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共謀罪を含む改悪組織犯罪処罰法は
【「共謀罪」法 衆参両院議員の投票行動(東京新聞 2017/6/16)】

得票数の推移を見ながらの二者択一ギャンブル-2

 以前に【得票数の推移を見ながらの二者択一ギャンブル】を書いた。そこでは「1枚100円の投票券が1000枚ある」と投票権の数が限られていた。それを1000人が好きな票数だけ投票できる設定に変えたらどうなるか、気になったのでシミュレーションしてみた。同じ人が何度投票してもかまわないが、延べ人数が1000人に達した時に終了する。得票数は、各自の投票数の合計になるが、一度に一票以上なので確実に1000票以上になる。
 今回も、次の投票者がそれまでの得票状況を見て同調することを考慮する。ただし、同調率を決める式は【得票数の推移を見ながらの二者択一ギャンブル】と同じにはできない。その同調率の決め方で悩み、結局は妥当な決め方を思いつかなかった。しかし、せっかく時間をかけて考察したので、ここに記録を残しておくことにする。

 ゲームのルールは次のようなものである。

  1. ある意見に対する賛否を投票する。
  2. 一人何票でも何回でも投票できる。
  3. 投票される度に賛成票と反対票の得票数が公開される。
  4. プレーヤーは公開された得票数を見てから投票できる。
  5. 投票者の延べ人数が1000人に達したらゲームは終わる。
  6. ゲーム終了時に自分の投票した側の得票数の方が多ければ勝ちで少なければ負けである。
  7. 「最終的な得票数の差-投票時の得票数の差」が投票者の得点となる。
    例えば、自分が投票した直後の得票数の差が-50(50票負けている状態)で最終的には+600票の差を付けて勝った場合の得点は(600-(-50))=+650点となる。
    自分が投票した直後の得票数の差が+100(100票勝っている状態)で最終的には勝っても+10票の差にしかならなかった場合の得点は(10-(+100))=-90点となる。
    負けた場合は、例えば、自分が投票した直後の得票数の差が+100(100票勝っている状態)で最終的な得票数の差が-200(200票負けている状態)の場合の得点は(-200-(+100))=-300点となる。
    自分が投票した直後の得票数の差が-50(50票負けている状態)で最終的な得票数の差が-5(5票負けている状態)の場合の得点は(-5-(-50))=+45点となる。
    すなわち、投票時に勝っていた場合は、票差が広がって終わればプラスの得点だが最終的に負けたり票差が縮まるとマイナスになる。逆に、投票時に負けていた場合は、最終的に勝ったり票差が縮まればプラスの得点になる。票差が広がればマイナスである。

 このゲームでも、鍵を握るのは例えば100票を投票するような大口プレーヤーである。誰もが多数派に投票したいので公開されている得票数で多い方に投票する傾向がある。大口プレーヤーの投票が多数派を形成すれば、大口プレーヤーに同調して投票するだろう。問題は大口プレーヤの投票でも逆転できずに小数派のままだった場合である。例えば、大口プレーヤーの投票に多数のプレーヤーが同調して得票差がさらに広がった後に別の大口プレーヤーが先の大口プレーヤーと同数の逆の投票をしても、票差を縮めることはできるが逆転はできないことがある。しかし、票差は縮まったし、大口プレーヤーに同調する別の大口プレーヤーが現れて逆転できるかもしれない。大口プレーヤーが何らかの裏情報を基に投票していたとしたら、後から投票した方は先に投票した大口プレーヤーの知らなかった情報を手にして逆に投票したのかもしれない。そうすると、その後に別の大口プレーヤーも続く可能性があリ、逆転する可能性がある。そう考えると、勝っている大口プレーヤーと負けている大口プレーヤーのどちらに同調するべきか。それが難しい問題である。

 とりあえず、このシミュレーションでは同調率を次のように決めた。

  • 得票数の差=賛成票-反対票
  • 変動1=投票後の得票数の差-投票前の得票数の差
  • 変動2=投票前の変動1
  • 変動3=投票前の変動2
  • 変動4=投票前の変動3
  • 変動5=投票前の変動4
  • 賛成が同調される確率
    =0.5+得票数の差×重みw_diff+変動1×重みw_m1
    +変動2×重みw_m2+変動3×重みw_m3+変動4×重みw_m4+変動5×重みw_m5
  • 反対が同調される確率
    =0.5-得票数の差×重みw_diff-変動1×重みw_m1
    -変動2×重みw_m2-変動3×重みw_m3-変動4×重みw_m4-変動5×重みw_m5
  • 賛成が同調される確率+反対が同調される確率=1
  • (注:計算式が0以下になる場合は0に、1以上になる場合は1とする。)

 変動1~変動5まで用意したのは、大口プレーヤーの投票を見て同調するのは次のプレーヤーだけではないからである。本当は、ずっと後のプレーヤーの投票にも影響を与えたかったが、大きく変化した票差(得票数の差)を考慮することで同時に大口プレーヤーの投票も考慮しているとみなして、用意したのは変動5までにした。
 大口プレーヤーの投票の直後に別の大口プレーヤーが同数の逆の投票をした場合、大口プレーヤーの投票は無かったとみなせるのだが、残念ながら、その様子をシミュレーションに反映されることはできなかった。先の大口プレーヤーの投票直後は通常はプレーヤーの同調率が高くなるのに逆に投票した別の大口プレーヤーによって同調されず、後から投票した大口プレーヤーの投票直後は普通のプレーヤーの同調率が高くなる仕組みになってしまった。この点は改善する必要がある。
 同調率の結果を次の投票に反映させる方法は、単純に同調率の高い方を選択するのではなくて、ルーレットを回して針が賛成票と反対票のどちらに止まるかで判断する仕組みである。同調率の高い方が針の止まる場所が広くて選択されやすくなる。

