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共謀罪を含む改悪組織犯罪処罰法は
【「共謀罪」法 衆参両院議員の投票行動(東京新聞 2017/6/16)】

医療観察法の是非以前の疑問

 私のブログ記事『「もう殴ってるじゃん」』で心神喪失者等医療観察法に関してyadokariさんから次のようなコメントを頂いた。

はじめまして。

>心神喪失者等医療観察法がそのような運用になっているらしい。法施行前の行為を起訴猶予などにしておいて、法施行後に不起訴にして、あるいは起訴して無罪にして、不起訴になった人や無罪になった人に適用される心神喪失者等医療観察法を適用しているらしい。

その通りです。
心神喪失者等医療観察法は過去の行為に遡及するというのが、法務省の公権的解釈です。
条文の体裁もそうなっていますし、事実なされていることです。
法務省の解釈を採用すれば、心神喪失者等医療観察法施行前までの該当行為すべてについて本法を適用できることとなります。
つまり過去に該当行為を行った人すべてについて、適用ができることになるわけです。
極端に言えば、はるか昔のことを蒸し返してもいいわけです。
本法制定前の議論を見ても分かるとおり、もともと保安処分の議論の流れの中で制定された法律なので、そのようにも運用ができるようになっています。

日本国憲法には古い面もあるので、日本国憲法第39条の「刑事上の責任」を、刑罰に限る解釈を取る必然性が薄れてきていると感じています。
事後法で自由権を制約することを禁止する条文が無いですから・・・。
憲法に欠陥があると申し上げておきましょう。
by yadokari (2005-10-02 20:14)
http://self.blog.so-net.ne.jp/2005-09-29#comments
>エホバの証人のケースの方が参考にしやすいように思います。

まず、「エホバの証人事件」は、東大医科学研究所が敗訴した事件です。
最高裁判決がリンクされておりますが、原審(東京高裁)の主文(結論)は損害の賠償額が70万円そこそこだったと記憶しています。
医療が契約に違反し、信教の自由が侵害されて、裁判所が損害の算定をしてもその程度の金額になる現実を知ってください。
このケースでは「契約自由の原則」どおり医療契約した事案ですので、心神喪失者等医療観察法のように“医療契約の自由が認められない法律”の場合は別異に考察する必要があろうかと思います。
訴訟法も「エホバ事件」は民事訴訟法ですが、心神喪失者等医療観察法の場合は行政事件訴訟法になろうかと思われます。
強制医療という話ですから、強制的に自由を制限するという話です。
以上、過去の判例の前提と、新法の前提が異なることを指摘させていただきました。
by yadokari (2005-10-02 21:56)
http://self.blog.so-net.ne.jp/2005-09-29#comments

 以前に私のブログ記事『心神喪失者等医療観察法はダメ4』『心神喪失者等医療観察法はダメ8』で、医療観察法や医療観察法による行政処分が法的に許されるのかどうか、主に 【輸血拒否の「エホバの証人」に医師が輸血手術した事例 最高裁判決全文】を参考にして、「許されない」という結論を導き出そうとして述べたのだが、法律の素人である私にはあれが限界である。ここでは、yadokariさんのコメントを読んで増えた疑問を含めて、医療観察法の是非を議論する以前に法律に関して「私には分からないこと」を並べておく。

