心神喪失者等医療観察法はダメ2
『入院者の無断退去を防止 医療観察法で病院要件案』(共同通信、2005/5/26)を読んで
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050526-00000227-kyodo-soci
次の部分
重大な罪を犯した精神障害者に治療を受けさせ再犯を防ぐことを目的とした「心神喪失者医療観察法」
(『入院者の無断退去を防止 医療観察法で病院要件案』)
心神喪失者等医療観察法が成立する時、建て前であるが、再犯を防ぐことは目的にしないことになった。理由は再犯の可能性を判定することが不可能で、再犯の可能性がなくなってから監禁を解くことにすると対象者を一生監禁することになるからである。これは刑務所(刑期を終えれば確実に出所できる点が心神喪失者等医療観察法と異なる)を出た人の再犯の可能性を判定できなかったり、道を歩いている人の罪を犯す可能性を判定できないのと同じである。したがって、共同通信の記事の上記の部分は誤りである。と言いたいところだが、法律を成立させた人たちの本音は記事の通りだろう。そしてこの記事で述べられていることからも、厚生労働省も刑務所の代わりの隔離施設を作ろうとしていることが分かる。記者は本音を言った人の情報をもとに記事を書いたのかもしれない。
次のような情報もある。
○朝日俊弘君 分かりました。是非、きちんと検討し直してもらってください。
繰り返しになりますけれども、今大臣もおっしゃったように、政府原案があった、それに対して様々な議論があって、特に、精神障害者が再び同様の行為を起こすおそれがあるかどうかということが最初はっきり書いてあった。しかし、それでは、本当にそんなことが科学的に医学的にちゃんとできるのかということと併せて、それでは余りにも、おっしゃったように防衛的、社会防衛的になり過ぎるではないか、むしろこの法律は社会復帰することを促進するために医療を受けさせる法律なんだと、こういうふうに変えたわけです、軸足を変えたわけです。とすれば、とすれば、そこに軸足を置いた表現にならなきゃいけない。
実は、内々聞くと、いやいや、法律はああいうふうに変わったけれども、元々考えていたことはこういうことなんだから、ちゃんと書いちゃえばいいんだということを言っている医者がいるんですよ。冗談じゃないと私は思う。国会での審議を何と思っているんだ。ということで、是非ここは検討し直していただきたいと思います。
(第161回国会 参議院 厚生労働委員会 第4号 抜粋)
『実は、内々に聞くと』の次を読んでほしい。法律が成立させた後に建て前を無視して本音の部分で運用しようとしている人たちがいる。厚生労働省の態度もそのような人たちの意見に賛成しているかのようである。共同通信の記事からよく分かる。
共同通信の記事と同じ日、次のような記事もあった。
【新病棟進まぬ理解 心身喪失犯罪更生】(岩手日報、2005/5/26)
見出しに『更生』とある。病院は治療のための施設である。更生のための施設ではない。したがって、岩手日報の記事の見出しは誤りである。と言いたいところだが、法律を成立させた人たちの本音は穏やかな表現なら『更生』だろう。
「心神喪失者等医療観察法」は法的に罪の無い人を監獄のような所に隔離する法律である。この法律は廃止しなければいけない。
以前の関連ブログ記事:
【心神喪失者等医療観察法はダメ】
追記:
水島広子さんも最近のメルマガで心神喪失者等医療観察法に触れている。
【水島広子★国会報告 No.230】
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