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共謀罪を含む改悪組織犯罪処罰法は
【「共謀罪」法 衆参両院議員の投票行動(東京新聞 2017/6/16)】

モンティ・ホール問題

『モンティ・ホール問題 - Wikipedia』を読んで

 英語版の「Monty Hall problem - Wikipedia, the free encyclopedia」は日本語版のサイトと内容が異なるようだが、私は英語が苦手なので、ここでは日本語版のサイトの方について考察する。

 ここで紹介されているモンティ・ホール問題は次の通りである。

プレイヤーは、三つのドアを見せられる。ドアの一つの後ろにはプレイヤーが獲得できる景品があり、一方、他の二つのドアにはヤギ(景品がなく、ハズレであることを意味している)が入っている。ショーのホストは、それぞれのドアの後ろに何があるか知っているのに対し、もちろんプレイヤーは知らない。
プレイヤーが第一の選択をした後、ホストのモンティは他の二つのドアのうち一つをあけ、ヤギをみせる。そしてホストはプレイヤーに、初めの選択のままでよいか、もう一つの閉じているドアに変更するか、どちらかの選択権を提供する。プレイヤーは、選択を変更すべきだろうか?
「モンティ・ホール問題 - Wikipedia」

 回答は次のようになっている。

模範的な回答は「イエス」である。なぜなら、プレイヤーがもう一つのドアへ変更した場合に景品を勝ち取る可能性は、プレイヤーがもともとの選択のままである場合の2倍であるからだ。この理由は次のようになる。もともとの選択では、プレイヤーは選んだドアに景品がある可能性を 1/3 しか持っていない(景品がない可能性は 2/3);この確率はモンティがヤギのドアを開けたとしても変わらない。その結果、もしプレイヤーがもともとの選択に忠実ならば景品を勝ち取る可能性は 1/3 であり、従ってプレイヤーが変更した場合は 2/3 である。
ヤギの入っているドアは本質的にはその後ろに何もないドアと同じであるので、一つのドアを開けてゲームから除外する代わりに二つのドアを一つにまとめることは等価とみなせる。つまり、このことはプレイヤーがもともとのドアの選択に忠実であるか、あるいは一つにまとめられた他の二つのドアの合計を選択するか、どちらかの選択を求められていることを意味している。明らかに、景品が他の二つのドアにある可能性は二倍高い。
また、ドアが3個ではなく100個である場合を考えるとより直感的に分かりやすくなるだろう。プレイヤーが一つのドアを選んだのち、モンティは後ろにヤギのいる98個のドアを開ける。明らかに、モンティが開けなかったもう一つのドアに景品がある可能性が極めて高い(正確には 99/100)。
「モンティ・ホール問題 - Wikipedia」

 この回答は正しいだろうか?
 プレーヤーは選択を変更すべきで、変更後に景品を勝ち取る確率が2/3であることは正しい。問題はその導き方である。

もともとの選択では、プレイヤーは選んだドアに景品がある可能性を 1/3 しか持っていない(景品がない可能性は 2/3);この確率はモンティがヤギのドアを開けたとしても変わらない。

 モンティがヤギのドアを開ける前は、プレーヤーが選んだドアに景品がある確率は1/3で景品がない確率は2/3であった。それは正しい。しかし、モンティがヤギのドアを開けた後は、プレーヤーが選んだドアに景品がある確率は1/3で景品がない確率は2/3であるとは限らない。『この確率はモンティがヤギのドアを開けたとしても変わらない』には根拠が必要である。この問題では次の2つの事実が『この確率はモンティがヤギのドアを開けたとしても変わらない』の根拠である。

  • プレーヤーが選ばなかった2つのドアに景品がある確率が等しい(P(B)=P(C))
  • プレーヤーが選んだドアに景品がある場合にプレーヤーが選ばなかったドアの一方を開ける確率が等しい(P("-B"|A)=P("-C"|A))

 P(B)、P(C)は、モンティーがヤギのドアを開ける前のプレーヤーが選ばなかった2つのドア(B、Cとする)に景品がある確率(事前確率)で、P("-B"|A)、P("-C"|A)は、プレーヤーが選んだドア(Aとする)に景品がある場合にモンティがB、Cを開けて景品がない(ヤギである)ことを示す確率(条件つき確率)である。
 しかし、この2つの事実が『この確率はモンティがヤギのドアを開けたとしても変わらない』の根拠である理由も示さなければならない。実は『この確率はモンティがヤギのドアを開けたとしても変わらない』の条件は次のように簡略化できる。