(1) 刑罰以外の制裁(不利益処分)は許されるのか?
(2) 刑罰以外の制裁(不利益処分)が許されないとしたら、その法的な根拠は?
(3) 刑罰以外の制裁(不利益処分)が許されるとしたら、どのような場合か?
(3') (3)の答以外の場合が許されない法的な根拠は?
(4) 刑罰以外の制裁(不利益処分)が許されるとしたら、どの程度まで許されるか?
(4') (4)の答以外が許されない法的な根拠は?
(5) 行政処分としての医療行為は許されるのか?
(6) 行政処分としての医療行為が許されないとしたら、その法的な根拠は?
(7) 行政処分としての医療行為が許されるとしたら、どのような場合か?
(7') (7)の答以外の場合が許されない法的な根拠は?
(8) 行政処分としての医療行為が許されるとしたら、どの程度まで許されるのか?
(8') (8)の答以外が許されない法的な根拠は?
(9) 行政処分としての医療行為が許されるとしたら、患者の同意は必要か?
(9') (9)で患者の同意が必要だとしたら、その法的な根拠は?
(10) 医療契約に基づいた医療で、患者の同意の無い医療行為は許されるのか?
(11) (10)で患者の同意の無い医療行為が許されないとしたら、その法的な根拠は?
(12) (10)で患者の同意の無い医療行為が許されるとしたら、どのような場合か?
(12') (12)の答以外の場合が許されない法的な根拠は?
(13) (10)で患者の同意の無い医療行為が許されるとしたら、どの程度まで許されるのか?
(13') (12)の答以外が許されない法的な根拠は?

 とりあえず、思いつくだけ並べてみた。他にもあれば、この記事に追加する予定。

 実は上記疑問以前に、法律に関して、もっと根本的な疑問もある。

(a) 憲法に違反しなければ、各法律間の矛盾は許されるのか?
(b) 憲法下の法律の効力に優先順位があるとしたら、その優先順位は?
(c) 条文通りの運用であれば、目的と実状とが異なっても良いのか?
(c') 建前で法律を作って本音で運用しても良いのか?
(d) 法律(条文)を、その法律(条文)の目的に基づいて拡大解釈できるか?

 私としては「(a)(c)(c')はダメ!」と思いたいが、私の頭の中にある「常識」に基づいているだけで、ダメである根拠は無い。(d)に関しては微妙である。拡大解釈してほしいときもあるし、してほしくないときもある。例えば、上にコピーしたyadokariさんのコメントの中では日本国憲法第39条は「刑罰」に限らず「制裁」や「不利益処分」など「刑罰のようなこと」にも適用してほしいと思っている。しかし、拡大解釈が危険な場合もありそうなので、拡大解釈せずに済めばその方が良いと思っている。

心神喪失者等医療観察法に反対!
「無罪」の人を強制的に監禁する法律はダメ!

【心神喪失者等医療観察法に関する私の以前のブログ記事】


タグ:医療観察法
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yadokari

>(a) 憲法に違反しなければ、各法律間の矛盾は許されるのか?

学説上争いがありますが、判例上許されます。
例)淫行条例では18歳以下の女性と淫らな行為をすると処罰されるが、民法上女性の婚姻年齢は16歳です。

>(b) 憲法下の法律の効力に優先順位があるとしたら、その優先順位は?

特別法優先です。

>(d) 法律(条文)を、その法律(条文)の目的に基づいて拡大解釈できるか?

できます。判例、学説上争いがありません。

(c) 条文通りの運用であれば、目的と実状とが異なっても良いのか?
(c') 建前で法律を作って本音で運用しても良いのか?

許されません。法治行政の原則に反します。また、司法は立法目的どおりの運用しかできない建前です。
でも、法治行政違反、司法による目的外運用を監視するすべがありませんね・・・・。
密室ですることですから・・・。

私が、憲法の欠陥と申し上げたのは、そもそも基本的人権は、いかなる多数が賛成しても決して侵し得ない、人間が生来持っている人権だからです。
「基本的人権を制限できる場合は刑罰法規によってのみ」だというのが一般的な考え方です。

