Thunderbirdでは引用部分の改行を元に戻せない
先日、私の所に1行の長いメール(1段落を全く改行してないメール)が届いた。私はThunderbirdというメールソフトを使っているのだが、そのThunderbirdを使って返信する時に改行の扱いで困ったことが起こった。
Thunderbirdでは送信メールを作成すると適当な所で自動的に改行して送信してくれる。例えば、次のような文字列を入力すると36文字目(や)と37文字目(ゆ)の間で自動的に改行してくれる。それはメールを作成している時だけでなく、送信されたメールも改行されている。
入力文字列:あいうえおかきくけこさしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもやゆよわをんがぎぐげござじずぜぞだぢづでどばびぶべぼぱぴぷぺぽ
送信された文字列:あいうえおかきくけこさしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもや
ゆよわをんがぎぐげござじずぜぞだぢづでどばびぶべぼぱぴぷぺぽ
しかし、返信メールを作成する時の引用部分は自動的に改行されない。
届いたメールの文字列が2行に分かれている場合の引用部分:> あいうえおかきくけこさしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもや
> ゆよわをんがぎぐげござじずぜぞだぢづでどばびぶべぼぱぴぷぺぽ
届いたメールの1行の文字列が長い場合の引用部分:> あいうえおかきくけこさしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもやゆよわをんがぎぐげござじずぜぞだぢづでどばびぶべぼぱぴぷぺぽ
36文字目(や)と37文字目(ゆ)の間で改行されたメールに返信する時は先頭の文字(あ)の前だけでなく37文字目(ゆ)の前に引用符「>」が付くが、改行されてなくて1行の文字列が長い場合は先頭の文字(あ)の前にしか引用符「>」が付かない。Thunderbirdでは編集中に横スクロールが表示される。編集中だけでなく、送信されたメールも自動的に改行されないので、手動で改行しないと1行の長いメールを送信してしまうことになる。
そこで、1行の長いメールに返信する場合は引用部分を手動で改行する必要があるのだが、Thunderbirdでは、その編集が難しい。
まず、「返信」ボタンを押した直後に作られたメールの引用部分は次の通り。
> あいうえおかきくけこさしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもやゆよわをんがぎぐげござじずぜぞだぢづでどばびぶべぼぱぴぷぺぽ
「こ」と「さ」の間にカーソルを移して「Enter」キーを1度だけ押すと次のようになる。
> あいうえおかきくけこ
さしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもやゆよわをんがぎぐげござじずぜぞだぢづでどばびぶべぼぱぴぷぺぽ
なぜか、「こ」と「さ」の間に空白行が生じる。
そこで、「さ」の前にカーソルを移して「Backspace」キーを1度だけ押すと次のようになる。
> あいうえおかきくけこ
さしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもやゆよわをんがぎぐげござじずぜぞだぢづでどばびぶべぼぱぴぷぺぽ
「さ」の前の空白行が削除された。
次に「こ」と「さ」の間の改行コードを削除するために、再び「さ」の前にカーソルを移して「Backspace」キーを1度だけ押す。すると見た目は次のようになる。
> あいうえおかきくけこ
さしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもやゆよわをんがぎぐげござじずぜぞだぢづでどばびぶべぼぱぴぷぺぽ
最初に「さ」の前にカーソルを移して「Backspace」キーを1度だけ押して改行した時と変わってない。
そこで、再び「さ」の前にカーソルを移して「Backspace」キーを1度だけ押す。すると次のように「こ」が削除されてしまう。
> あいうえおかきくけ
さしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもやゆよわをんがぎぐげござじずぜぞだぢづでどばびぶべぼぱぴぷぺぽ
改行されてなかった最初の状態に戻せない。
もう一度、届いたメールを選択して「返信」ボタンを押して最初から返信メールを作成する。最初の状態は次の通りである。
> あいうえおかきくけこさしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもやゆよわをんがぎぐげござじずぜぞだぢづでどばびぶべぼぱぴぷぺぽ
「こ」と「さ」の間にカーソルを移して「Enter」キーを1度だけ押すと次のようになる。
> あいうえおかきくけこ
さしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもやゆよわをんがぎぐげござじずぜぞだぢづでどばびぶべぼぱぴぷぺぽ