  • P(B)/P(C) = P("-C"|A)/P("-B"|A)
    (「P(B)とP(C)の比率」が「P("-C"|A)とP("-B"|A)の比率」に等しい)

 これはベイズの定理の式を使って「P(A)=P(A|"-B")」を変形することで求められる(P("-B"|B)=0、P("-B"|C)=1、P("-B"|A)+P("-C"|A)=1を積極的に使って変形する)。この条件を満たせば「P(B)=P(C)」「P("-B"|A)=P("-C"|A)」という条件を満たさなくても『この確率はモンティがヤギのドアを開けたとしても変わらない』の根拠になる。モンティ・ホール問題と同型である「三囚人問題」を変形した「変形三囚人問題」はこの条件を満たしていないので、「囚人Aが処刑される確率は看守が処刑される一人の名前を教えても変わらない」の根拠がない。そして、実際に、看守に「囚人Bは処刑されるよ」と教えてもらう前と後の囚人Aが恩赦になる確率(P(A)、P(A|"-B"))は異なる(参照)。
 さて、「モンティ・ホール問題 - Wikipedia」の回答では上の条件(P(B)/P(C) = P("-C"|A)/P("-B"|A))を満たしていることを示してから『この確率はモンティがヤギのドアを開けたとしても変わらない』と述べなければならないのだが、条件を満たせば『変わらない』ことを数式を利用せずに説明するのは難しい。それならば最初からベイズの定理を使ったり場合分けしたりして事後確率(モンティがBを開けて景品がないことを示した後のA、Cに景品がある確率:P(A|"-B")、P(C|"-B"))を求めた方が良い。

 「モンティ・ホール問題 - Wikipedia」の回答に戻る。

ヤギの入っているドアは本質的にはその後ろに何もないドアと同じであるので、一つのドアを開けてゲームから除外する代わりに二つのドアを一つにまとめることは等価とみなせる。つまり、このことはプレイヤーがもともとのドアの選択に忠実であるか、あるいは一つにまとめられた他の二つのドアの合計を選択するか、どちらかの選択を求められていることを意味している。明らかに、景品が他の二つのドアにある可能性は二倍高い。

 これも自明ではないので根拠が必要である。『ヤギの入っているドアは本質的にはその後ろに何もないドアと同じである』は『一つのドアを開けてゲームから除外する代わりに二つのドアを一つにまとめることは等価とみなせる』の根拠にならない。非論理的だし日本語が変なので私には意味不明であるが、他のサイトをいろいろと見たところ、要するに「プレーヤーが選ばなかった2つのドアを1つにまとめて考えることができて、その合計確率は変わらないのだから、一方の確率が0になったらもう一方の確率はその合計確率になる」ということだろう。モンティがヤギのドアを開ける前のプレーヤーが選ばなかった2つのドア(B、C)のどちらかに景品がある確率(P(B)+P(C))が、モンティがヤギのドア(B)を開けた後のB、Cのどちらかに景品がある確率(P(B|"-B")+P(C|"-B"))に等しいという考え方である。式で表すと次のようになる。

  • P(B)+P(C) = P(B|"-B")+P(C|"-B") = P(C|"-B")(∵ P(B|"-B") = 0)

 これも自明ではないので根拠が必要で、やはり次のような条件を満たさないと成立しない。

  • P(B)/P(C) = P("-C"|A)/P("-B"|A)
    (「P(B)とP(C)の比率」が「P("-C"|A)とP("-B"|A)の比率」に等しい)

 これもやはりベイズの定理の式を使って「P(B)+P(C)=P(C|"-B")」を変形することで求められる(P("-B"|B)=0、P("-B"|C)=1、P("-B"|A)+P("-C"|A)=1を積極的に使って変形する)。