立法も行政も「心神喪失者等医療観察法」は
>「制裁」や「不利益処分」など「刑罰のようなこと」
では無く
「制裁」ではなく「治療」だ。
「不利益処分」では無くむしろ患者の「利益になる処分」だ。
と従来主張していますし、今後も主張すると思います。
“健常者”の「治療」を拒否する自由、「利益になる処分」を拒否する自由は、憲法解釈によって導かれます。
その自由が“心神喪失者等医療観察法適用該当者”についてはみとめられなくなったわけです。
「治療」であろうと「利益処分」であろうと「国家による自由権侵害」にかわりは無いですから、そこをどのように考えるかがこの法律を考察する上でのポイントになろうかと存じます。
また、裁判所でなされることが非公開ですね。
ここにも憲法に触れる疑いがあります。

簡単で申し訳ありません。
by yadokari (2005-10-03 16:19)

正己

yadokariさん、教えていただき、ありがとうございます。とても嬉しいです。
『「基本的人権を制限できる場合は刑罰法規によってのみ」だというのが一般的な考え方』という情報はとても心強いです。この件に関して私が疑問に思ったのは少年法があって、それに基づき刑罰法規によらずに基本的人権を制限している場合がありそうで、その状態が容認されている雰囲気だからでした。
『“健常者”の「治療」を拒否する自由、「利益になる処分」を拒否する自由は、憲法解釈によって導かれます』という情報も心強いです。それならば、その自由が認められない医療観察法は違憲でしょうから、対象者が裁判で争えば勝訴する可能性がありそうだなぁ、と思いました。
今後、医療観察法について考察する際は、今回頂いたコメントを頭に入れておきたいと思います。
by 正己 (2005-10-03 16:51)

yadokari

先ほどのコメントはあくまでも「遡及」についてのコメントで、書き方も雑だったと反省しています。お詫びします。

一般的と書いたのは、「原則だ」という意味です。
例外的に・・・
少年法は「教育目的」、精神保健法は「治療目的」での必要止むを得ない拘束で、その拘束は目的達成のための最小限度のものでなければならない、という考え方により運用されている“はず”です。
これにしても日本国憲法第31条に照らして合憲性を疑う人もいます。
ただ、合憲と考える場合でも・・・
少年法、精神保健法に定められている拘束は、「教育」が必要な人には教育を、「医療」が必要な人には医療を提供することに伴う拘束で、基本的人権の制限は必要最小限度でなければならないことは、同じ日本国憲法第31条の解釈により導かれましょう。
日本国憲法第31条は「手続きの適正」と「実体の適正」を規定していると理解する人が多いですから、少年法、精神保健法による拘束で「実体」に「不適正(不必要)な拘束」があればそれは同条違反の疑いがあると思います。
ここまでは既存の法律の話です。

で、あらためて、このたび施行された医療観察法の「遡及」については、日本国憲法第39条の問題だと思われます。
将来医療観察法が、保安処分的な運用がなされた場合については、日本国憲法31条に触れる恐れが大きいと思われます。

表現が、適切でなかったことをあらためてお詫び申し上げます。
by yadokari (2005-10-03 21:30)

正己

yadokariさん、ありがとうございます。
「例外的に…」と、少年法や医療観察法は合憲の可能性もあるのですね。残念です。ただ、医療観察法は刑罰のようなことが行われるでしょうから、遡及処分に関しては日本国憲法第39条に違反している可能性が高そうですね。だから遡及処分された対象者は処分の取り消しを求められかも…、と。
それから日本国憲法第31条の「法定手続の保障」ですが、よく聞くのですが「当たり前じゃん」と言いたいくらい明快な文章だけど解釈が分かりにくい条文です。「法律の定める手続きに従えば、生命や自由を奪ったり刑罰を科したりしていいの?」と思ってしまうのです。憲法第31条から論理的に「法律の定める手続きに従えば…して良い」が導かれるわけではありませんが、「ダメな場合もある」が導かれるわけでもなく…。「他にも必要な条件がある」ならその「他にも必要な条件」が憲法31条では分かりませんし…。たぶん他の条文と組み合わせるなど解釈の問題だと思いますが…。それから私は「法律の定める手続」が何を指すのかも分かっていません。司法手続きのような気がしますが、司法以外の手続きでも良さそうな条文ですし…。「法律の定める手続」が満たすべき必要条件も分かっていません。憲法第31条の解釈とその解釈が導かれる論理についてはもっと勉強が必要だなぁ、と思っています。
by 正己 (2005-10-03 22:39)

yadokari

>「法律の定める手続きに従えば、生命や自由を奪ったり刑罰を科したりしていいの?」

いいというのが圧倒的多数の解釈です。
いけない、となったら刑法そのものが違憲になります。
「いけない」という解釈をする専門家は見たことがありません。

では、また。
by yadokari (2005-10-04 00:07)

