、そのために金も出してやってるんだから少しは負担しろ、という意見なのだろう。
 もしも障害者自立支援法を必要としない人たちの理解を得る必要があるのなら、「障害者にも1割負担してもらう」という条件がない状態で理解を求めるべきだろう。障害者が社会参加しにくくなっているのは誰のせいなのか。障害者が社会参加しにくい社会にしてしまったのは誰のせいなのか。国(国民)に責任があるのだから、国が10割負担するのは当然のことだろう。もちろん、負担する国民の中には障害者も含まれる。しかし、その負担の方法は所謂健常者と同じでなければならない。すなわち、税金の形であり、障害者に1割負担してもらうことではない。

 民主党は、介護保険制度を若年層に拡大して、障害者支援にも活用するよう主張している。介護保険との整合性を図るためにも、1割負担を導入することは不可欠ではないか。
(2005年10月13日1時29分 読売新聞)

 なぜ、介護保険制度との整合性を図る必要があるのか。社説執筆者は説明できるだろうか。高齢者介護と障害者介護を一緒に考えて良いのだろうか。一緒に考えてはいけないから介護保険制度に障害者の介護が含まれなかったのではないだろうか。高齢者介護と障害者介護が異なるのなら、整合性を図る合理的な理由はない。整合性を図るのなら、高齢者介護を障害者介護に合わせた方が良い。
 民主党が障害者にも介護保険制度を活用してもらおうと考えたのは間違いだった。そもそも介護保険制度が間違いだったのかもしれない。介護保険制度と支援費制度を比べたとき、仕組みだけで考えれば支援費制度の方が優れた制度のように思われる。65歳以上の高齢者介護にも支援費制度を適用すべきであるように思われる。そして、支援費制度以上のサービスを利用したければ介護保険制度を活用する、という仕組みの方が良かったように思われる。現在は、65歳以上の障害者には先ず介護保険制度を利用してもらうことを考え、そこから漏れた人(追記:や利用限度額が決まっている介護保険だけでは足りない人)が支援費制度を利用しているらしいが、逆の方が良かったと思われる。

 障害者自身も出来る限り、福祉制度の支え手となってほしい。そのための議論を深めることが、国会の責任である。
(2005年10月13日1時29分 読売新聞)

 『障害者自身も出来る限り、福祉制度の支え手となってほしい』は今の障害者が福祉制度の支え手になっていないかのような意見である。金銭的な意味で言っているのかもしれないが、障害者も所謂健常者と同じように税金を納めている。税金の一部が福祉制度に使われているのだから、障害者も所謂健常者と同じように福祉制度の支え手になっている。社説執筆者は障害者のことを国から金を取るばかりの存在だと考えているのではないか。所得が無かったり低かったりする障害者は納めている税金の額が少ないかもしれない。しかし、それが税金の仕組みだろう。その仕組みに従って税金を納めているのだから、障害者が文句を言われる筋合いは無い。高額納税者が低額納税者に「不公平だ」と言っているようなものである。「税金」の定義や流れに触れずに述べたので「えっ?」となったかもしれないが、「所得税」に限るなら次のように考えてほしい。障害者が働きやすい社会になり、所謂健常者との納税額に差がなくなったときのことを想像してほしい。今もそのような障害者がいるのではないかと思われる。その場合、定率(応益)負担だと障害者の方が多く負担することになる。生きるためや社会参加のために、障害者は所謂健常者なら負担しなくて良いお金を負担しなければいけない。不公平ではないだろうか。


【障害者自立支援法案に関する私の以前のブログ記事】


タグ:自立支援法
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サラン

初めてコメントさせていただきます。swan_slabさんのところからやってきました。あちらでもコメント拝見させていただいてました。私も障害を持つ息子をもつ身として、障害者自立支援法には反対の立場をもっています。民主党の介護保険の活用は考え直して欲しいです。とはいえ、まだまだ勉強不足の部分が多くて頭を抱える毎日です。又いろんなお話を聞かせてください。
by サラン (2005-10-14 05:56)

正己

サランさん、コメントありがとうございます。
swan_slabさんの所でコメントを拝見させていただいてます。
私は当事者でも家族でも福祉の現場で働いているわけではないので、的外れな意見を書くことがあるかと思います。その場合は指摘していただけたら幸いです。
介護保険に関しては、評価が難しいです。『そもそも介護保険制度が間違いだったのかもしれない』と書きましたが、介護保険制度を有効に利用している高齢者やその家族もいらっしゃるでしょうし、障害者の中にも「利用したい」と考えている人がいると思うのです。だから迷っています。でも、介護の必要性に応じてグループ分けしたり、1割を負担させたりするので何か根本的な所で間違っているような気がしています。また、介護保険の中には絶対に必要な介護だけでなく「益」と言って良いようなサービスも含まれているような気がして、絶対に必要な支援だけを求めている障害者福祉とは違うような気がしています。
by 正己 (2005-10-14 08:11)