 シミュレーション結果は、大口プレーヤーがいない状態では例えば次のようになる。

得票数の推移(大口プレーヤー無し、その1)(クリックで拡大)
同調される確率(大口プレーヤー無し、その1)(クリックで拡大)

 縦軸(賛否票差)のプラス側(上側)が賛成票の多い状態でマイナス側(下側)が反対票の多い状態である。
 この例は接戦で賛成が勝ったようであるが、大口プレーヤーがいなければ接戦になるかというと、そうとも限らない。次のように一方的になることもある。証明はできないが接線になることの方が少ないかもしれない。

得票数の推移(大口プレーヤー無し、その2)(クリックで拡大)
同調される確率(大口プレーヤー無し、その2)(クリックで拡大)

 では、大口プレーヤーが参加する例として、11番目に100票を賛成に入れてみよう。例えば次のようになる。

得票数の推移(賛成に大口プレーヤー)(クリックで拡大)
同調される確率(賛成に大口プレーヤー)(クリックで拡大)

 得票数も同調率も賛成派の方が一方的に伸びて、最終的には賛成派の勝ちである。
 これに対抗して400番目に反対に100票を入れてみよう。

得票数の推移(大口賛成票のかなり後に反対に大口プレーヤー)(クリックで拡大)
同調される確率(大口賛成票のかなり後に反対に大口プレーヤー)(クリックで拡大)

 残念ながら反対派は逆転できなかったようである。差が開きすぎていて、多数派になることができず、同調率で逆転することができなかった。賛成に同調する確率の方が高くて賛成に投票されやすく、その結果として賛成に同調する確率がさらに高くなり、差がさらに広がったのである。シミュレーションは票を入れ直すたびに再計算するので、400番目までのデータは上と異なるが、反対派が勝ちにくいことは同じである。

 このように、人が多数派に同調する傾向があると、有力者がゲームを支配することになり、有力者が勝ちやすくなる。例えば、上の例では有力者(大口プレーヤー)は100票しか入れてないのに最終的には800票も差が付いた。この800票が有力者と逆に投票していれば、有力者は負けていた。あるいは、誰も同調しなければ、100票の差なら逆転したかもしれない。対立する全ての事に言えるのだが、勝敗の鍵を握るのは有力者だが、有力者に鍵を握られるのは多くの人が多数派に同調する傾向があるからである。
 また、ゲームを支配するのなら、先に多数派を形成した方が有利である。有力者がゲームを支配したければ、早めに行動して多数派を形成する必要がある。圧倒的な多数派に対しては、多数派を形成した有力者と同程度の力を持った有力者の行動では逆転できない。多数派を形成した有力者よりも遥かに強い力を持った有力者に頼るか、多数の有力者が協力して対抗しなければ逆転できない。多数派を形成したのが有力者ではないとしても、圧倒的な多数派に対しては一部の普通の有力者の力では逆転できない。

 このシミュレーションは未完成である。例えば、最近の金融市場の動きを表現し切れていない。金融市場が一方的になりやすいのは多くの人がトレンドに同調するからである。しかし、トレンドには終わりがあり、逆に動き始める時がある。トレンドが逆になったら多くの人はそのトレンドに同調するのだが、このシミュレーションでは「逆に動き始める時」を表現し切れていない。グラフを見るとトレンドが逆転することがあるのだが、それは乱数の結果の偶然に頼っているだけで、大口プレーヤーの影響を考慮し切れていない。上記のグラフのように、このシュミレーションでは、圧倒的な多数派が形成された後に一部の大口プレーヤーの力ではトレンドを変えることはできない。しかし、金融市場は圧倒的な多数派が形成された後でも一部の大口プレーヤーの動きでトレンドが変わる。多くのプレーヤーが同調傾向を変える。それが表現し切れていない。
 どうやら今の金融市場はアルゴリズム取引に支配されているらしい。そのプログラムは複雑で、売買方法がどのように組まれているか分からない。プログラムがどのように判断して売買しているか分からない。アルゴリズム取引は金融市場が一方的になりやすい原因の一つだろう。例えば、皆が同じプログラムで売買したら一方的になるのは当然である。実際は、たくさんのプログラムが存在して、相互作用で市場が理解不能な複雑な動きになるらしい。その動きをシミュレーションできる人がいたらすごいと思う。ただ、アルゴリズム取引の特性を読んで「見せ玉」と呼ばれる手法で相場操縦した人もいるらしい(参照)。「見せ玉」という素人を相手にする一般的な相場操縦方法に自動売買のプログラムが引っかかったということだろう。これはアルゴリズム取引のプログラムが多くの人の売買方法を模倣して組まれているからかもしれない。そうならば、アルゴリズム取引であろうとも、売買方法に傾向があり、簡単に市場の動きをシミュレーションできるのかもしれない。
 私のシミュレーションは人が多数派に同調することでトレンドが形成されてしまう怖さを示すために作ったものだが、接戦状態から大量の票数で意図的にトレンドを作るだけでなく、タイミングが良ければ同じ票数で意図的にトレンドを変えられる同調率の決め方を思いついたら、改良したい。今はトレンドが形成されても票差が小さければ意図的にトレンドを変えることは可能だが、票差が大きくても可能になる同調率の決め方を思いついたら、改良したい。人は多数派に同調するだけでなく、今は小数派でも後で多数派になりそうな方に同調する。それを組み込んだシミュレーションができたら嬉しい。


タグ:同調 マネー
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