正己

yadokariさん、ありがとうございます。
私のコメントが分かりにくかったようです。申し訳ありません。
私の憲法第31条に対する疑問は「法律の定める手続きに従いさえすれば、生命や自由を奪ったり刑罰を科したりしていいの?」のなのです。手続きが定められた法律なしに生命や自由を奪ったり刑罰を貸してはいけないことは憲法第31条から分かるのですが、「手続きを定めた法律を作って、それに則りさえすれば生命や自由を奪ったり刑罰を科したりできる」と解釈されそうで怖かったのです。たぶん、憲法の他の条文に違反するような規定ならば、刑罰を貸すなどの手続きを定めていてもその規定は違憲でしょうから、「法律の定める手続きに従えば…して良い」と単純に考えられないと思うのです。「憲法第31条違反」と聞くとき、その他の条文が分からないから分かりにくくて、他の条文に違反しているのなら「憲法第31条違反」というより他の条文違反だろうと思うのです。「法律の定める手続」が刑罰を科するために定められている既存の司法手続きのことであれば、その司法手続きによらずに生命や自由を奪ったり刑罰を科したりする規定は違憲だと思うのですが、そうでもなさそうな気がするのです。「法律の定める手続」が「刑罰を科するための司法手続きに準じた手続きを定めた法律に定められた手続き」ということであれば、新たな法律は、そこに定められた手続きが司法手続きに準じていなければ違憲だと思うのですが、それも違いそうな気がして…。それで、「憲法第31条違反」と聞く度に「えっ?」となるのです。解釈についてちゃんと勉強すればいいのですが、横着してまして…。「自分の頭で考えて導き出せないようじゃダメだ」という思いもありますが…。
by 正己 (2005-10-04 07:58)

yadokari

私の文章も拙いものでして、うまくお伝えできなかったようです。

>「自分の頭で考えて導き出せないようじゃダメだ」という思い・・・

私も自分の頭で考えていますが、前提として今までの議論・歴史・事実を知っておく必要があります。
定評のある教科書を一読されることをお勧めします。

さて、

>「法律の定める手続きに従いさえすれば、生命や自由を奪ったり刑罰を科したりしていいの?」

例)行政は「刑事訴訟法」に定める手続きで人を「逮捕」することができます。この場合自由を奪っています。
例)行政は「刑事訴訟法」に定める手続きで人を「勾留」することができます。この場合も自由を奪っています。
例)行政は「刑事訴訟法」に定める手続きで人を「起訴」することができます。これは行政が「科刑相当」と判断した場合で、起訴された人のことを「(刑事)被告人」と呼びます。そして実際に「刑法を適用して科刑」するには「裁判」が必要です(憲法第37条)。ここで初めて司法が出てくるわけですね。

以上、通常の刑事手続きについて例を挙げてみました。一連の手続きを「刑事司法手続き」といったりもしますが、上記は行政と司法を区別する憲法の規定を意識して記述しました。
by yadokari (2005-10-04 11:28)