「こ」と「さ」の間に空白行が生じたので、今度は空白行にカーソルを移して「Backspace」キーを1度だけ押す。すると次のようになる。
> あいうえおかきくけこ
さしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもやゆよわをんがぎぐげござじずぜぞだぢづでどばびぶべぼぱぴぷぺぽ
やはり「さ」の前の空白行が削除された。
次に「こ」と「さ」の間の改行コードを削除するために、今度も「さ」の前にカーソルを移して「Backspace」キーを1度だけ押す。すると見た目は次のようになり、やはり変わらない。
> あいうえおかきくけこ
さしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもやゆよわをんがぎぐげござじずぜぞだぢづでどばびぶべぼぱぴぷぺぽ
そこで、再び「さ」の前にカーソルを移して「Backspace」キーを1度だけ押す。すると次のように「こ」が削除されてしまう。
> あいうえおかきくけ
さしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもやゆよわをんがぎぐげござじずぜぞだぢづでどばびぶべぼぱぴぷぺぽ
改行されてなかった最初の状態に戻せない。
実は、2度目の「Backspace」キーの後は見た目が変わってなくても「こ」と「さ」の間に改行コードは存在しない。見た目は改行されているが、見た目の2行目が長すぎて見た目の1行目の後ろに付けると見た目の1行目が長くなりすぎてしまうので見た目だけ改行されたままの状態にしているのである。テキストエディタなどにコピーすると次のように改行されていないことが分かる。
> あいうえおかきくけこさしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもやゆよわをんがぎぐげござじずぜぞだぢづでどばびぶべぼぱぴぷぺぽ
では、改行コードが削除されて見た目だけ改行された状態で送信すれば引用部分が長い1行として送信されるのであろうか。
見た目が次のようになっているメールを自分宛に送信してみた。
> あいうえおかきくけこ
さしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもやゆよわをんがぎぐげござじずぜぞだぢづでどばびぶべぼぱぴぷぺぽ
結果は次の通りである。
> あいうえおかきくけこさしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもやゆよわをんがぎぐげご
ざじずぜぞだぢづでどばびぶべぼぱぴぷぺぽ
「さ」から36文字目の「ご」の後で改行されている。
改行などの編集作業をしなければ、次のように引用部分は1行のまま届く。
> あいうえおかきくけこさしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもやゆよわをんがぎぐげござじずぜぞだぢづでどばびぶべぼぱぴぷぺぽ
すなわち、返信メールの引用部分を一度でも改行してしまうと、「Backspace」キーでは元に戻せないのである。改行した直後ならば「編集」メニューの「元に戻す(Ctrl+Z)」で元に戻すことができるが、改行後に文章を書き加えるなど別の部分を編集した後では、「元に戻す(Ctrl+Z)」では書き加えた文章まで削除しなければいけないなど、改行後の作業をすべて取り消さなければいけなくなる。これは非常に不便である。
私は返信用の長い文章を書いた後に引用部分の改行位置を変更しようとして上記のようなトラブルに遭った。例えば、上記の例では、最初は「ほ」と「ま」の間で改行したのだが、改行位置を「と」と「な」の間に変更したくなった。しかし、「ほ」と「ま」の間の改行が消えない。無理に消そうとすると「ほ」が削除されてしまう。興味のある方は実験してみてほしい。そのようなトラブルに遭い、何度も同じ文章を入力しなければいけないことになった。
このようなトラブルに遭ったのは私だけだろうか。Googleで検索しても改善策を見つけることができなかった。Thunderbirdの開発者たちは気付いているのだろうか。それとも、気付いているが、当然の仕様とみなして気にしていないのだろうか。できれば「Backspace」キーで元に戻せるよう改良してもらいたい。無理なのだろうか。
追記(2010/10/30):
この問題は【ここ】で紹介されているExternal Editorというアドオンを使って外部エディタで編集することで対処することにした。
引用部分で改行コードが削除されているのに見た目だけ改行されている状態は外部エディタで見ると改行されてないことが分かり、外部エディタを閉じるとThunderbirdのメール作成画面で見た目も改行されなくなる。すなわち、元に戻すことも可能になる。外部エディタで編集するので元に戻す必要もなくなるが。
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