傾聴するときは早合点に注意
【交流分析メールマガジン 第162号】のコラム「傾聴は最高のストローク」を読んで少し笑顔になれた。
ある小学校高学年の男の子が、熱を出して学校を数日休んだ後、そのまま学校に行けなくなってしまいました。
どこか特定のところが痛かったりするわけではなく、検査を受けても何の異常もないのに、朝起きると何かしら不調を訴え学校を休む日々が続いたそうです。
母親は傾聴を心がけてみる。
すると数日して、学校でのクラスの友達との間であった不満をポツリポツリと話し出したそうです。
さらに「お母さんはお仕事で疲れているから、話しかけない方がいいと思っていた」とも語ったそうです。
ここまで読むと、学校でのいじめが不登校の原因かなと思ってしまうのだが、早合点してはいけないことが続きを読むと分かる。親が学校に文句を言いに行ったら最悪である。
母親が聴く態度を心がけたところ、子どもはそれ以来、母親に少しベタベタと甘えるようになりました。
母親はそれも普段なら「疲れてるから」と邪険にしがちだったところを、子どもがなすがままにさせてみたそうです。
甘えるのを我慢していた子が甘えられるようになることは良いことで、しばらくすれば学校に行けるようになると期待するのだが…。
・・・しかし、それでも、子どもは学校に行けるようにはなりませんでした。保健室までは行けても教室には入れない、すぐに帰宅してしまう、などの状況が続きました。
気晴らしをしても効果がないようで、ここまで読んで、やっぱりクラスでのいじめが原因で教室に入れないのではないかなと思いそうだが、早合点してはいけないことが続きを読むと分かる。
それからさらに日々が過ぎたある日・・・
子どもが突然、「習い事をやめたい」と言い始めたのだそうです。
それは母親にとっては青天の霹靂だったといいます。
てっきり子どもは楽しく喜んで行っているものだとばかり思っていたからです。
引用の量が多くなったので、続きはメルマガを読んでほしい。
著者は次のように分析している。
子どもなりの精一杯のSOSを発していたんでしょうね。
そして、母親が聴こうとする態度を心がけたことにより、最初は無難なといいますか、本人にとって言いやすい不満や悩みを訴えることで親の反応を試し(あくまでも無意識に)、さらに親の聴く姿勢が一過性のものでないと確信し安心して本音が言えると感じられた時に、やっと本当のことを話せたのではないか。
上のコラムの子は『その後楽しく学校に通い続けている』らしい。心の成長も感じられるハッピーエンドで私も笑顔になった。
このコラムを読んだ時、かなり昔に読んだ「こころの日曜日~45人のカウンセラーが語る心と気持ちのほぐし方」のコラム「話は最後まで聴くと分からない」を思い出した。そちらのコラムは「話を最後まで聴く必要がない」ということを伝えようとしているわけではない。むしろ、最後まで聴く必要があることを面白く伝えている。いや、話の「最後」がないということを伝えようとしているのかもしれない。
ある人が、ペットが死んだ話をします。
「可愛がっていたペットが死んだのです」「それはかわいそうでしたね。寂しくなりましたね」と応じると、「いいえ、ほっとしてるんです」「えっ」「ですから主人が可愛がっていて、私は犬はあまり好きじゃなく、汚れるし、面倒だし、死んでくれて、ほっとしています」「それはよかったですね」
(中略)
「私はそう思っていたんです。確かに。でも、この頃、やっぱり愛犬が死んで、いつも見ていた顔がないと、寂しいみたいなんです」「えっ」「ですから、(以下略)」
(中略)
「どうやら犬が死んでほっとしてる面と、いなくなって寂しいという気持ちと二つあるみたいですね。どっちが強いともいえない」
これで問題がはっきりしたかと思ったら…。
「そのことはもういいんです。それより主人のことですが、ことごとく意見が合わないし、性格の不一致ですよね。主人の使ったものや持っているもの、見るのも触るのも嫌なんです」「ご主人とうまくいかないということ」「ええ、もう別れるしかないですよね」「ああ、離婚したいということ」「そうです」
ペットが死んだ話は前置きだったらしい。そして離婚とペットが死んだことの関係を聞くと…。
「いいえまったく関係がありません」
ペットを可愛がっていたのが夫であることから、全く関係ないということではないだろう。コラムで紹介されている話はここまでだが、離婚についても気持ちがはっきりしているわけではなくてペットが死んだ話と同様に揺れていそうである。コラム「話しは最後まで聴くと分からない」の離婚の話はコラム「傾聴は最高のストローク」の「習い事をやめたい」と同様に想像していなかった突然のことで「えっ?」と驚いてしまう。早合点せずに相手の話に耳を傾け続けることの重要性が分かる。
私は問題が起こるとすぐに解決しようと焦ってしまい、原因が分かったと思ったらすぐに解決に向けて動いてしまうことがある。例えば、コラム「傾聴は最高のストローク」のケースでは学校に原因があるのだと早合点して担任教師にいじめの調査を依頼しそうである。それではダメで、もう少し落ち着いて行動する必要があるなとコラムを読んで改めて思った。
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