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共謀罪を含む改悪組織犯罪処罰法は
【「共謀罪」法 衆参両院議員の投票行動(東京新聞 2017/6/16)】

三つの扉、三枚の封筒

『人はなぜ確率の理解が苦手なのだろうか?』(自然と人間を行動分析学で科学する)を読んで
http://simamune.cocolog-nifty.com/nature_human_and_science/2006/08/post_a13a.html

 モンティ・ホール・ジレンマについて触れていた。懐かしく思った。私がこの問題を知ったのは放浪の途中、雨の日に図書館に寄って本を読んだ時だったように思う。どの本を読んで知ったかは忘れてしまった。感激して多くの人に知らせようと思ったことを覚えている。そのまま伝えては面白くないので、次のように変えて伝えた。

目の前に天使らしき者(今、思うと、悪魔だったのかも…)が現れて
私に話しかけたのです。
「あなたのために運命の扉を3つ用意しました。
 ひとつの扉の向こうには平凡な人生が待っています。
 またひとつの扉には最高の人生が待っています。
 しかし、残りの扉には最悪の人生が待っています。
 あなたは、どれか一つの扉を選ばなくてはなりません。
 どの扉を選びますか?」
私は天使に聞きました。
「あなたは、どの扉がどの人生か知っているの?」
天使は答えます。
「知っています。でも教えるわけには行きません。
 さあ、どの扉を選びますか?」
私は最悪の人生を選ぶのは嫌でしたが、
しかたがないので一つの扉を選びました。
選んだ後に、他の扉の向こうが知りたくなり、天使に言いました。
「残りの2つの扉のうち一つを開けて未来を見せてくれないか?
 両方見ると自分の未来が分かってしまうので片方だけでいいから」
天使は、
「見ない方がいいですよ」
と忠告してくれたのですが、私が譲らないので
「しかたありません。どうぞ」
と言って一方の扉を開けてくれました。
私が見たその扉の向こうは平凡な人生でした。
しばらくして私はある事実に気が付き愕然としました。
私の選んだ扉の向こうには
最高の人生か、最悪の人生かが待っているのです。
平凡な人生で満足していた私は、
(最悪の人生さえ選ばなければいい)
と思っていました。
その確率は2/3もあったのです。
しかし、今、私の人生は最高か最悪かどちらか一方なのです。
青ざめる私に天使が同情して言ってくれました。
「残りは二つ。選び直してもいいですよ」
迷う私に天使は猶予時間をくれました。
「どちらの扉を選ぶか、ゆっくり考えてください。
 明日のこの時間にまたお会いしましょう」
そう言って、天使はいつの間にか消えてしまいました。
先生、私は扉を変えた方が良いのでしょうか?
昔の発言『三つの扉』

 読んだ人は統合失調症の症状と勘違いしたのか、この文章の意図を私に聞いた。そこでモンティ・ホール・ジレンマか三囚人問題のことを解説したような気がする。解説の後に次のような文章を書いたような気がする。記憶が曖昧なので順番が違うかもしれない。

モラトリアム君の前に天使が現れた場合
「3つの扉があります。どれを選びますか?」
「天使さん。扉は他にはないの?」
「今、あなたが選べる扉はこれだけです」
「しばらく待てば扉は増える?」
「増えることもありますが、減ることもあります」
「じゃあ、増えてから選ぶよ。ばいばい」
「…」
昔の発言『人生の選択』
最初は選択のための情報がなくても、
その後の行動しだいで、有効な情報が得られる時があります。
また、ある情報をもとに選択したとしても、
その後の行動しだいで、新しい情報が得られる時があります。
その時は、「初心」にこだわることなく、
新しい情報をもとに、もう一度考え直す。
そんな、柔軟さを忘れないようにしたいものです。
昔の発言『「初心」にこだわることなく』

 当時はカウンセリング(学問では臨床心理学)が最大の関心事だったので最後の文章のようになった。私が作った文章『三つの扉』の答は、今考えてみたら分からない。「最悪の人生」を選びたくなければ扉を変えない方が良く、「最高の人生」を選びたければ変えた方が良いのだろうか?(追記:今や、「最悪の人生を選ばない」は「最高の人生を選ぶ」である。)分からなくなった。暇があったら考える。「三囚人問題」や「モンティ・ホール・ジレンマ」の紹介としては失敗だったかもしれない。

 さて、モンティ・ホール・ジレンマについては、ウィキペディア(Wikipedia)にも「モンティ・ホール問題」として解説が載っている。この解説が正しいかどうかは分からない。私が初めて見たのは「条件付き確率」「ベイズの定理」による解説だったように思う。記憶が曖昧で定かではない。「三囚人問題」が有名らしい。市川伸一さんの「考えることの科学」(中公新書)によると次のような問題である。

 三人の囚人A、B、Cがいる。三人とも処刑されることになっていたが、王子が結婚するというので、王様が一人だけを恩赦にしてやることになった。だれが恩赦になるか決定されたが、まだ囚人たちには知らされていない。結果を知っている看守に対し、囚人Aが「BとCのうち、どちらかは必ず処刑されるのだから、処刑される一人の名前を教えてくれても、私に情報を与えることにならないだろう。一人を教えてくれないか」と頼んだ。看守は、その言い分に納得して、「囚人Bは処刑されるよ」と教えてやった。これを聞いた囚人Aは、「はじめ、自分の助かる確率は1/3だった。今や助かるのは自分とCだけになったので、助かる確率は1/2に上がった」と喜んだという。さて、実際には、看守の返事を聞いたあとの、囚人Aが助かる確率はどれだけか。
(市川伸一著「考えることの科学」中公新書、102ページ)