 要するに「モンティ・ホール問題 - Wikipedia」に載っている解法、すなわち多くの人が用いていると思われる解法は、「モンティがヤギのドアを開ける前にプレーヤーが選ばなかった2つのドア(B、C)に景品がある確率P(B)とP(C)の比率」が「プレーヤーが選んだドア(A)に景品がある場合にモンティがC、Bのドアを開ける確率P("-C"|A)とP("-B"|A)の比率」に等しい(P(B)/P(C) = P("-C"|A)/P("-B"|A))ことを示してから使わなければいけない。「変形三囚人問題」(参照)を同じように解くことができないし、「金の玉はどこだ!問題」も、その条件を満たすように作らないと同じ解法が使えない。場合分けして条件つき確率を求めたりベイズの定理を使ったりしないと正解に辿り着けない。逆に、多くの人が用いていると思われる「モンティ・ホール問題 - Wikipedia」に載っている解法で正解が得られない問題は「P(B)/P(C) = P("-C"|A)/P("-B"|A)」を満たさないようにすれば容易に作れる。

 また「モンティ・ホール問題 - Wikipedia」の回答に戻る。

また、ドアが3個ではなく100個である場合を考えるとより直感的に分かりやすくなるだろう。プレイヤーが一つのドアを選んだのち、モンティは後ろにヤギのいる98個のドアを開ける。明らかに、モンティが開けなかったもう一つのドアに景品がある可能性が極めて高い(正確には 99/100)。

 これはドアが3つの場合を少し発展させて考えないといけない。
 ドアがA、B、Cの3つのときは、「プレーヤーがAを選んでモンティがBを開けた後のCに景品がある確率」というように求める条件つき確率の条件を「モンティがBを開けた後の」と開けたドアに注目していた。これは「モンティがCだけを残した後の」と残したドアに注目する条件に置き換えることができる。上の式で使ってきた、プレーヤーが選んだドア(Aとする)に景品がある場合にモンティがB、Cを開けて景品がない(ヤギである)ことを示す確率P("-B"|A)、P("-C"|A)も、プレーヤーが選んだドア(Aとする)に景品がある場合にモンティが他のドアを開けて景品がない(ヤギである)ことを示しC、Bを残す確率P("+C"|A)、P("+B"|A)に置き換えることができる(P("+C"|A)=P("-B"|A)、P("+B"|A)=P("-C"|A))。「モンティ・ホール問題 - Wikipedia」に載っている解法が使える条件「P(B)/P(C) = P("-C"|A)/P("-B"|A)」も次の式に置き換えられる。

  • P(B)/P(C) = P("+B"|A)/P("+C"|A)
    (「P(B)とP(C)の比率」が「P("+B"|A)とP("+C"|A)の比率」に等しい)

 要するに「モンティ・ホール問題 - Wikipedia」に載っている解法、すなわち多くの人が用いていると思われる解法は、「モンティがヤギのドアを開ける前にプレーヤーが選ばなかった2つのドア(B、C)に景品がある確率P(B)とP(C)の比率」が「プレーヤーが選んだドア(A)に景品がある場合にモンティがB、Cのドアを残す確率P("+B"|A)とP("+C"|A)の比率」に等しい(P(B)/P(C) = P("+B"|A)/P("+C"|A))ことを示してから使わなければいけない。
 さらに、上の式は次のように変形できる。

  • P("+C"|A) = P(C)/(P(B)+P(C)) = P(C)/(1-P(A))

 これは、「プレーヤーが選んだドアAに景品がある場合にモンティがドアCを残す確率」が「モンティがヤギのドアを開ける前の、プレーヤーが選ばなかったドア(B、C)のいずれかに景品がある確率のうちモンティが残すドアCに景品がある確率の割合」に等しいという意味である。文章にするとややこしい。

 さて、準備が整ったところでドアの数が100に増えた場合に、「モンティ・ホール問題 - Wikipedia」に載っている解法が使える条件を調べてみる。と言いたいところだが、省略して結果だけを示す。ただし、これまでの式は私が自分で式を変形して確認してみたのだが、ドアの数を増やした場合の条件は自分で導き出して確認したものではない。どこかに導き出した人がいると思うが、それも確認していない。だから正しいのかどうかも分からない。でも、たぶん正しいだろう。
 次の「Nドア問題」を用意する。

 N個のドアがあって、1個のドアの後ろだけに景品があり、残りのドアの後ろにはヤギがいることが分かっている(N≧3)。景品がある確率はそれぞれP(1)、P(2)、…、P(N)であった。モンティはどのドアの後ろに景品があるか知っているが、プレーヤーは知らない。プレーヤーがドア1を選んだ後、モンティはドア1とドア2を残して他のドアを全て開けた。開けられた全てのドアの後ろにはヤギがいた。ドア2の後ろに景品がある確率はいくらか?