がん

今朝、国会前で泊り込んでいる人にに電話したら、十数名の方々がお泊りされたそうです。しかも、夜中じゅう話し込んで、今から寝るところ、と言う方もいらっしゃるとか!渡辺さんも書かれていましたが、皆さんの中にはぜ~んぜん、敗北感がないそうです!元気元気!
 それから、昨日の委員会の中で、最後の福島みずほさんが質問に立つ直前に、自民党の坂本由紀子氏が、厚労委を辞任したそうです。作業所関係とのつながりがある人だそうで、賛成はできない、と言う決断だったのではないでしょうか?
 このたたかいをする前は、私は、国会と言うと、なんか遠いところで、私に関係ない、と思ってました。だけど、このたたかいをやって、「国会の中を動かすのは、私たちの実力の運動だ!議員の意識を変えるのは、私たちの意見と運動をしっかりと見せ付けてやることだ!」と言うことを、本当に確信しました。
これからも、実力行動を見せ付けてやることが、何より大切だと思います。
 小泉も、私たちのこの運動がさらに広がれば、ビビリあがると思います。まずは、小泉の、ヒットラー的独裁を阻止しましょう。必ずできる!
by がん (2005-10-14 08:29)

正己

がんさん、情報ありがとうございます。
自民党の坂本由紀子さんが「賛成できない」という意思で厚労委を辞任したとしたら、反対運動をしている人の気持ちが自民党議員の心にも届いていたことを表しているわけで、嬉しくなりました。
by 正己 (2005-10-14 15:07)

locust72

 はじめまして。とてもわかりやすく整理されたご意見で参考になります。
 ひとつ質問をさせてください。
 障害者も社会の一員として税金という負担はしており、それ以上の負担を強いるのは健常者と比して不公平だという点についてです。これを「障害者を傷病者」に、「健常者を健康者」に読み替えると、健康保険制度についても同様に不公平だということになりますが、どのようにお考えですか?健康保険も応益負担はやめるべきなのでしょうか。それとも「疾病や傷害」と「障害」は分けて考えるべきなのでしょうか。
 決して反対意見とか揚げ足取りとか喧嘩しようとかいうつもりではなく、自分の考えを整理しようと思って感じた疑問であることを申し添えます。
by locust72 (2005-10-15 09:13)

正己

locust72さん、コメントありがとうございます。
鋭い指摘で恐れ入ります。(^_^;)
私も健康保険制度と比較して考えたことがあります。しかし、私の頭の中でも整理できませんでした。福祉系の教科書に書いてありそうな疾病と障害の違い、医療と福祉の違いを考慮すれば答が見つかりそうですが、見つけていません。
ただ、ノーマライゼーションの理念を思い出すと、障害者が所謂健常者と同じように社会参加できる社会がノーマル(正常)な社会と考えてみると、障害者が社会参加しにくくなっている今の社会は異常なわけで、それを正常に戻すのは国民全員の責任だろうと思います。福祉政策はそのための政策なのですから、国民全員が税金の仕組みに従って公平に負担するのが良いように思います。応益負担は障害者だけに税金以外の負担を強いるわけで問題だと思っています。
整理できていないのでごちゃごちゃと書いてますが、障害者は現在不公平な社会に置かれている。それを公平な社会にするのに障害者だけに余分に負担させるのは不公平である。医療に関してはその元々の不公平感が無いのではないかと思います。だから全員が保険料を納めて、病気になった人だけが負担しても不公平に感じないのかもしれません。
さらにごちゃごちゃと書きます。数直線で考えると、医療に関しては皆原点「0」にいて、病気になった時にマイナスになり、それを原点に戻すために定率負担しているのに対し、障害者の場合は、所謂健常者は原点にいるのに障害者だけ定常的にマイナス(社会参加のしやすさについてマイナスという意味で障害者でいることが人としてマイナスという意味ではありませんので誤解なきよう)の位置に置かれていて、その責任は国(国民全員)にあるのに、障害者が原点に戻るために障害者だけに余分に負担させる定率負担は不公平ではないか。
そんな風に漠然と考えています。
by 正己 (2005-10-15 12:59)

Betty-A-Sateau

はじめまして。今回の法案に関する一連のことをもっと知りたくて、こちらのblogにたどりつきました。
一体何が起こっていて何が正しいのか、何故こんなにも障害者の生活を脅かす法案が通ってしまうのか・・・。

わかりやすい言葉で、公平に書かれている記事が沢山あると思いますので、拝読させていただきます。
by Betty-A-Sateau (2005-10-15 14:32)