 答は1/3である。囚人Cが助かる確率は2/3だろう。ウィキペディア(Wikipedia)の「モンティ・ホール問題」の解説で納得した人は正解できただろう。

 市川伸一さんは下條信輔さんと「変形三囚人問題」を考案したらしい。次のような問題である。

 三人の囚人A、B、Cがいて、二人が処刑され、一人が恩赦になることがわかっている。それぞれが恩赦になる確率は、罪の大きさを考慮して、1/4、1/4、1/2とされ、クジによって恩赦の囚人が決まった。その結果を知っている看守に対し、囚人Aが「BとCのうち、処刑される一人の名前を教えてくれないか」と頼んだ。看守は、かまわないだろうと思い、「囚人Bは処刑されるよ」と教えてやった。この返事を聞いたあとの、囚人Aが助かる確率はどれだけか。(ただし、看守はウソをつかないこと、囚人B、Cがともに処刑される場合には1/2の確率でどちらかの名前を言うことを仮定する。)
(市川伸一著「考えることの科学」中公新書、105ページ)

 答は1/5である。囚人Cが助かる確率は4/5だろう。正解できた人はいただろうか? ウィキペディア(Wikipedia)の「モンティ・ホール問題」の解説で納得した人は正解できただろうか? 1/4ではない。囚人Cが助かる確率も3/4ではない。

 三囚人問題では囚人Aは自分の処分を選ぶことが出来ない。そこで、「変形三囚人問題」を「モンティ・ホール問題」のように選択し変更できるように変えてみようと思ったけれど、良い問題が思いつかなかった。次のような問題を考えたのだが、違うような気がする。

 4枚のカードがあり、1枚には「恩赦」、その他には「処刑」と書いてある。そのカードが1枚、1枚、2枚と分けられて3枚の封筒A、B、Cに入っている。看守は囚人Xに封筒を選ばせた。囚人Xはどの封筒にカードが2枚入っているか分からないが、看守は知っている。看守はどの封筒に「恩赦」のカードが入っているかも知っている。囚人XがA(カードは1枚)を選んだことを確認した看守は封筒B(カードは1枚)を開けて見せた。カードには「処刑」と書かれていた。さて、囚人Xは封筒を変更すべきだろうか。
(ただし、看守は封筒Aに「恩赦」のカードが入っている場合には1/2の確率でBかCの封筒を開けることを仮定する。)

 答は「変更すべき」だろうが、変更したあとに恩赦になる確率が1/4から4/5に増えることをウィキペディア(Wikipedia)の「モンティ・ホール問題」のように解説しにくい。「1/4から3/4に増える」となってしまうような気がする。

 よく分からなくなったので、暇があったら考えてみたい。

追記:
 看守が封筒C(カードは2枚、どちらも「処刑」)を開けて見せた場合は?
 『封筒Aに「恩赦」のカードが入っている場合には1/2の確率でBかCの封筒を開けることを仮定する』という仮定で「BかCの封筒を開ける確率」を変えたら?

追記:
 私が作った問題の欠点の一つは囚人Xが自分の選んだ封筒の中にカードが1枚しか入っていないのか2枚しか入っていないのか知らないことである。変型三囚人問題では囚人Aは看守に聞く前に自分が恩赦になる確率が1/4であることを知っていて、私が作った問題では看守に封筒Bの中を見せてもらう前に自分の選んだ封筒の中にカードが1枚しかし入っていないことを知っていたことにする必要がある。囚人Xが封筒を選んだ後に看守が「あなたが選んだ封筒の中にはカードが1枚しか入っていません」と教える必要があるかもしれない。もしも教えなかったら、囚人Xが封筒C(カードは2枚)を選んだ場合も考察する必要があるだろう。封筒Cを選んだ場合も看守が封筒Cの中のカードの枚数を教えた場合を考察する必要があるかもしれない。そんな感じで問題がちょっと複雑になるので「良い問題」とは呼べない。

追記(2006/9/1):
 市川伸一さんが提案した図を使って三囚人問題を説明すると次のようになります。「考えることの科学」の図と少し違います(色が付いているなど)が、ほぼ同じです。ついでに「タクシー問題」の図も加えました。クリックすると大きく表示されます。「タクシー問題」の方は証人が正しいことを言う確率が80%であっても、街に青色のタクシーが15%しかないので、「ひき逃げしたタクシーは青色だった」という証言があっても、証言通りに青色のタクシーがひき逃げした確率は41%に減ってしまうという問題です。図は角度を測って描いてないので、実際の割合を正確に反映していなくても御容赦ください。

追記(2006/9/1):
 コメント欄で教えてもらった
 http://stardustcrown.com/reading/prisoners-puzzle.html
 を読んでの記事を書きました。→「三囚人問題の図解」


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itochan

http://www.madlabo.com/mad2/kiyo/standard/kakuritu/Bayes.htm
回答の方針を読んだけどなおわかりません…

http://stardustcrown.com/reading/prisoners-puzzle.html
>「サーベロニの問題」として古くから知られています。
(検索エンジンに拾われるように残していきます)
by itochan (2006-08-31 18:15)

正己

itochanさん、コメントありがとうございます。
上の方は検索したらヒットしたので見てました。「考えることの科学」に載っていた文章の要点をまとめた感じだと思います。「考えることの科学」には直感的に理解できるようにする図が載っていました。ベイズの定理を使って計算で解くことができますが、図は他人に説明する時に便利だと思いました。いろいろなケースを場合分けするのと同じですが、確率を変えた場合にもすぐに理解できる図だと思いました。
下の方のリンク先(永施誠さんの文章の方)は見たことがなかったのですが、場合分けの説明が分かりやすくて良かったです。「問二」が面白かったです。「『問一』と『問二』の差」の部分は分かりにくかったですが…。(^_^;)
どうもありがとうございました。
by 正己 (2006-09-01 11:47)

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