正己

yadokariさん、ありがとうございます。
「自分の頭で考えて導き出せないようじゃダメだ」と思いながらもyadokariさんに教わる形になってしまって…。申し訳ないです。
刑罰に関しては問題ないと思うのです。刑罰ではない医療観察法による処分を行う場合に必要な手続きが分からないのです。もしも「法律の定める手続きに従いさえすれば、生命や自由を奪ったり刑罰を科したりして良い」とすれば、「医療観察法に手続きを書いておけば問題無し」となりそうなのです。医療観察法による処分は「医療観察法」という「法律」の定める手続きに従って処分するわけですから…。そうすると「憲法第31条違反」にならなくなります。でも憲法第31条違反の可能性があるらしく、それで憲法第31条の解釈が分からなくなったのです。
by 正己 (2005-10-04 13:42)

yadokari

>「法律の定める手続きに従いさえすれば、生命や自由を奪ったり刑罰を科したりして良い」とすれば、「医療観察法に手続きを書いておけば問題無し」となりそうなのです。

そのような考え方で作られた法律であることは明らかです。

ただ、医療監察法で、問題になるのは自由の制限です。
生命、刑罰の話はこの法律には出てきませんね。
考察することの焦点を定めないと、政治的な議論になってしまいます。
政治的な議論をすると少数者は負けますよ!
歴史が証明しているところです。
医療観察法についての議論はこれからの議論です。
まだ、少しの適用例と条文しか分かっていません。
時間はたっぷりあります。
時間をかけて考察するべき問題です。
by yadokari (2005-10-04 16:47)

正己

yadokari さん、ご忠告ありがとうございます。
『医療監察法で、問題になるのは自由の制限です。生命、刑罰の話はこの法律には出てきませんね』はその通りだと思います。コメントで『生命、刑罰』の部分を削除しようとも思ったのですが、憲法31条の解釈と言うことだから、憲法31条の文言をできるだけ使うことにしました。「Aならば(B、C、D)が可能」なら「AならばDが可能」ですから、論理的には間違っていないと思いまして…。
さて、本題ですが、
医療観察法は「医療観察法に手続きを書いておけば問題無し」という考え方で作られた可能性があるのですね。すると作った人たちは憲法第31条違反と考えていないわけで、憲法第31条違反と主張する場合は彼らに反論できるだけの説得力のある説明が必要だと思いました。私には説得力のある説明ができませんから憲法第31条違反であることを主張できません。できたら嬉しいのですが…。
by 正己 (2005-10-04 18:36)

yadokari

私が、憲法第31条、第37条、第39条などを引き合いに出したのは、単なる例示です。
他の条文にも十分に抵触していると思います。
例えば第14条の平等原則違反・平等権侵害なども十分に考えられます。

>彼らに反論できるだけの説得力のある説明が必要だと思いました。

「彼らに反論」・・・・・。
かつての「保安処分」の議論が、どれほど平行線だったかご存知無いようで・・・・・。
今度は実際に法律ができた訳ですから、「裁判官を説得できる論理」のほうが実用性が高いと思います。
そして、それで十分なのです。
かけられる労力・時間・費用が限られますから、過半数を説得するという考え方はちょっと実現が難しいと思います。
by yadokari (2005-10-04 21:11)

正己

『「裁判官を説得できる論理」のほうが実用性が高い』に同感です。でも、司法に頼らずに国会議員の力で廃案にできれば、それも良いと思います。閣僚が納得して廃案に向けて努力してくれれば、それも良いと思います。国民が国会議員や閣僚に働きかけてくれれば、それも良いと思います。どちらにしろ、説得力のある説明が必要だと思います。
by 正己 (2005-10-04 23:06)

yadokari

古いもので恐縮ですが、本法を強く推進した(社)日本精神病院協会の提言がありましたので、法的に反論してみましょう。番号は私が振りました。原文にはありません。

                                                            平成13年3月23日 
重大犯罪を犯した精神障害者の処遇のあり方についての提言

  社団法人日本精神病院協会
会 長 仙 波 恒 雄

1 精神障害者のノ-マライゼ-ションを進めるために

1-1  ○精神障害者に対する誤解・偏見をなくすことが必要
1-2  ○そのためには国民の精神障害者に対する不安除去が必要
1-3  ○重大犯罪を犯した精神障害者がどのような処遇や治療がされているかの情報がない
1-4 ○殺人を犯しても刑にも問われず、入院治療もしない例があることに国民のコンセンサスは得られない
1-5 ○被害者・その家族にも不十分な情報とやりきれない不全感を残している
1-6 ○精神障害者にも裁判を受ける権利

