SSブログ
RSS [RSS1.0] [RSS2.0]
共謀罪を含む改悪組織犯罪処罰法は
【「共謀罪」法 衆参両院議員の投票行動(東京新聞 2017/6/16)】

無罪でも喜べない

『ライブドアの捜査について』(弁護士 谷原 誠)を読んで
http://blog.giron.jp/archives/50316208.html
次の部分

 普通の損害賠償は、民法による損害賠償請求です。しかし、今回は、東京地検特捜部が行っている捜査であり、公務員が行う行為ですから、特別に「国家賠償法」に基づく損害賠償請求になります。
 ただ、有罪が立証できなければ、全ての場合に損害賠償が認められるわけではありません。公務員の故意または過失があったことが必要になります。
(中略)
 仮に最終的に無罪だったとしても、国家賠償請求における過失の立証は極めて難しい、ということになるでしょう。

 逮捕されて起訴されなかったり起訴されても無罪だった場合に、逮捕された人は気の毒である。無罪だったから良かった、では済まない。逮捕されたせいでその後の人生が悪い方向に変わってしまった人もいるかもしれない。しかし、その逮捕やその後の手続きが適正なものであれば、警察や検察には責任がないらしく、間違って(法的には過失ではないだろうが結果として間違いだった場合)逮捕されてしまった人は泣き寝入りするしかないらしい。刑事補償法による補償というものもあるらしいが、不十分らしい。

 ところで、逮捕されて無罪だった人が国に賠償を求めたニュースを最近見た。私が読んだのは朝日新聞であるが、ネット上にもあった。

 『無罪男性に慰謝料認めず 松山地裁、誤認逮捕巡り』(朝日新聞、2006/1/18)
 http://www.asahi.com/national/update/0118/OSK200601180034.html

 結果は次の通りである。

沢野芳夫裁判長は「自白を強要した事実は認められず、男性に対する疑いがあると判断する合理的な理由があった。真犯人判明後の釈放も理由なく遅れたとはいえない」などとして、請求をすべて退ける原告全面敗訴の判決を言い渡した。
(朝日新聞、2006/1/18)

 同じニュースが他社のサイトにもあった。

 判決理由で沢野裁判長は「原告の取り調べにおける供述内容は合理的で、有罪と認めることができる嫌疑があったといえる」と述べ、「捜査は、すべての事件の真実発見のために普遍的に有効なものはない。(捜査が)ずさんであったことが、直ちに違法という理由にはならない」と捜査の違法性を否定した。
(産経新聞『無罪男性の請求棄却 誤認逮捕訴訟 松山地裁』2006/1/18)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060118-00000033-san-soci

 この産経新聞の記事によると、『男性には刑事補償法に基づき、国から約四百八十万円が支払われた』らしい。
 次は共同通信の記事から。

 判決理由で沢野芳夫裁判長は「自白を強要されたという男性の主張は、民事裁判になってから新たに付け加えられた話もあり信用できず、強要を認定する証拠はない」と指摘。捜査手法についても「当時の証拠関係に照らし、合理的に期待される通常の捜査を怠ったとはいえず、不合理な点は認められない」と判断した。
(共同通信『誤認逮捕で賠償請求認めず 松山地裁』2006/1/18)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060118-00000111-kyodo-soci

 谷原さんの記事に『過失の立証は極めて難しい』と述べられているが、過失を立証できなければ過失があったとしても「過失はなかった」とされてしまう。共同通信の記事では『強要を認定する証拠はない』と裁判長に言われてしまったらしい。証拠を用意しておかないといけないのだが、どのように用意するか…。

 判決前であるが、次のようなニュースもあった。

 『窃盗無罪賠償訴訟:国などが争う構え 初弁論で請求棄却求める−−水戸地裁 /茨城』
 (毎日新聞、2006/1/18)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060118-00000081-mailo-l08

 こちらは、東京高裁の控訴審で窃盗事件については無罪となって減刑された男性の訴訟。高裁は444日間を拘置期間と認定して刑事補償金555万円を男性に支払ったが、男性は拘置期間はそれより900日以上多い1346日と主張して、精神的、経済的な損害で1100万円の賠償を求めているらしい。
 444日間の拘置期間で刑事補償金が555万円と言うことは1日当たり1万2500円だろうか。この額が妥当かどうかは逮捕された経験者でないと分からないだろう。

追記:
 上でリンクした朝日新聞の記事は、私が紙の新聞で読んだ記事とは少し違うようである。私の「独り言」で引用したことがあるので、それをここにも引用しておく。

2006年1月19日

『無罪男性に慰謝料認めず 松山地裁国賠訴訟「自白の強要なし」』
(19日朝日新聞12版35面)
[松山地裁:沢野芳夫裁判長]
「自白を強要した事実は認められず、男性を疑う合理的な理由があった。
 真犯人が自白した後の釈放も理由なく遅れたとはいえない」
などとして請求を棄却する原告全面敗訴の判決を言い渡した。
(中略)
00年1月、別の強盗致傷事件で高知県警に逮捕された男が犯行を供述。
判決が4日後に迫った同年2月、男性は釈放された。
検察側は改めて無罪を求める論告をし、5月、
松山地裁宇和島支部は無罪を言い渡し、確定した。
刑事裁判の確定判決は、
男性の検察官への供述などをもとに、警察官が机をたたきながら
「証拠があるんやけん、早く白状したらどうなんや。
 実家の方に捜しに行かんといけんようになるけん迷惑がかかるぞ。
 長くなるとだんだん罪が重くなるぞ」
と自白を強要した事実を認定した。
ん? 刑事裁判での認定を覆したんだ。
この日の判決は、男性が刑事裁判の被告人質問の際に
「どうしてうそを言ったのかわからない」と供述し、
警察官の暴行や脅迫などを明らかにしていない点を指摘。
不当な取り調べや自白の強要があったとする男性の主張は
信用できないとした。
そうすると、刑事裁判での自白強要認定の根拠は?

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
カテゴリー:ブログを読んで
共通テーマ:ニュース

読者の反応

nice! 0

sonet-asin-area

コメント 0

コメントの受付は締め切りました

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。