三段論法の誤用
『弁護士がこっそり教える絶対に負けない議論の奥義012』を読んで
http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000143169
(上記URLのページは2月16日頃に「第013号」に変わると思います)
次の部分(音声ブラウザで閲覧されることを想定して改行位置を変更しました)
■三段論法についてよく行われる説明ですが、三段論法とは、
A=B、B=C、ゆえにA=C
というものです。論理的に正しいものとされます。上記にあてはまれば、必ずA=Cになるのです。
具体例です。
1 太ると、ズボンのウエストがきつくなる。
2 私は、ズボンのウエストがきつくなった。
3 私は太った。
上記で、A=太る、B=ズボンのウエストがきつくなる、C=私です。
論理的ですが、内容は痛いところをつかれました。
ちょっと違うのではないだろうか。
まず、三段論法を記号で書くのなら次のように矢印を使う。
『A→B、B→C、ゆえにA→C』
そこで上の具体例だが、
1.A→B(太ったならばズボンのウエストがきつくなる)
2.C→B(私はズボンのウエストがきつくなった)
であるから、「A→C」とならず、『3 私は太った。』とは言えないはず。ズボンのウエストがきつくなる理由がA以外にもあるので『ズボンのウエストがきつくなった』としても『私は太った』とは言えない。メルマガにはその後に反論方法が書かれているが、論理的に反論するのなら、三段論法になっていないことを反論すべきだろう。
メルマガに載っている他の例を見てみる。
1 市場調査の結果で7割が欲しいと回答する場合には、商品が売れる。
2 この商品の市場調査では、7割が欲しいと回答した。
3 この商品は売れるはずだ。
論理的には正しい文章です。
これは三段論法的には問題ないだろう。ただ、1の『市場調査の結果』が『どの市場調査の結果でも』という意味である場合である。1と2で『市場調査』が別のものを指している時には三段論法は成り立たない。
■1 母は、高価なものを台無しにすると、怒る。
2 母が怒ったのは、白いペルシャ絨毯に黒いインクをこぼしたときだ。
3 黒いインクは、高価だ。
(そっちかよ!ペルシャ絨毯じゃないのかよ!)
これは次のように書き換えられる。
1.A→B(高価なものを台無しにすると母は怒る)
2.C→B(白いペルシャ絨毯に黒インクをこぼしたときに母が怒った)
3.C→A(黒インクは高価だ)
すなわち三段論法になっていない。母が怒った理由は『白いペルシャ絨毯に黒いインクをこぼした』からではない可能性が残るが、三段論法の反論としては「母は高価なものを台無しにしなくても怒る可能性があるので『黒インクは高価だ』とは言えない」となるだろう。
■1 君はまだまだ青いな。
2 青は、すがすがしい。
3 君はすがすがしい。
(すがすがしいのは、いいことだが、意味が違うような・・・)
これは文章だけなら三段論法的には間違っていないが…。(^_^;)
メルマガに書かれている通り1の『青』と2の『青』が異なっているので三段論法は成り立たない。
■1 笑えないギャグを聞くと、寒い。
2 寒いと、こたつで丸くなる。
3 笑えないギャグを聞くと、こたつで丸くなる。
(なぜだろう??)
これも文章だけなら三段論法的には間違っていないが…。(;^_^A)
メルマガでも指摘しているが、『青』の場合と同じで1の『寒い』と2の『寒い』が異なっているので三段論法は成り立たない。
以上、私の分析で間違っていないと思う。
(今後、この記事に間違いが発見された場合は訂正しますのでご了承下さい)
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