ここまでの提言についてのコメント(yadokari)

1-1、1-2について。  
 ごもっともである。
1-3について。
重大犯罪を犯した健常者の処遇も明らかにされていない。また、知る必要が無い。それがプライバシーの権利の考え方である。何ゆえに精神障害者についてのみそのような情報が必要か?また、「重大な犯罪を犯した精神障害者」という言い方をされているが、精神障害者であっても無くても、責任阻却すべきときにはそもそも「犯罪不成立」である。刑法について無知なのではないか?
1-4について。
その例の発生を認めている刑法に、国民の過半数が異を唱えていないではないか?どうやって「国民のコンセンサス」を知ったのか?
1-5について。
被害者・その家族に「十分な情報」を与えたら、その結果二次犯罪が発生する可能性があるではないか?「やりきれない不全感」は「精神障害者の触法」に特有のものなのか?
1-6について。
ここに提言者の法的無知が端的に現れている。「裁判を受ける権利」は「権利」でしかない。決して「義務」ではないのである。

2 現行司法制度の問題点

2-1 ○検察で不起訴処分とされる精神障害者は89.4%殺人の場合83.8%、強盗85.2%は不起訴
2-2 ○不起訴の根拠とされる鑑定は簡易鑑定が多いが、簡易鑑定さえないことも多い
2-3 ○簡易鑑定は各都道府県により異なるが、ごく短時間の診察によって診断される傾向
2-4 ○不起訴とされた犯罪を犯した精神障害者は、措置診察へ。
2-5 ○措置診察によって入院不要とされることもある。
2-6 ○その場合に再び司法の手に戻せない。

ここまでの提言についてのコメント(yadokari)

2-1について。
ただの統計データである。どういう問題があるのか述べられていない。
2-2について。
まずはじめに、被疑者が明らかな「心神喪失状態」である場合にわざわざ精神鑑定が必要なわけではない。「心神喪失状態」=「精神障害」ではない。「心神喪失」というのは法学的概念である。何も「精神障害」という医学的概念と一致する必要が無い。提言者の法的無知はここにも現れている。それに「明らかに心神喪失」である場合に、起訴して公判廷で実名と触法事実を明らかにすることにプライバシー侵害以上の意味など無い。提言者は勘違いしてはならない。医学鑑定は法的判断の証拠に過ぎない。「心神喪失」が明らかな場合にまでそんなものが必要なわけではない。
2-3について。
被疑者段階では「心神喪失」であるか否かが分かれば十分である。鑑定が長かろうが短かろうが、精神病院協会がつべこべ言う問題ではないのである。繰り返すが「明らかな心神喪失」ならこの段階では医療鑑定など不要なのである。
2-4について。
不起訴なら「犯罪」にならないのだ。ばか者!
2-5について。
「措置診察」とは不起訴後の診察である。被疑者として拘留されている間に「寛解」する場合もあるし、そもそも精神病ではない場合だってあるのだ。病気ではなく心神喪失状態になることがありえることは一般に認められている。そのような場合、入院など不要ではないか!
2-6について。
この者たちはここまで法に無知であったか・・・。司法に戻すことは可能だ。そんなことも知らないのか。大ばか者!