正己

Betty-a-sateauさん、読んでいただきありがとうございます。
私の意見にも問題点があると思いますが、福祉政策のあり方を考える際に一つの意見として参考にしていただけたら幸いです。
by 正己 (2005-10-15 15:45)

locust72

真摯なお答えどうも有難うございました。
他のエントリも参考にして自分なりにもう少しよく考えてみます。
by locust72 (2005-10-15 17:33)

正己

locust72さん、私もできる限り考えてみたいと思います。
by 正己 (2005-10-15 20:00)

がん

健康保険のことが出てきましたが、私の意見も聞いてください。
「障害者」施策というのは、これまで上からお恵みをいただいてきたわけでは有りません。「障害者」が30数年にわたり、交渉したり、裁判したり、実力でハンストや座り込みを続けてたたかいとってきたものです。
それに比べて、健康保険に関して、一般の人は、反対運動などをしてきたでしょうか?最初は高度成長期に、働かせすぎて労働者が怪我や病気になって行った、それが不満として爆発しないように、健康保険制度ができた、と聞いています。最初は、保険証を持っていればただだったと思います。それから徐々に、一割負担だとか、次は家族も負担しろだとか、三割負担だとか、じわじわと負担率が上がってきました。
施行前に、負担が増えるぞ、と言うことが言われても、それに対して、労働者はたたかったでしょうか?「あらまぁ、上がるの・・・困るわ・・・」と、上がることを見守ってきたのではないですか?「三割も払えるか!」と、たたかう必要があったのではないですか?
「障害者」は生きるために、また、将来の「障害者」のために、命がけでたたかってきました。労働者も、「障害者」と自分たちの制度を比較して、労働者のほうがひどい状態だ、と思ったら、健康保険なら厚労省の管轄でしょうかね?厚労省に、「いい加減にしろ、負担を減らせ」とたたかうべきだと思います。
国は、とんでもないところに、無駄金を使っています。「障害者」を敵視せずに、国に向かって挑んでください。
by がん (2005-10-16 08:08)

正己

がんさん、2005-10-16 07:57のコメントはこの記事や私に対するコメントではなさそうですから、「障害者自立支援法案関連記事一覧」のコメント欄
http://blog.so-net.ne.jp/self/2005-09-15#comments
に移動させていただきました。ご了承下さい。m(_ _)m
健康保険制度については、1927年(昭和2年)に施行された健康保険法から始まったようです。
by 正己 (2005-10-16 12:32)

がん

いろいろ、適当な行動(書き込み場所)を取ってしまい、すみません。
健康保険法から始まったんですね。でも、時代を考えると、皆保険ではなかったのではないかと思います。皆保険になったのが、私が言っている時期なのかもしれません。どうもすみません。
でも、とにかく、国家は国民のためを思って政治をしてくれる、という幻想は捨ててほしい、という気持ちは変わりません。誰が考えても悪いほうに変わっている、というものなら、みんなで力を合わせて、政府を追及してもぜんぜんかまわないんですから。
政治を国民の手に取り戻しましょう。
by がん (2005-10-16 18:31)

正己

がんさん、いつもコメントをありがとうございます。
「皆保険」の時期なんですね。それは1961年(昭和36年)のようです。東京オリンピックが昭和39年ですから、高度成長期の始まりかもしれませんね。また、定率1割負担が導入されたのは1984年(昭和59年)のようです。それまでは初診時800円、入院時1日500円だったようです。健康保険もいろいろと変わってきたようです。そして、皆保険後にも財政の問題が議論されたようです。
健康保険に関しては、時々見かける報道などによると、「皆保険」が名ばかりで全額負担で医療を控えている人がいるようですから、そちらも改善しなければいけないだろうな、と思っています。
by 正己 (2005-10-17 00:04)

すー(32project)

こんちわ、グループ32projectメンバーの すー と申します。
(精神疾患患者を中心に結成されたネット上のグループです)

トラックバックがうまく飛ばないようなので、コメント欄に書きこみさせていただいています。
当グループでは現在、"障害者自立支援法の見直しと慎重審議を求める声"を政府・国会に送ろう!と、<メールフォームプロジェクト>をやっております。
詳しくは当グループのブログhttp://sea.ap.teacup.com/32project/をご覧下さい。
法案は10/26にも衆議院厚生労働委員会で採決、と言われています。ぜひご参加・ご協力頂けると幸いです。
by すー(32project) (2005-10-21 23:28)

正己

すー(32project)さん、コメントありがとうございます。
いつも読ませて頂いてます。
プロジェクトについて書いてあるURLは次の通りですね。
このコメントから直接リンクしておきます。
http://sea.ap.teacup.com/32project/73.html
by 正己 (2005-10-22 00:53)

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