 「モンティ・ホール問題 - Wikipedia」に載っている解法では次のようになる。

 プレーヤーが選んだドア1に景品がある確率は1/Nで、それ以外のドアのいずれかに景品がある確率は(N-1)/Nである。ドア2以外のすべてのドアを開けてもその確率は変わらない。したがって残されたドア2に景品がある確率は(N-1)/Nである。例えばドア数が100のときは、プレーヤーが選ばずモンティが開けずに残したドアに景品がある確率は99/100である。

 このような解法が使える条件は次の通りだろう。

  • P("2"|1) = P(2)/(1-P(1))

 P("2"|1)は、プレーヤーが選んだドア1の後ろに景品がある場合にモンティがドア2を残す確率である。
 この条件を満たさない例は「金の玉はどこだ!問題」を使えば作れるが、モンティ・ホール問題に似せるためにNドア問題で作ると次のようになる。

 100個のドアがあって、1個のドアの後ろだけに景品があり、残りのドアの後ろにはヤギがいることが分かっている。景品がある確率は一つだけ2/101で他は1/101であった。モンティはどのドアの後ろに景品があるか知っているが、プレーヤーは知らない。プレーヤーがドア1(景品のある確率は1/101)を選んだ後、モンティはドア1とドア2(景品がある確率は2/101)を残して他のドアを全て開けた。開けられた全てのドアの後ろにはヤギがいた。モンティが残したドア2の後ろに景品がある確率はいくらか。

 「モンティ・ホール問題 - Wikipedia」に載っている解法では答は100/101になるだろう。しかしベイズの定理を使って解いた正解は198/199である。「P("2"|1)=1/99、P(2)=2/101、(1-P(1))=100/101」だから「P("2"|1) = P(2)/(1-P(1))」の条件を満たしていない。
 ちなみに、プレーヤーがドア1を選ぶ前のドア2の後ろに景品がある確率が1/101だった(確率2/101のドアは開けられてしまった)ら、モンティが残したドア2の後ろに景品がある確率は99/100である。「P("2"|1)=1/99、P(2)=1/101、(1-P(1))=100/101」だから「P("2"|1) = P(2)/(1-P(1))」の条件を満たしていない。プレーヤが選んだドア1の後ろに景品がある事前確率が2/101だったら、モンティが残したドア2の後ろに景品がある確率は99/101である。「P("2"|1)=1/99、P(2)=1/101、(1-P(1))=99/101」だから「P("2"|1) = P(2)/(1-P(1))」の条件を満たしている。
 「モンティ・ホール問題 - Wikipedia」に載っている100ドア問題は「P("2"|1)=1/99、P(2)=1/100、(1-P(1))=99/100」だから「P("2"|1) = P(2)/(1-P(1))」の条件を満たしている。もちろん、ベイズの定理を使って解いても答は99/100である。

 結局、「モンティ・ホール問題 - Wikipedia」に載っていて多くのサイトで紹介されている一般的な解法の問題点を、簡単な言葉、簡単な例を使って示すことができなかった。これが今の私の限界である。

 モンティ・ホール問題の正式な解法も載せようと思ったが、長くなり過ぎたのでここで終わりにする。解法はこの後に「モンティ・ホール問題の解法」というタイトルで私のブログに書く予定である。→【モンティ・ホール問題の解法】(2006/9/16)


参考文献
(1)「考えることの科学〜推論の認知心理学への招待〜」(市川伸一著、中公新書)
(2)「確率の理解を探る〜3囚人問題とその周辺〜」(市川伸一著、共立出版)


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【三つの扉、三枚の封筒】
【三囚人問題の図解】
【変形三択問題】
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itochan

待ちます。いつまででも待ちます。
いつでもいいです。(前から読者だから読み逃すことはない)

まとまらなかったら、「本読め!」でいいですw
by itochan (2006-09-16 11:59)

正己

itochanさん、いつもコメントありがとうございます。(^_^)
どのような問題にも使える簡単な解法は見つかりませんでしたので、itochanさんにとっては期待外れかもしれませんが、とりあえず書いておきました。(^_^;)
「モンティ・ホール問題の解法」というタイトルです。
by 正己 (2006-09-16 17:08)

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