3 現行の精神医療における限界(司法制度の必要性)

3-1 ○重大犯罪を犯しても措置症状がなくなれば1週間でも退院可能
3-2 ○治療抵抗性で対応困難な例では他の入院者や看護者の安全が守られない場合がある
3-3 ○現在の医療制度上での人員配置では対応困難
3-4 ○そのために過剰な長期隔離や早すぎる退院もある
3-5 ○重大犯罪を犯した入院者に対する精神科医師及び病院の責務は過大である
3-6 ○退院後の再発・再犯を防ぐフォローシステムの欠如

ここまでについてのコメント(yadokari)
3-1について。
「措置症状」というのは「自傷・他害の恐れ」である。それさえなくなれば強制入院させる必要が無いではないか?医療を強制する必要さえも全く無いではないか?
3-2について。
不幸な例があることは存知あげている。でも、その原因は医療ミスではないか!どうして隔離しなかったのか?
3-3について。
それは医療制度の問題で、刑事司法の問題ではないではないか!
3-4について。
「過剰な長期隔離」も「早すぎる退院」も両者ともに医療ミスではないか・・・・。
あきれてものが言えない。自分たちのミスを刑事司法制度のせいにしているのである。
3-5について。
いかなる制度も一定の「あきらめ」のもとに成り立っているのである。「あきらめ」きれないのは一部の人だけではないか?
3-6について。
再発・再犯を防ぐフォローシステムは重大なプライバシーの公開を伴う。どうしてそのようなシステムが、「精神障害者」にのみ必要なのだ?

4 重大犯罪を犯した精神障害者処遇についての提言

4-1 ○司法制度と精神医療の相互補完が必要
4-2 ○重大犯罪を犯した精神障害者は裁判にかけられるべき、精神障害者も裁判を受ける
 権利がある 
4-3 ○重大犯罪を犯した精神障害者の入退院には裁判所の判断を入れることが必要
4-4 ○退院後の司法による保護観察的なフォローシステムが必要
4-5 ○重大犯罪を犯した精神障害者の人権に配慮した治療施設の創設
4-6 ○司法精神医学教育の確立

ここまでについてのコメント
4-1について。
一定の連携はこれまでもとってきていて、それで十分である。相互補完とは「司法に欠けている点を医療が補う」ことであろう。そんなことは許されていないのである。
4-2について。
裁判にかけるべきかどうかは検察官の専権事項である。裁判に無知な医者には関係ないことである。必要が無い裁判を提起してはならないという「訴訟法の原則」をご存知無いのか?それに後半は「権利」であろう。それを「義務」と勘違いしているあたりに精神病院の「老害」を感じざるを得ない。
4-3について。
不起訴の段階で法的判断はもうすでに終わっているのである。そこから先は医学的判断しか残らないではないか?自分たちの責任を刑事司法に押しつけたいのだろう。余計なお世話である。老人特有の症状が精神病院協会を支配しているのではないか?
4-4について。
どうして「精神障害者」にのみ「保護観察」が必要なのだ?本物の「犯罪者」にもそんな制度は無いのだ。
4-5について。
今まで、「治療施設」で「触法精神障害者」の人権を軽視してきたのは医療機関側ではないか?そのような相談が私のところに多く寄せられている。
4-6について。
無いものねだりをするものではない。そんなものを確立したからといって、現状に変化がでるはずがない。もっとも精神病院協会はイメージが上がって儲かるようになるのだろうが・・・・。「精神障害者」の犯罪率・再犯率については変化しようが無いではないか?もともと健常者と変わらないからである。

精神病院協会の仙波氏はかつて志の高い医師であった。それも過去の話になってしまった。痴呆老人の愚痴のようにしか聞こえない。

以上である。
by yadokari (2005-10-08 21:17)

正己

yadokariさん、どうもありがとうございます。m(_ _)m
すごいです。
言葉の選び方で「ちょっと…」と思う部分はありますが、反論内容は「その通り!」と思いました。
コメント欄ではもったいないので、私の新しい記事の本文に転載させていただきました。
http://blog.so-net.ne.jp/self/2005-10-08
ダメでしたら記事の方は削除しますので、御連絡下さい。
by 正己 (2005-10-08 23:18)

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